フラメンコ超緩色系

月刊パセオフラメンコの社長ブログ

サバイバル(2)[013]

2006年01月20日 | 超緩色系


           サバイバル ②

   

               


 太宰治ではなく坂口安吾寄りの私たちだが、この『人間失格』という不吉な四文字熟語にはいつもギクリとさせられる。

「ど、どうして俺を知ってるのかっ


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 強気に見えることはあっても、その実「生きててすいません」が合言葉の私たち、と私は「欠陥と偏向」という共通項でつながっている。つまり、自己保存のための防衛本能から、好きな仕事を選ばざるを得なかった連中なのである。

 彼らの生態を観察してると自分のこともよくわかるのだが、能力自体は似たりよったりでまったく大したことはない。
 そのかわり、頼まれもしないのによく働く。質より量だ。

 労働基準法の二倍三倍働くことは苦でも何でもないし、結構それ自体が楽しいのだ。法にたて突く気はこれっぽっちもないが、俺らのことは放っぽいといてほしいと願っている。

 そんな私たちだが、ごく稀に結果を出すこともあるのだ。まあ十年にいっぺんぐらいのもんだが。一般的にはそれを「まぐれ」と呼ぶことを最近私たちは知った。
 「好きこそものの上手なれ」と云うべきか「下手のヨコ好き」と云うべきかは迷うところだが、たぶんその両方だろうと思う。

 欠陥だらけで偏向の強い連中だが、好きなこと以外に食ってく道がないことを本能的に知ってるので、その境遇に不平不満の発生する余地はあまりない。
 不幸にも鈍感だし、金銭感覚も相当ヤバイが、女は好きだ。ちなみに面白いぐらいモテない。


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 彼らがそうであったように、私の場合もたまたま音楽好きアート好きだったのでこういうシノギになった。
 そうでなければ多分、料理が好きなので板前になっていたか、あるいは大好きな都電の運転手になってた可能性は本気で高い。

 待遇は重要だが、それ以前の問題でつまずき勝ちな私ら種族にとって、待遇は自動的に第二条件となってしまうのだ。
 もしポルノ男優になれたのだったら条件等はまるで気にしないところだ、という見解はみごとに全員一致している。

 才能やバランス感覚には惜しくも恵まれなかったが、欠陥や偏向を鋭く逆用することで、何とかサバイバルを続けている私たちの飲み会は、

「そーゆーフトコロの深い社会に生まれて本当によかった♡」

 という結論でいつも幕を閉じる。


          
    [不滅の都電・荒川線。嗚呼あの栄光の運転席]

 



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