フラメンコ超緩色系

月刊パセオフラメンコの社長ブログ

しゃちょ日記バックナンバー/2018年02月

2018年02月01日 | しゃちょ日記

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2018年2月27日(火)その3153◆お得なセット

問題発生と問題解決。
これらをセットと認識することで
ノープロブレムになる。

 

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2018年2月26日(月)その3152◆一週間

 

9時間ノンストップ爆睡、ゆったり珈琲で朝刊。
この一週間のいいスタートが切れそう。

 

月曜日にお風呂をたいて
火曜日はお風呂に入り
テュリャテュリャテュリャテュリャテュリャテュリャリャー
テュリャテュリャテュリャテュリャーリャー

 

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(注1)ジャケットと音源が異なることもあります。
(注2)地元出身みどり先輩、ご、ごみんなせえっ!
         
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2018年2月25日(日)その3151◆転化力

 

恐れている暇がないほどスリリングな時期は
緊張感と集中力が我が身の安全と進化を保証している。

 

そんなのが通用するのはせいぜい四十代までだろうと認識していたが、
六十を超えてもそうした傾向はあまり変わらないことに驚く。
身近な周囲を見渡すだけでも、そんな先輩たちが十数名おられる。
鈍くなった反射神経と衰えた体力を、
全体を見通す余裕と判断力に転じることができれば、
あるいは可能なことなのかもしれない。

 

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2018年2月24日(土)その3150◆復帰間近

 

忙中閑あり。

 

この春のパセオの新入社員と新人執筆者が出演するというので、
今晩は高円寺エスペランサ(二部から)、
賑やかしに連れ合い連れて呑み放題コース。
明日日曜は13時よりタカミツ先生のカンテ講座(曲はマラゲーニャ、席あり!)、
16時よりよらんだ画伯と連載まんがのネタ出し。
編集長就任号(四月号=ページ減らしてオールカラー)の制作手配もほぼ完了し、
月曜から久々に本来業務に復帰!

 

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2018年2月24日(土)その3149◆足湯

 

近ごろは足湯にハマってる。

 

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2018年2月23日(金)その3148◆重たく爽やか

 

「そろそろ通院でよいでしょう」
主治医は言ったが、彼女は同じ口から五年後の生存率は
三十パーセントですとも聞いている。
もう入院治療を続ける意味がないという最後通告にも思われた。
「死亡率七十パーセントですね」
「人間の死亡率は百パーセントですから、よい方ではありませんか」

 

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13の短編からなる乙川優三郎の『トアイライトシャッフル』。
どれも重たく爽やかだ。
引用は『ミラー』という小品の冒頭。
どちらを持つにしてもこんな会話が好ましい。

 

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2018年2月22日(木)その3147◆以心伝心

 

四度目の編集長復帰、本日パセオ四月号校了。
私の仕事がひと段落したことを彼は感じている。
しばらくは復活祭の呑み会がつづく。

 

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2018年2月21日(水)その3146◆相棒

 

ウィスキーで『相棒』。
寝る前にカフェオレ。
すたすたとジェーが書斎にやって来る。
素早く専属カメラマン(元写真部)が撮る。

 

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2018年2月21日(水)その3145◆日曜午後の

 

「カンテ歌ったことのない人でも受講できますか?」
「はい、いつも半数はド素人さんです」

 

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きのうも今日もそんなお電話。
日曜午後はタカミツ先生のカンテ講座なりっ!     
ジェー(用心棒犬)も三階編集室で待機の構え。

 

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2018年2月21日(水)その3144◆エル・トロ

 

いよいよへレスのカンタオール、エル・トロの初登場。
カンテソロのライヴは50人超えが難しいのが普通だが、今回は楽々それを超えた。
興味津々の連れ合いもレッスンをやりくりして駆けつけるという。
明日は早朝から12時間実務フルコースを軽々とこなし(汗)、
待望のエル・トロ鑑賞の段取り。
  
2018年2月22日(木)20時
パセオフラメンコライヴ Vol.082
アントニオ・ペーニャ・カルピオ"エル・トロ"カンテソロライヴ

 

アントニオ・ペーニャ・カルピオ"エル・トロ"(カンテ)
石塚隆充(ギター/パルマ/カンテ)
斎藤誠(ギター)
末木三四郎(パルマ/バイレ)

 

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 歌には人の本質が宿る。バイレやギターなら隠しておくこともできるそれがカンテでは丸裸になる。無論、技芸に秀でた玄人は"装う"こともできる。しかし歌い手がリミッターを振り切る時、隠しきれない本性が立ち現れる。思わずニヤリ。¡Olé!の瞬間である。
 ヘレスの歌い手 "エル・トロ"。カルピオ家に生まれた彼は、10歳より歌い手としてアナ・マリア・ロペスらをはじめとする踊り手の仕事で各地を巡り経験を積んだ。過去には鍵田真由美・佐藤浩希フラメンコ舞踊団の招きで度々来日、直近では秦晴美氏が招聘したヘレサーノの一員として大沼由紀氏らと共演歴がある。
 彼の強みは、連夜の歌唱にも喉をつぶさずスタミナ切れを起こさない身体の強靭さと、彼を知る人が「あれほど真面目でいい人は見たことがない」と口を揃える人格。伝統的なヘレスのブレリアやカンテホンドで威力を発揮する深い歌声には、確かに彼のそんな本性が宿っているようだ。例えるなら白色の温かい光。
 しかし、ドローレス・アグヘタを招聘している慧眼のアフィシオナーダ濱田貴代さんによれば「一度、トロの歌にヒターノの漆黒を見たことがあるわ」と言うではないか! ニヤリ、そして¡Olé!の瞬間である。なぜか居てもたってもいられなくなり、本人に聞いてみた。
「カンテを歌っているとき、何を感じる?」
トロいわく
「自由、平穏、喜び、愛。そして...」
「そして?」
「僕の中の荒ぶる何かがすべて解放されていくのを感じるよ」
 白と黒、エル・トロの本質やいかに?
 2月22日エスペランサで目撃されたし。
 (月刊パセオフラメンコ2018年2月号より~瀬戸雅美)
         
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2018年2月20日(火)その3143◆ヘイ・ジュードー

 

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DVDもらった。
無我夢中で柔道にかけた姿三四郎の、その懐かしのテレビ版(1970年)。
主題歌はビートルズのヘイ・ジュードー、、んなわけねーだろ

 

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2018年2月19日(月)その3142◆通奏低音

 

そりゃあ何と云っても色気や愛敬のある異性と呑むのが一番だが、
親しい野郎どもとの酒にもまた格別な味わいがある。
春永までにいくつか幹事をやらにゃならんが、
どれも呑み屋天国わが街・中野に集結させる段取りだ。

 

云ってみれば奴らとは戦友同士であり、また、
いつ誰が逝ってもおかしかない世代だから、硬軟どんな話題であろうと、
そういうペーソスな通奏低音がそれぞれの中に好ましい共感を生むのだろう。
永い歳月は無駄ではなかったし、そうしたふれあいは男女を問わない。
人は誰しも共感なしには生きられない寂しがり屋だから、
暮らしにおけるそこからの逆算は案外重要かと想う。

 

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2018年2月18日(日)その3141◆やがて伝統

 

フラメンコで例えるならロシオ・モリーナ、
あるいはマヌエル・トーレか。
中盤の暴れ方はゴジラそのものだし、
正確無比な終盤はスパコンか。
       
準決勝で羽生善治竜王を、決勝で広瀬八段を破り朝日オープン優勝。
二つの棋譜をじっくり並べたところだが、開いた口がふさがらない。
伝統的な価値判断では計りようのない精緻な前衛手の数々。
その意味では棋力十三段と評された幕末の大棋士・天野宗歩に近い。
宗歩の革新は明治・大正・昭和を経て、やがて伝統となった。
藤井六段の革新もやがては伝統となり、
棋界全体を底上げすることになるだろう。

 

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(写真左より羽生竜王、藤井新六段)

 

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2017年2月17日(土)その3140◆一本化

正月からほぼ無休で斬り込んだ現行プロジェクト。
ようやく目鼻がついたので、久々に分厚いステーキを喰った。
土日も出勤だが、軸の決まったインプロなので気分は軽い。
そして、これも久々の旨すぎ高すぎマッカラン。
冷や汗だくだくで飛んだあとのささやかなご褒美。

 

大音量でパコ・デ・ルシアを聴いている。
若い頃は正反対に感じたバッハと、同質な要素を感じる瞬間も多い。
二律背反の一本化。
ずっとそれが望みだったが、なんやかんやと四十五年、
ずいぶんと時間がかかった。

 

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2017年2月15日(木)その3139◆自給自足

 

2/14パセオライヴから帰ると、
テーブルに高そうなチョコレート。
すでに包みは開いてる。
ジェーを抱く連れ合いはキャハッと笑った。
「遅いから、先に食べちゃった」
自給自足、仏壇お供えの先喰いである。

 

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2017年2月15日(木)その3138◆才人

 

ライヴでモーツァルト(ピアノ協奏曲21番)を聴いた。
楽譜やピアノから抜け出したモーツァルトが広い宇宙を駆け巡る。
第二楽章の天使のインプロは、作曲家でもある鬼才サイならではの閃き。
舞台上で起こっている奇跡をそれと認識するのに数分要した。
十年も前の僥倖だが、俯瞰するならあれは一生の宝だ。
誰が聴いてもモーツァルトに、そしてサイに惚れ込む。
かつてはハルサイの多重録音でクラシック界に風穴を開けた。
ファジル・サイはライヴの人だが、この録音にも僅かながら
そういうファンタジーを垣間見る。

 

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2017年2月14日(水)その3137◆叱咤激励

 

四日間で26個。
義理チョコとしては多い。
香典・お布施・塔婆料としては少ない。
君たち、もっと目標を明確にしたまえっ!

 

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2017年2月14日(水)その3136◆師弟ライヴ

 

本日20時スタート、パセオライヴ!
恒例の演目フライング発表!

 

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青木 愛子
ヴォダルツ・クララ
師弟デュオライヴ
2018年2月14日(水)20時開演
於:高円寺エスペランサ

 

青木 愛子(バイレ)
ヴォダルツ・クララ(バイレ)
有田 圭輔(カンテ)
石井 奏碧(ギター)
森川 拓哉(ヴァイオリン)

 

1:ラ・ビダ・ブレベ
2:シギリージャ
3:グアヒーラ
4:タラント
5:ムシコス
6:アレグリアス
7:フィン・デ・フィエスタ

 

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2017年2月13日(火)その3135◆お供え

 

五十代半ばからチョコレートの数が増えた。
義理チョコとゆーより、香典先払いという感触。

 

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2017年2月13日(月)その3134◆青木愛子&ヴォダルツ・クララ

 

2018年2月14日(水)
パセオフラメンコライヴVol.081
青木愛子&ヴォダルツ・クララ デュオライヴ

 

青木愛子(バイレ)
ヴォダルツ・クララ(バイレ)
有田圭輔(カンテ)
石井奏碧(ギター)
森川拓哉(ヴァイオリン)

 

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 青木愛子をNHK趣味悠々「情熱のフラメンコ ウノ!ドス!トレス!」で知った人は多いと思う。本誌「グラシア!」(2015年2月号)のインタビューで彼女は、小松原庸子スペイン舞踊団でやっていくために徹底的に基礎を追究したと語っているが、アシスタントとしてテレビに映し出された彼女は、初々しさの中に既に正統派の所作と天性の華やかさ、ノーブルな雰囲気を醸し出していた。
 その姿勢を貫いて、昨年11月のリサイタル「Relicario」では、そこからはるかに進化した姿を見せた。クールでダイナミックな動き、しなやかな上半身、大人の色気、徹底的に鍛え上げた体。地味なことを一つ一つ積み上げてきた歴史には迫力があった。
 ことにサラ・カレーロ(スペイン国立バレエ団の元ソリスタ)に師事したクラシコ・エスパニョールには、磨きがかかっていた。顎から胸のライン、ボディのしなり、そしてふんわりと丸い形の腕。クラシコ・エスパニョールとはこんなにもフラメンコとポジションが違うものかと驚いた。そのうっとりする美しさをぜひ間近で見てほしい。
 今回のパセオライヴは、弟子のヴォダルツ・クララとのデュオライヴとなる。ヴォダルツは、2014年日本フラメンコ協会新人公演にて奨励賞受賞、2017年CAFフラメンココンクールのファイナリストで、いま勢いのある踊り手だ。師弟のフラメンコは表面的にはそれほど似ていないが、受け継がれているものもしっかり見える。そこも見どころとなりそうだ。
  (月刊パセオフラメンコ2018年2月号より/若林作絵)

 

あす水曜は青木愛子&ヴォダルツ・クララのパセオライヴ。
昨秋の草月ホール公演でめざましい進境を魅せた愛ちゃんと、
新人公演奨励賞以来のヴォダルツさんの師弟ライヴにもりもりと期待が募る。
座席指定残りわずか、パセオ忘備録執筆は若林作絵。

 

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2017年2月12日(月)その3132◆はよせーよ

 

スリリングに生々しい夢。

 

起きるなり記憶するシーンをwordに打ち込む。
考察は加えず、実際の場面のみを即物的に入力し終えたところ。
これだけストーリーが明快な夢も珍しい。
舞台は近現代の東南アジアか。
私は盗賊頭で、ハリマオとインディジョーンズが交錯するエンタ夢。
反体制ジタンの複雑な心境が盛り込まれているところが秀逸。
解析が楽しみ!って、、はよ仕事せーよ。

 

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2017年2月11日(日)その3131◆おぞまじい光景

 

時おりブ厚いビフテキが食いたくなるように、
時おりブ厚い音響が聴きたくなる。

 

オケならショスタコやブルックナーあたり、
などと気取りまくった青春時代のヤセ我慢の反動なのか、
近ごろは臆面もなくベタベタな人気交響曲を聴く。
悲愴、新世界、40番、未完成、運命、田園、ブラ3・・・
ぎゃあ、恥んずかしい!などと照れてる場合ではない。
明日にでもモチを喉に詰まらせ一丁上がりの世代なのだから、
残り人生を率直に謳歌したいものである。

 

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で、ブ厚いビフテキ代わりにドヴォルザ-ク『新世界』を
大音響で聴きながら一杯呑ってる。
肴は惜しくも薄い豚肉と鱈の湯豆腐。
最終楽章のころには髪ふり乱しながら指揮棒(長めの箸)を振り、
トランペットの強奏部分では両手は宙にユニゾンで吹き(歌い)まくる。

 

客観的には世にもおぞまじい光景かもしれんが、それがどーした・・・
ふと斜め後ろを見やれば、約3メーター後方でジェーが思いきり引いている。

 

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2017年2月10日(土)その3130◆万病に効く

 

バックにも家にもパセオにも周到に仕込んである。
ちょっとでも具合が悪いと、すぐさまその常備薬を呑む。
なので滅多に風邪をひかないし大病もしない。
バカは風邪をひかないと云うが、私の場合はひと味違う。

 

ふふっ・・・
お江戸の昔から、
ガンでも痔でも骨折でも金欠病でも、
何でもかんでも万病に効くと伝え聞く、
例のアレを呑んでいるのだ。

 

(↑ 昭和三十年代に多いカッコンおやぢ)

 

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2017年2月9日(金)その3129◆そこそこいい奴

 

梅見を来年の楽しみに、今日はパセオ4月号追い込み。
そこそこの天気にジェーもやる気まんまん。
表紙は最新DVDが発売となるサラ・バラスの、
あのゾクッとくるような逞しく美しい背中に注目!
よらんだ漫画や近藤佳奈さん写真連載や
白石和己さんのエッセイを含む新連載六本も、
校正直し待ちの安全圏。
夕刻から北口で、連れ合いと月イチおつかれ会。

 

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2017年2月9日(金)その3129◆そこそこいい奴

 

しばらく先までスケジュール表は真っ黒に埋まっている。
多くは達成感の高い案件なので、そこそこハードルも高い。
飛べるかどうかはわからない。
ゆえに、もろもろ周到に段取りを進めている。
それなりのプレッシャーはあるものの、
逃げを打たない限り、
まあ結果的には飛ぶことができるだろう。

 

そして何年がすると、飛んだクオリティ自体が
飛んでも無い大失敗ものだと分かってくる。
そうした循環の中で、それでもこうして生き永らえる不思議。

 

はあ~、人に対して人生は寛大だとつくづく想う。
神か仏かわからんが、
創造主というのはそこそこいい奴だと想えてくる。

 

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2017年2月8日(木)その3128◆乱歩ワールド

 

永年恋焦がれた女性。
若くして嫁いだはずだがら離縁したのかもしれない。
その憧れのマドンナの実家に婿で入ることになった、らしい。
何故そうなったのか、プロセスはまるで分からない。
しかも、その彼女が誰であるのか特定できない。

 

江戸の外れ、おそらくは世田谷あたり。
立派な庭のあるそれなりの豪邸に一張羅のスーツで出向く。
私は三十前後だろうか、下心満載で妙に身体が軽い。
自分の住む家も仕事も、そこらへんも分からない。
ただ、凡庸で尻軽な独身会社員であるような気がする。

 

全体にセピアトーンだが、灯篭の明りはオレンジ。
時代的には昭和三十年代の空気感が漂う。
右手に池を見ながら、長い廊下を歩いているうちに、
浮き浮きしていたはずの気持ちが徐々に暗くなる。
だが、耽美にして妙にエロティックではある。
すでに江戸川乱歩的世界に突入しているらしい。
暗くダダっ広い座敷に招き入れられる。
ボロを隠すべく、静かに卒なく対応する。   
楽しくはない先方のご両親との会見が終わり、
ようやく二階にある彼女の部屋に案内される。
やけに電灯がまぶしい。

 

ぎょぇっ!!!
ふり向いた彼女の異様に長い顔。
潤んだ大きな瞳に見覚えがあるが、声もアイレも未知の女性だ。
永年恋焦がれたマドンナとは別人のようである。
次の一手がわからず、呆然と立ち尽くす。

 

唐突に夢は終わる。
ホラーではないが、生々しい落胆を絵に描いたような結末。
断片的にはいくつか思い当たるフシがある。
おそらくは潜在意識が、この世にうまい話などひとつも無いぞ!と、
いい歳こいたお調子者のご主人さまに警告しているのだろう。

 

青春期に死病を患った吉行淳之介は、
貴重な残り時間の一部である夢を実際の人生の一部とみなし、
筒井康隆は人の夢こそが、人類を解き明かす鍵だと位置づける。
夢を見る時間というのは、数秒とか数十秒とか極めて短いらしい。
それだけでは意味不明の、映画のぶつ切り予告編みたいなイメージがある。
目覚めとともに忘れてしまうことが多いが、印象的は夢というのは、
それを思い出しながら辻褄が合うように物語を形成しているのだろう。
本日未明に見たであろう乱歩ワールド的な夢は、
年に一度見るかどうかの傑作。  

 

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2017年2月6日(火)その3127◆魅惑の珈琲

 

パセオフラメンコライヴ Vol.080
小林伴子ソロライヴ

 

http://www.paseo-flamenco.com/daily/2018/02/201728.php#006027
小林伴子(バイレ/パリージョ)
遠藤あや子(カンテ)
三澤勝弘(ギター)
山﨑まさし(ギター)
大谷美佐子(ヴァイオリン)
2018年2月8日(木)20時/高円寺エスペランサ
☆残席わずか!

 

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「例えば、スペインのおじさんやおばさんがなぜカッコいいのかというと、心と身体運動が一体化しているからだと思うのです。そこに超絶技巧は無い代わりに、まるで動物のように自然体です」
 踊ることへの心構えとして、心と体の相違を埋めていくのが稽古で、それはある技術を通して自分の感じた事が観た人にうまく伝わって欲しいと願うからだという小林伴子さんの言葉が好きです。そこに立ち、いるというだけで意味があるように思えてくる存在感。カスタネットの旗手として名を馳せているけど、むろんその踊りにはいうまでも無く気品と優しさと温もりがある。どれほどの鍛錬が今の彼女を作っているのか想像もつかぬが、私たちはそこに座って同じ空気を吸うだけで、その恩恵に属すことができる。超絶技巧と自然体とが同時に味わえる幸せ。
 初めてのパセオライヴでは直前に倒れたアギラールへの追悼を兼ねた公演になってしまったが、その思いは痛いほど伝わる舞台だった。その脇に笑顔の彼が見えたのは私だけではなかったと思いたい。二人の人柄が、相性が、垣間見えた気がした一夜でした。
 彼女が音楽家でもないのに音楽を奏でたい!と思う瞬間を創り出す伴奏者達と奏でる一夜の夢。小林伴子自身が創りたいと思う音と踊りに満ちた空間のアンサンブル、この日もきっと熱く黒く魅惑的な珈琲の様な味わいで魅了してくれると思うのです。
 それと忘れてならない猫好きってこと。時間があるとフラッとスタジオの看板のグリさんを見に行ってしまう私。(パセオ2月号より~石井拓人)

 

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2017年2月5日(月)その3126◆アルゲリッチ

 

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およそ四十年前の録音だが、
もぎたてのフルーツのような新鮮な味わい。
だがあの頃、先鋭的な彼女の演奏を懐かしいと感じた。
愛される革新、吟味された伝統とは、
こうしたものではないかと想う。

 

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2017年2月4日(日)その3125◆晩のおかず

 

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床屋に行ってすっきりしたジェー。
NHK将棋を観てから、土曜日曜と連ちゃんのパセオ出社。
すでにやる気まんまんの模様である。
晩のおかずを相談しながら、裏の緑道を往こうな。

 

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2017年2月3日(土)その3124◆気合いの入るまじない

 

このところ平日は鉄板業務だから、
土曜の朝はさすがに疲れが出る。
すでに連れ合いは代々木のスタジオに出掛け、
いまひとつ気合いの入らぬ私は、
手帳の年間スケジュールをちんたら改編しながら、
ペペ・デ・ルシアとともに『ブアナ・ブアナ・キングコング』
(パコ・デ・ルシアのライヴ・イン・アメリカ)をドラ声音痴で熱唱している。

 

何ごとですかいっ!?と、ジェーが書斎に飛んでくる。
いや何でもねえ、単なる気合いの入るまじないだ。
さてこれから、彼とお約束の同伴パセオ出社。
晩めしはおまえの大好きなクリームシチューだわ。

 

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2017年2月2日(金)その3123◆理想のテレビ局

 

トーマスと相棒とニュースを一時間ずつ流してくれるテレビ局があったら、
チャンネルはそこに固定で決まり。
なんなら6~8時と20~22時以外は全部CMでもいい。

 

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2017年2月2日(金)その3122◆ゆきが降る

 

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雪が降るたびに想い出す。

 

数年前、カリスマ・バイラオーラ大沼由紀さんに
パセオへの連載エッセイを熱望依頼した。
二人してその連載タイトル付けに迷い、
真摯の塊りのような由紀さんに
張り倒され覚悟でこう提案した(汗)

 

『ゆきが降る』

 

驚いたことに由紀さんは笑ってこれを承認し、
奇跡的に私は無事だった。

 

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2017年2月1日(木)その3121◆キリリと燃やす

 

それと感じさせない超絶技巧から紡ぎ出される気品と洗練。
冷静かつ精悍な音程と絶対的な美音は、なぜか独特の暗い表情に包まれる。

 

『相棒』目当てで早めに帰宅し、一本だけ原稿を書いたら、
胸がいっぱいになるようなオーケストラ伴奏のヴァイオリンが聴きたくなった。
たぶん腹が減っていたからだろう。

 

曲ではなく人で選んだのは、
フランコ(フランス)・べルギー派の巨匠アルテュール・グリュミオー。
学生の頃はこの人のモーツァルト(今でも人気ナンバーワンディスク)の
端正にすっかりやられたものだが、珍しく今宵はブラームスのコンチェルト。

 

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人気曲だけに数十はある名演の中、特に人気のある演奏ではないが、
彼のようなウルトラクラスになると、世の超美人さんたちといっしょで、
あとはもう好みの問題でしかなくなる。
最初から最後までキリリと内面を燃やす、
お寒い晩にぴったりフィットするブラームスの浪漫。

 


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