フラメンコ超緩色系

月刊パセオフラメンコの社長ブログ

粋な九平次 [036]

2006年02月15日 | フラメンコ


               粋な九平次


 
ここ数日また少しアクセスが伸びてるなあと、ブログの[アクセス元URL]をチェックしてみると「YANOYOSHIO」というサイトからの来訪者数が妙に目立つ。

 見習いの矢野君に調味料を持ってくるよう命じることの多いコックさんによる『矢野よ塩』というブログなのだろうと当たりをつけたが、そんな変なコックさんを俺は知らんぞ。
 いや待てよ……。矢野よ塩、矢野よしお……ん、あの矢野吉峰じゃねーのか。
 で、クリックした行き先はやはり、あの矢野吉峰であった。


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 1999年に日本フラメンコ協会新人公演で奨励賞を受賞した矢野吉峰さんは、注目の新進気鋭バイラオールである。
 何年か前の彼の初リサイタル(こまばエミナース)は、その年に私が観た全フラメンコ公演の中でもベストに入るものだったが、その彼の“超シャープ”な感性と技術からガツンと喰らった衝撃と快感は、今でも鮮明に思い起こすことができる。
 さらに彼は、そう、ご存知『曽根崎心中』の本格派ヒール、人気爆発のあの悪名高き“九平次”でもあるのだ。


               
  矢野吉峰も出演する日本フラメンコ協会15周年記念公演のチラシ
                 
16日なかのゼロ大ホール]


 下から二段目、右から三人目の色男が矢野吉峰さんである。
 ………ん、見えねーか。んじゃ、ど~んと拡大してみよう。




           
       
         [舞踊家モードの矢野吉峰]


 先週の金曜日、ある企画の写真撮影に立ち会うために私は井の頭線・池ノ上の“アルテ・イ・ソレラ”に出向いたのだが、そこでまず、とっくに死んだと思ってた九平次に出喰わし、さらに、彼のために心中に追い込まれたお初(鍵田真由美さん)と徳兵衛(佐藤浩希さん)が、その九平次と三人で仲良くジャレ合ってる光景には、いや驚いた。
 あの事件(1703年)からもう三百年近くも経っているのだから、ま、そんなこともあり得て不思議はないのかもしれない。

 さてその折、矢野さんとブログの話をしたような気がする。
 
彼はご自身でも人気サイトを運営されてることは私にひと言ももらさず、一方で私のブログをそこで御紹介・応援くださったのだということを、先ほどから彼のブログを観ながらやっとのことで呑みこめた私であった。おいおい、なかなか粋なことをやってくれるじゃねーか。


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 さあ、こりゃ強そーなのとめぐりあったぞと、つらつら読んでゆくと、なんと、矢野ブログは実に緩(ゆる)い。はっきり云って私以上だ。
 私のブロ愚は何だかんだと云っても、「真な姿勢」「謙な態度」「欠く調高さ」という三拍子そろったクオリティを特長とするわけだが、彼のそれはただひたすら緩い。
 ま、しかし『一日一笑』を標榜するあたりは、フラメンコの未来を担ってゆく人物にふさわしい大局観を感じさせ、そこらへんはチョー心強いぞ。ユーモアなくして豊かさなし。“笑い”は人類随一の必勝法則だ。だがしかし、ブログはチョーゆるい。

 よって私の場合は愛のムチとゆーか、その見せしめとして以下にそのURLを記す。

  サイト名Diario de Salaito/矢野吉峰のブログ』
 
        http://blog.livedoor.jp/yanoyoshio/


 そのキャッチコピーには、
 「日々の事をそれなりに投げやりに書き綴っています。」
 とある。
 ちょいとでも覗いてみるとわかるが、彼をご存知ない方は、こんな奴にほんとにフラメンコが踊れるのか、と必ずそう思われることだろう。
 そして、そういう先入観を十二分に培った上で彼のステージをご覧になることをお薦めしたい。
 その物凄すぎるギャップにガツンと一喝喰らうのは“近来稀に見る快感”のはずである。

 

 



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