フラメンコ超緩色系

月刊パセオフラメンコの社長ブログ

しゃちょ日記バックナンバー/2011年10月④

2011年10月01日 | しゃちょ日記

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 2011年10月23日(日)/その852◇ゾウリムシの自戒

 パセオ最新号しゃちょ日記に、O型の世渡り論を書いたら、
 意外な反響が早々に押し寄せる。

 震災後の人災後遺症と、ひたひたと押し寄せる世界恐慌の不安に、
 誰かが必ず何とかしてくれるはずだという安全幻想は壊れた。
 とりあえず原点に戻ろうかあ、と考えるのが私ら単細胞O型の特徴であり、
 そのゾウリムシ的自問自答が、かえって新鮮だったのかもしれない。

 勤勉さと愛敬。
 当時の私が選んだ戦略はこの二つで、老朽化した今もそれは変わらない。
 親の影響も大きいが、決定的だったのはバイト現場のボスの仕事ぶりだった。
 金を貰う職場には、金を払う学校にはない無差別攻撃的な厳しさがあった。
 職場でふれあうたくさんの老若男女を観察しながら、
 経験やら感性やら教養だけでは、攻めも受けもやや細いと感じた。

 自ら先頭切って作業しながらの、叱咤激励とユーモア。
 職場のボスの潔いリーダーシップに懐かしい快さを感じながら、
 現実を改善するのは、とりあえず勤勉さと愛敬だと分析した。
 勤勉さは金銭を保証し、愛敬は人間関係を育むと思った。
 他はさておき、共に欠落できないこの二つを青春必修セットと決めた。

 このような選択の浅薄さに気づくのは、ずっと後の祭りの頃である。
 いや、選択自体は誰しも自由なわけだが、
 私の場合、自分の選択を絶対視するところに問題があった。
 とは云え、タデ食う虫も好き好き。
 まあ、これもひとつの生き方じゃんかと、今は苦笑とともに納得している。

 人にはそれぞれ、その特性にふさわしい世渡り術があり、
 軽々と周囲に流されるのではなく、
 自分なりのそれをタップリの試行錯誤で発見し、
 それぞれ納得づくで実践すべしというのが本当のところだろう。

 ちなみに、私に尊敬された当時の職場のボスはO型ゾウリムシ。
 類は友を呼ぶ、というわけだ。
 類を形成するそうしたプロセスは発展の基礎となる段階だと思うが、
 現在の私たちが直面するのは、異なる類同士がいかに協調するかという問題であり、
 昔とは桁違いの破壊力を持った人類の、その存亡の鍵は、
 ゾウリムシの知恵を遥か超えたところにある。
 暴走するゾウリムシは、いつでもそのことを自覚している必要がある。


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 2011年10月24日(月)/その853◇やりすぎに注意

 「その前に君のフルネームと、君の実家の電話番号を教えてもらおうか」

 インタビュー編集の集中力が佳境に入ったある日の午前中。
 その任務完了後、大江戸散歩に飛び出すことをエサに早朝出社し、
 ぐいぐい加速をかけていると、電話が鳴り出す。

 何のことはない、こちらの需要とはまったく無関係の営業電話である。
 その刹那ブチ切れる私は、どよんと低いトーンで冒頭のセリフを吐く。
 はあっ? と相手の男性が小さく反応する。

 「一方的に仕事の邪魔をされてはかなわんな。
  君さあ、貧乏多忙なる労働者をナメたらいかんよ。
  そういう迷惑営業やってる以上、覚悟できてるよね?
  よし、そんなら五分と五分との関係に修正しようじゃないか。
  おれも1分だけ君の話を聴くから、おれも同じく1分だけ使って、
  理不尽に他人の自由を奪う君の所業を、君の家族に抗議させてもらおう。
  なあ君、自由の前提が平等であるってことは知ってるよな?」

 あ、あの、すみません、と小さく云って、彼は電話を切った。
 自ら選んだ職業の社会迷惑性はそれなりに理解しているらしい。
 腹立ちまぎれに幼稚な詭弁を弄する私の対応も相当にいやらしいから、
 この場合はまあ、悪人同士、五分五分のいい勝負だろう。

 こちらから理不尽を仕掛けることはなくとも、
 唐突に理不尽を仕掛けられることは誰しも多々あることだ。
 基本スルーだが、その時の状況やハラの虫の居所によっては、
 快適な社会環境創りに貢献!みたいな大義名分を持ち出し、
 それ相応に痛い目を喰らわしてやろうなんていう悪心が働く。

 だが、復讐の連鎖を回避しながらそれを実行するには、
 自由をはき違えるモンスター全盛のいま現在、
 案外とそれなりの覚悟が必要かとは思う。


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 2011年10月25日(火)/その854◇すり替えの技法

 ここしばらく、土日の酒を抜いているので、
 週末は家で晩めしを作ることが多い。

 鶏皮、ベーコン、豚バラ。
 じゃがいも、人参、玉ネギ、にんにく、エリンギ。

 ま、カレーにしてもいいんだが、
 予定通りクリームシチューにする。
 あいにくご近所スーパーはいんげんやブロッコリーを切らしていたので、
 青物にはちんげん菜を選ぶ。

 シチューの煮込み上がりに合わせて、これをさっと油で炒め、
 軽く塩コショウして、鍋にトッピングする。
 艶々した緑と鮮やかな人参との色合いが予想以上に美しい。
 綺麗なコントラストだね!と、珍しく連れ合いが目を輝かせる。

 料理は目で食う、と云う。
 舌さえ目をつぶれば、私の料理はおおむね美味しい。


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