フラメンコ超緩色系

月刊パセオフラメンコの社長ブログ

歩きたいだけ [163]

2006年10月14日 | 散歩の迷人






                 歩きたいだけ





 私は歩き続けていきたいだけ。

 雨が走るように、川が海に流れるように……


 


            
          『パコ・デ・ルシア/歩きたいだけ』
                                               polygram 1981年




 兄ぺぺ・デ・ルシアが唄うタンゴスの名曲『ソロ・キエロ・カミナール(道)』の一節。
 抜群のノリ、そして、
どーしてもご一緒に唄いたくなってしまう懐かしいメロディライン。

 “フラメンコギターの神”と崇められたパコ・デ・ルシアが、「片手に伝統、片手に革新」を旗印に国際音楽シーンで異種格闘技的に暴れまくっていた頃(1981年)の録音だ。のちのセクステットの原型もここに見られる。



 毎日のように聴いていた。正座かなんかで。
 したい放題に暮らしていた当時26歳の私が感じた「驚き」「憧れ」、そして……「あせり」。
 良し悪しはともかく、若い「あせり」がその三年後にパセオを創刊させた。


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 熱い夏が去り、いよいよ天高くしゃちょ肥ゆる秋の到来。

 パコ・デ・ルシアのギターとともに、さわやかな秋のアイレに包まれた街々を歩きまわることは、慎ましやかな私にとっての決して小さくはないよろこびだ。

 そうして今朝もこのアルバムを聴いたが、もぎたての「驚き」「憧れ」は25年前と同様に新鮮だった。

 では、残る「あせり」もそのままか?

 ……いや、ちょっと変わった
かも。

 その半分は磨きのかかった「やけくそ」に、もう半分は「ま、コツコツ行こーか」みたいな比較的明るいメロディに変わったかもしれない。










 
 
 

 





 


 



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