フラメンコ超緩色系

月刊パセオフラメンコの社長ブログ

しゃちょ日記バックナンバー/2018年04月

2018年03月01日 | しゃちょ日記

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2018年4月30日(月)その3213◆プロの自主練

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『プロの自主練』。
          
スリリングな夢から覚めた瞬間に閃いた企画。
試しに早速ジェーの雇用主に打診してみると、
十日ばかり時間がほしいと云う。
云ってみれば企業秘密の公開だから交渉は難航すると思っていたが、
ボツなら書き直すからと先ほど原稿を寄こした。
          
うん、初回はこれで行けるという内容。
デザインを起こしたら、それをサンプルに、
さしあたり一年分の執筆者たちに依頼をかける段取り。
早けりゃ8月号から連載スタート。

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2018年4月29日(日)その3212◆干され中

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あまりの唯我独尊ぶりに、
代々木の勤務先で干され中のジェー。
だが、なぜかご満悦の表情だ。
どこまでもミステリアスな男である。

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2018年4月28日(土)その3211◆禁書

禁煙
禁セクハラ
働き方改革
 
世の動向は、私を立派に更生させる勢いだ。
そのうち禁酒法も整備されるだろう。
本能を活性化させるという理由でフラメンコもターゲットになり得る。
理性を活性化させるという理由でバッハも禁止か。
だんだんとオーウェル先生描く理想郷が実現しつつある。
監視と密告のユートピア。
となれば当然、パセオは禁書だな。
その栄光の日まで出し続けたくなってきた。

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2018年4月28日(土)その3210◆謎ニモマケズ

うららかな土曜の朝湯。
連れ合い推奨の指圧院で疲れをひっこ抜いたら、
散歩がてらジェーとパセオへ。
感動の渡部ライヴの忘備録執筆と来年パセオライヴの仕込み。
そのあと北口ブロードウェイ市場で肴の買い出し。
晩めしは味噌漬ポーク焼き、ベーコン野菜スープの構想。
今宵のお楽しみは人気急上昇中、鳴神響一さんの新刊
『名探偵・宮沢賢治~謎ニモマケズ』。

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2018年4月26日(木)その3209◆注目◎の人

大入り満員、渡部純子ソロライヴ!
今晩20時、高円寺エスペランサ。
注目◎の人だけに、さすがに関係者も多数詰め掛ける。
フロントは歌って踊るパセオ新入社員、
パセオ忘備録執筆は、、あれ、えーと、誰だっけ?
忘備録掲示板調べてみると・・・おれだった(汗)

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2018年4月24日(火)その3208◆3秒フラット

水曜晩の右京さん『相棒』は長期休養中であり、
曜日感覚がかなり怪しくなっており、日曜午前のNHK将棋だけが頼りだ。
五十年来の習慣で、終盤の秒読みシーンになると、
その日が日曜であることをようやく自覚する。

持ち時間を使い果たすと一手1分の将棋、NHKのような30秒将棋、
他に初手から10秒将棋、3秒将棋なんてのもある。
勝てば焼肉・タクシー、負ければスッカラカンで二時間くらいは歩いて帰る、
みたいなフツーに勤勉な高校一年生だったから、
瞬間の決断力はあの頃ずいぶん鍛えられたはずだし、
父の介護もパセオ創刊も結婚も3秒フラットで決めた。

だが近ごろはそうした直観力もずいぶん怪しくなってて、
何か問題が起きたら犯人はこのおれだと決めてかかる直観が、
問題解決の最短距離となりつつある。      

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2018年4月24日(火)その3207◆蒼ざめた馬

永い間、アバウトな感覚だけで生きてきたことへの反動だろう。
詰将棋に近い感覚で、交渉ごとを直接会話やメールで進めるマイブーム。

5対5のギブ&テイク、もしくはウィンウィンが正解であり、
それを詰め上がりの正解とする。
勝利を正解とする将棋と、双方の幸福を正解とする世渡りとではそこが大きく違うが、
目的からの逆算で手段・行動を詰めるという点ではほとんど一緒だ。
そういう明快な方向性は、元旦から始めた「毎晩一局、藤井将棋を並べる」ことの
成果かもしれないが、意外にもマイナスは大きい。

ギブ&テイクなど鼻にもかけない独善主からの交渉を、
そりゃお話になりませんねと、こちらから一方的に話を打ち切ってしまう。
ややあってそれも驕りと怠慢だと気付き、そのアホさ加減に蒼ざめる。
そう簡単に藤井将棋には迫れない、にわか猿知恵の祟り。
二月に一回、四月に一回、馬鹿は死ななきゃ治らない。
なに様ですかいと、我が蒼ざめた馬に問う。

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2018年4月22日(日)その3206◆日帰り

驚きの12時間爆睡。
身体が生き返った感触。
指圧が効きはじめ、
眼医者や歯医者の治療も終わった。
いよいよ歯医者復活戦その第二回戦進出の勢いだ。

だがジェーは悲嘆に暮れている。
とうとう連れ合いが実家(新潟)に帰ってしまったのだ。
何時戻るか分からないが、用事済ませて今晩中には戻るとのこと。

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2018年4月21日(土)その3205◆やっぱしね

いい天気だ。
ジェーをお供に今日はパセオで原稿整理。
戻ったら買い出しと晩メシの仕込み。
PCを開くと昔懐かしいベッピンさんからメール。
読んでみると何やら怪しい物販勧誘。
おれも捨てたもんじゃねーなと一瞬ニヤけたが、
やはり、おれも捨てたもんだった。

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2018年4月20日(金)その3204◆渡部純子ソロライヴ

セクハラ記事でとっ捕まる可能性(汗

2018年4月26日(木)20時 高円寺エスペランサ
パセオフラメンコライヴVol.87
渡部 純子ソロライヴ

渡部 純子(バイレ)
栁 法枝(クラシコ エスパニョール)
ミゲル・デ・バダホス(カンテ)
ペペ・マジャ・マローテ(ギター)
三木重人(ヴァイオリン)

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 おおっ、明日は渡部純子のバイレライヴだっ! こう気づく瞬間、明朝遠足に出掛ける小学生の嬉し楽しい心持ちになる。とても美しい女性だからというのもひとつの理由だろうが、皆さんご存知の通りフラメンコというのは綺麗なだけではどうにもならないジャンルであり、八割方の理由は別にある。それは永年本場スペイン・バルセロナの老舗タブラオでトップを張ったプロフェッショナルな至芸そのもの、そしてそれらを日夜生産する柔軟にして逞しい矜持である。
「フラメンコは踊りでもないし音楽でもない、フラメンコはフラメンコ」なのだと、師である佐藤佑子、そしてエンリケ坂井の信念を継承するスタンスは、現代フラメンコシーンにあってむしろ新鮮な歓びとパワーを呼び醒ます。媚びるところの一切ない潔い男前のフラメンコは、上質なエロスと女性的な魅力に充ちあふれている。
 オンとオフの差は「ジキルとハイドです」と笑う彼女だが、何げないコミュニケーションを重視する普段の姿勢と、ステージ上で凛として輝く姿がわずかな狂いもなくまぶしく重なる。何処へでも飛んでゆける瞬発力を内蔵しながら力を抜く。本番は"ゴールキーパー"のイメージで臨むと聞き、大いに腑に落ちたものだ。
 オープニングから全身全霊で飛ばしてくる渡部のスタミナを心配するフリしながら、実は12ラウンド目いっぱい打ち合って、最終ラウンド終了間際、いつものように鮮やかにKO勝ちで飾る彼女のフラメンコをぞくぞくしながら期待してしまうおれってやっぱりサドなのかって想う。
 (月刊パセオフラメンコ2018年4月号より/小山雄二)

電話予約 ◇
昼(セルバ)☎03-3383-0246
夜(エスペランサ)☎03-3316-9493
メール予約 ◇ selva@tablaoesperanza.com

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2018年4月19日(木)その3203◆基礎工事

あす金曜晩はパセオ講座『カンテフラメンコ奥の細道』。

フラメンコの使徒・エンリケ坂井師による、
しみじみと心洗われる上質レクチャー。
現代フラメンコに脈々と引き継がれる古典のインスピレーションと粋。
聴いて歌って、歌って聴いて、そのルーツの情景を味わい尽くす。

http://www.paseo-flamenco.com/daily/2018/04/626_1.php#005931

「そのことはバイレ上達に関係あるのか?」
いや、関係というより、深層心理の基礎工事に近いのではないか。
おそらくは、無意識の最深部を育くみ、揺るぎない動作の品格を高める源泉。

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なんてことを前にも書いたが、同じことを書きたくなってしまう。
パセオの新人ライターしの(凌木智里)はこのレクチャーの常連なのだが、
こないだ初めて彼女のバイレ(←ストロング系)を観て、
なるほど合点がいった。

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2018年4月18日(水)その3202◆有子の楽しみ

今宵は待望の屋良有子ソロライヴ。
ほぼ一年ぶりに有子の成長・深化を楽しむ。
ギターはエミリオ、カンテはミゲル、パルマは雄輔。
パセオ忘備録はさとうみちこ、フロントは御子柴明子、雑用係はおれ。

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2018年4月17日(火)その3201◆中野たそがれ

「そっちもそーか?」
「えーーーっ、そっちもかあ」

まあ、そんなやりとりが老境の同世代というものなのだろう。
いい呑み屋を見つけたから中野まで出てこいと云うと、
現役バリバリ多忙をかき分けそのひと月後に奴はやって来た。
お互い血の気の多いほうだったから、
互いに気負いとアクの抜けたソフト化に驚き合っている。

立場の違いで三十・四十代にはよくぶつかり合った仲だが、
もともとウマが合うと云うか、根っこに近いものがある。
永い歳月が淘汰した、遠慮も建前もいらない
楽チン気ままな熱燗がしっくり沁みてくる。
なるほど、これが虚勢も装飾も要らぬ本音酒というものか。
相手や自分を鼓舞するような酒が多かったが、
ああ、もうこれでいいんだと、
寂しいような、しみじみ安堵するようなフシギな黄昏感。

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2018年4月16日(月)その3200◆強運やら悪運やら

「フラメンコに専門誌が無いなんて、おかしいだろ?」
「じゃあ、おまえが出せばいいだろ、人のせいにすんな」

1984年春、親しい音楽仲間たちとの呑み会。
愚痴を犯罪と考える連中だから言葉はきつい。
グーの音も出ない、シンプルな正論だった。
28歳、いま想えばそれが人生最大の転機だった。
グチ多き私はその日を境に、グチを止め提案する人になった。
生命保険を担保に借金をし、
とりあえずフラメンコの専門誌を三年続けることに決め、
その夏パセオを創刊した。

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パコ・デ・ルシアに代表されるフラメンコそれ自体、
とてつもないパワーを内包していることは当時から薄々感じていたが、
実際それは私の愚痴癖をピタリ止めさせた。
そのことの恩恵が強運やら悪運やらを引き寄せ、
まさかの創刊35年目を生きている。
かつての私のようにグチ多き人はたくさんいるが、
取っ組み合い覚悟で私を諌めた旧友たちに報いるべく、
相変わらずのワンパターンを押し通す。

「グチは聞かねーけど、おもろい提案なら一緒に汗かくよ」

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2018年4月15日(日)その3199◆同伴出社

土日連チャンで同伴出社。
連れ合いのスタジオがセカンドハウスなら、
パセオ編集室はサードハウス。
寝っ転がって校正してると、背中に乗っかり爆睡する。
終わったら、緑道沿いのカフェでチーズケーキのお約束。

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2018年4月14日(土)その3198◆屋良有子ソロライヴ

2018年4月18日(水)20時
パセオフラメンコライヴ Vol.86
屋良有子ライヴ

屋良有子(バイレ)
ミゲル・デ・バダホス(カンテ)
エミリオ・マジャ(ギター)
三枝雄輔(パルマ)
         
 あの目に射抜かれたいと思わない? フラメンコの世界で唯一無二の人・屋良有子。強い軸から生えたブラソは目にも留まらぬ速さで宙を切って残される軌跡、独楽のように正確なプエルタ・ケブラータ、心静かにここぞと刻むサパテアード。どんなに踊ろうが乱れぬぶれない体には、ぶれない精神が宿っている。
 有子さんの美しさは仏像に通ずるものがあると思っている。たとえれば、三十三間堂の千体千手観音立像。そっと目を開き、九百九十九体を残し抜け出して踊る。抱えているのは宇宙のありとあらゆるものに全幅の信頼を置く奉謝の気持ち。千の手には千の目があり、目は「知」の象徴と聞けば、そのオーラも納得する。
 強い眼差しは、けれど、時おりあやしく光る気がする。あやしさや色っぽさという言葉に「崇高な」という冠をかぶせたくなる数少ない人のひとりと思う。そのあやしさが、また、素敵だ。
 有子さんから、「"いま何をやってみたいか"と自問して、毎回答えを出してきました。大勢のアーティストを呼んだり、違うジャンルの音楽を取り入れたり、演出・構成を考えたり。その時の私に必要なことに挑戦してきたと思います。"ではいま何をやってみたいか"、フラメンコを踊りたい。ただただシンプルに。でも真正面から。少し怖くて、、、とっても楽しみです! ぜひ観にいらしてくださいネ」と手紙が届く。
 エミリオ、ミゲル、雄輔をバックにパセオライヴならではのギュッと詰まった70分。屋良有子の魅力に酔いたい。

 (月刊パセオフラメンコ2018年4月号より/関 範子) 

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2018年4月13日(金)その3197◆親孝行

東京下町・人形町育ち、画家志望だったが当時の慣いで12歳で奉公に出た父。
生涯仕事(紳士服仕立て)とクラシック音楽を愛した内気で温厚な働き者だった。
人さまのお役に立つことが生き甲斐だった駒込育ちの母。
まぢ下手だったがTBSラジオの民謡選手権に出場し、
あれよあれよと予選を勝ち抜き度胸と愛嬌だけで優勝した。

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我がまま放題の末っ子が、親の有り難みに気づいたのは十代後半働き盛りのころだが、
どちらの長所・短所も濃淡織り交ぜながら引き継いでいることに気づいたのは
ずっとあとのこと。遺産も負債も皆無で、
目減りしない暮らしの元手(仕事好き音楽好き)だけを遺してくれた。

明日4/14、63歳。
誕生日は気重なものだが、父の享年と並べることをちょっとだけ親孝行としておこう。
明日土曜は宵からご近所でかれこれ二十年つづく連れ合い主催の残念会。
短い首を長くして留守番ジェーは折り詰めを待つ。
本日13日の金曜日、机上は編集整理の海と嵐。
とりあえず今日一日、死なない程度にがんばろう。

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2018年4月10日(火)その3196◆粋で律儀で

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明晩の石塚隆充パセオソロライブ、
ギター伴奏は石井奏碧。
で、例によってプログラムのフライング発表だが、
なんと『CANTE DE TAKA』(CD付カンテ教本の第一集)
を掲載順に十曲歌うという。
明日はその第二集の発売記念ライヴでもあるわけだが、
律儀なタカミツらしい粋なアイデアだよね。

1. Soleáres
2. Alegrías
3. Tientos
4. Bulerías de Jerez
5. Siguiriya
6. Malagueña
7. Tangos
8. Sevillanas
9. Tarantos
10.Martinete
     
座席予約は絶賛受付中!
中盤あたりから、何かが降りてくる予感!
    
2018年4月12日(木)20時
パセオフラメンコライヴVol.85
石塚隆充カンテソロライヴ
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2018年4月11日(水)その3195◆リトマス効果

重たく逞しい憂愁はマルティネーテに似ている。

心のリトマス試験紙。
バッハ無伴奏チェロにはそんな機能もある。
寝不足の今朝は、やや酸っぱく弱酸性。
ややアルカリ(苦い)っぽい、
ケラスの冷静な推進力に引っぱってもらおう。

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2018年4月10日(火)そ3194の◆永い目

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戒律に飽き、仕事を怠け東京中を彷徨い歩いたころ。
三年歩いて気が済んだ。
いまのバランスはあの頃の恩恵だろう。
バランスは本能に聴け、とゆーことか。

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2018年4月9日(月)その3193◆石塚隆充ライヴ

発売同時にバカ売れ中!となったタカミツ先生のカンテ教本その第二弾!
CD付で2,500円は安すぎるが、今回も普及を取りますた。
その出版記念のパセオライヴは今週木曜で、もちろんサイン会付き。
まだいい席あるのでご予約はこちらまでどーぞ(↓)。

2018年4月12日(木)20時
パセオフラメンコライヴVol.85
石塚隆充カンテソロライヴ
電話予約 ◇
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夜(エスペランサ)☎03-3316-9493
メール予約 ◇ selva@tablaoesperanza.com

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「心の核は"無"に近いです。それは僕にとって、自由と解放を意味します。無とは、いかなるものからの束縛もない状態であり、同時に、いかなるものにもなり得る状態なんです」
 フラメンコはもとより、ラテン、ジャズ、ポップスと多才に歌い、親密なライヴであろうと大劇場でのミュージカルやオペラの舞台であろうと自然体で闘い続け、その存在感を刻みつける石塚隆充。その「核」に在るものは?という問いに、彼はそう答えた。
 様々なジャンルのミュージシャンと共演を重ねてきて、石塚は自らの心境の変化に気付いたという。純粋なフラメンコを歌うときは常に厳しい「自分との勝負」である一方、他ジャンルとの共演で意識が強まってきたことは「聴き手の存在」であり、何かを感じてもらい、その感じたものを持ち帰ってほしいという願い。その祈りにも似た想いこそが、石塚の真髄であり、それは"優しさ"なのだ。何でも歌いこなせるように見えて石塚は決して器用なタイプではない。「歌うことが好き」という彼の言葉の奥には、心を無にして一曲一曲の歌に込められた想いを受け止めようとする深い懐がある。ニュートラルな状態で歌の世界に染まり、素直に解放することで、その光景は温もりを帯びて聴く者の胸に届く。
「僕のステージが、未知なる新たな音楽と出逢うきっかけになれば、こんなに幸せなことはありません」 
 真摯に歌う合間のシャイな破顔一笑を想い出す。クールなカンタオールに宿る優しさに、また触れにゆきたい。
     (パセオフラメンコ2018年4月号より~井口由美子)

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2018年4月7日(土)その3192◆先喰い

午前中に仕事を済ませて遠出のつもりだったが、
ふと思い直して整体⇒パセオコースに変更。
今年は梅はパス、桜も数時間だったので、
せっせとスケジュールを先喰いして時を作る。
藤(亀戸天神)とつつじ(根津神社)と菖蒲(小石川後楽園)がやたら恋しい。

昨晩からのお約束でジェーも出社。
午後はどっぷりカマロン特集だな。
晩メシはおめえさんが泣いて喜ぶ、おでんに炊き込みご飯。
きのう仕入れた極上アジの干物もちょっとだけあげよう!

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2018年4月6日(金)その3191◆いよいよ

「シンプルな粋」。
そこが再注目される時代はもう来ないのかと想っていたが、
どーしてどーしてすでに来ていたことを、
昨晩の新宿ガルロチのペペ・トーレスに対する、
詰めかけた関係者多数の一様の反応で知った。
技術の進化と内実の深化とが、うまく噛み合わない時期は
意外と長かったから、正直救われる気分だ。
こうした傾向はこの先三年くらいで浸透する気配がある。
フラメンコの自浄性にびっくりしている。
2020年あたりの協会新人公演で、
そうしたバランス感覚が顕著になることを予測しておこう。
昨今の国際情勢と相反するところが頼もしい。

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2018年4月5日(木)その3190◆刷り上がり

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早くも刷り上がってきたパセオ5月号。
文化庁芸術祭大賞に輝く石井智子(川島浩之撮影)を
冷静に分析賞賛する若林作絵の巻頭一文が秀逸。
続く、味わい深いカプージョ(アントニオ・ペレス撮影)、
ドキリとする森田志保の見開き(大森有起撮影)。
ラスト近く、踊る喋り屋〝しの〟とよらんだ漫画に爆笑。
苦肉の埋め草〝しゃちょ日記〟は入れるんじゃなかった。
日々好日、日々反省。
        
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2018年4月4日(水)その3189◆三人会

明晩は四季の三人会。

ギターつながりで知り合った頃、
チコさん(プリメラギター社社長)は34歳、
林さん(カニサレスモデルや沖仁モデルのSIE社長)は32歳、
駆け出しプロモーターの私は24歳だったからみんな若かったし、
当時から世代を超えて妙にウマが合った。

あれから38年経過したわけだが、毎度まいど集まるなり
懐かしい昭和の昔にすこんとタイムスリップする。
皆生来のわがまま者だが、私の存在が霞んでしまうほど
お二人の先輩には筋金入りの迫力がある。
まあそれでも、云いたいことを云い合って、
それでもケンカにならない関係は悪くないと想う。

呑み会の勘定はワリ勘ではなく順番の持ち回りルール。
今回は私が幹事長なので、なんぼ呑んでも三千円みたいな
美女揃いの高級クラブで開催したかったが、
新宿ガルロチに行きたいという林さんのわがままに押し切られた。
「最年少者は幹事長職を辞退できる」という
後輩に優しい法案を今度こそ通してみたいものだ。

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2018年4月3日(火)その3188◆反動

メール返信が大小三十本ばかり溜まってしまった。
ムチャぶり多し。
普段の行ないの反動である。
今日は朝から晩まで渾身の返信。
ボックスを空にしたら、仕事してよしっ!

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2018年4月2日(月)その3187◆ポテンシャル

スタジオ番犬歴は十五年。
経理・総務の経験はない。
新しい仕事がしたい気持ちはわかる。
営業は向いてるかもしれない。
        
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2018年4月1日(日)その3186◆ケア

あれよあれよの四月。
三年先のインフラと一年先のスケジューリング、
それと毎月の締切とを粛々とこなしていたら、
半年ばかり放っておいた身体が悲鳴を上げはじめた。
ここらでちょっと抜くかと、6月号追い込みの合間をぬって、
きのうは眼科と歯科と整髪に出かけ、今日は整体とコンタクト新装。
どれも家から三分以内で行けるので、ほどよい休憩の気分で身を任せる。
待ち時間は久々の藤沢周平にどっぷり浸かって英気を養う。
生きてるだけで丸儲け、という先人たちの英知が春の青空から降ってくる。
        
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しゃちょ日記バックナンバー/2018年03月

2018年03月01日 | しゃちょ日記



 

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2018年3月31日(土)その3185◆だからリアル

もとはスペインで生まれたダンス音楽。
エロすぎて演奏禁止を喰らったこともある。
「シャコンヌ」。
バスク語の chocuna (ひどい)が語源 (汗)
決定版を創ったのはバッハ。

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テーマは低音部のメロディ。
そのリピート上に三十ほどの変奏を載せる。
ひとつの本質から生まれるさまざまな顔。
 天使と悪魔。
 激情と安堵。
 刹那と求道。
だからリアルで、まるで暮らしの参考書のよう。

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2018年3月30日(金)その3184◆自我爺さん

「Paseo編集長、新作ありがとうございます!
 相変わらず素人でも面白い絶妙な編集ですね
 面白かったです」

パセオライヴにも出没する
上原時代の呑み友Yukaちゃんからメール。
はみ出る色気と癒しの美人さんだが、
さすがにおだてのツボを心得てやがる(笑
まあしかし、ボコボコにされるのを常とする編集長稼業ゆえ、
月に一度はマッカランで自画自賛(自我爺さん)

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2018年3月30日(火)その3183◆メソポタミアの昔から

過度に内罰的、そのくせ責任回避したい。
自分以外の何かに原因や救いを求める病。

現場の鬼にしてパセオライター、石井拓人は現代の若者の傾向をそう読む。
なるほど納得の分析であり、ここ数十年、
つい最近まで(そしてこれからも)驚きと落胆の連続だった。
とは云え、若い私だって安穏とそこにハマった時期もあるわけで、
親や周囲もそういう頼りないモヤシ野郎を憐れんでいたに違いない。
だからこそ今、力なく笑いながらも、どーやら立ち直ることもできるのだろう。
「今どきの若者はなっちゃいねえ」
これはメソポタミアの昔からの伝統である。

不安は前進の糧だ、やり尽くしてから考えろ。
一心不乱の父は、シンプルな楽天性。
唯我独尊の母は、壁を作らないバランス調整力。
とまあ、不滅の名盤『シロコ』冒頭のタンゴがそう響く。

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2018年3月29日(木)その3182◆今宵はマリア

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今宵はマリア・パヘス。
近ごろの渋谷は鬼門だが、オーチャードだけは別もの。
パセオ忘備録(8月号)は白井盛雄と関範子が担当。
編集部新人Ricoも2018マイベスト座談会に向け初取材。
人気連載つれづれメンコの取材(6月号)で写真家大森有起も入る。
これから夕方まで6月号汗だくの追い込み。
終演後は来年度の重要企画会議という名の呑み会。
帰宅後は3/22藤井六段VS糸谷八段戦、三度目の徹底検証。
   
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2018年3月28日(水)その3181◆間違い探し

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日曜のNHK将棋トーナメントの決勝戦。
ジェーも私もテレビの画面もまったく動かないことに驚く連れ合い。
間違い探しですか?と突っ込むまにさん。
            
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2018年3月27日(火)その3180◆無いほうがいいもの

頼りになるデザイナーが精魂込めて仕上げてくれたレイアウト刷りをズラリ床に並べ、
この段階でページの並びを最終的に決める。
オールカラーに踏み切ったことでそういう自由度が増し、
マーケティングから割り出す予定の代割が大幅に変わることもある。
結論と決断、自由と責任、もう後戻りは出来ない、
センスのみが頼りのアナログ編集長冥利に尽きる瞬間だ。

ここはもっといい写真じゃないとな、
ここはもっと面白い文章じゃないとな・・と次々に欲が湧いてくる。
そのイメージが次号からのクオリティを高めてくれるから、
安い原稿料のわりに協働スタッフへの要求も高まってくる。
これは無いほうがいいなと感じるのはおおむね私の原稿であり、
一刻も早く全体のレベルを高めることで、
こうした汚点を早期撲滅する必要がある。

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2018年3月26日(月)その3179◆それがゆえに

あらゆる宗教から距離を置くようになったのは、
育った時代に拠るところも大きい。
もちろん共産主義や儒教などもその例外ではない。
1970年代に思春期を迎えた世代というのは、
そこそこ世界の宗教史の裏側を学んでいるし、
それらの布教現場の現実も嫌やというほど知っている。
そうした反動から哲学やらアートに流れたことはともかく、
世代的にはやはりラッキーだったと想える。
漂流先がフラメンコだったことは意外だったが、
今はそれが数少ない必然だったようにも思える。
挑戦と融合。
フラメンコは大いに本能的だが、
それがゆえに戦争を避ける知恵を内包している。

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2018年3月25日(日)その3178◆嵐の前の静けさ

花見帰りのオープンカフェ。
スイーツにがっつく寸前のジェー。

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2018年3月25日(日)その3177◆だから

深い味わい。

その人だけの魅力。
踏み込んだがゆえの困難、
その泥沼から探りあてたその人だけの真実。
行為と思索の積み重ねだけが生む、信頼に値する美しさ。
その熟成には永い葛藤を要する。
それらはしばしば普遍性を帯び、
人々に安堵と勇気を与えもするが、
すでに本人はあまり意識していない。
だからパセオを創る。

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2018年3月25日(日)その3176◆花見

きのうはパセオで番犬、今日は一家で遠足。
朝から絶好調のジェー。
朝湯で新聞を読んでたら、早く行こーぜと迎えに来る。
連れ合いは自主練に出かけた。
ケーコはケーコ好きなのである。
戻ったら、皆してご近所新井薬師の桜だ。
元旦以来の全休なので、全身脱力でのんびり暮らす穏やかな日曜日。

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2018年3月24日(土)その3175◆三日見ぬまの桜かな

各員万障乗り越え、あす日曜は一家総出で花見。
今年が最後だと云い聞かせつ、一方で塩分控えめの暮らし。
切腹を前に煙草を勧められ、いや身体に悪いから結構、
と断った故事を想い出す。

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2018年3月21日(水)その3174◆見よう見マネ

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なんとかしちゃう奴。
男でも女でも中性でも、先輩でも後輩でも同期でも、
そういう人間とつるむことが多いのは、
観ていて爽快であり、かつラクチンだからだろう。
元来ヘコタレ野郎の私も、やはりそう在りたいから、
見よう見マネでこの半世紀ほどそうやってる。
詰まるところ、これが一番疲れない暮らし方であり、
そんな意味でフラメンコはもってこいの場だった。

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2018年3月20日(火)その3173◆髙野美智子ソロライヴ

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高円寺エスペランサ、ともに20時スタート。
明日日水曜は松下幸恵(Vol.83)、
明後日あさって木曜は髙野美智子(Vol.84)が登場するパセオライヴ。
二日連チャンはシリーズ開始以来はじめてのこと。
高野は私の熱望にチャレンジしてくれると云う。
熱望とはどちらにとってもプレッシャーと知る(汗)。
パセオ忘備録執筆は井口由美子。

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2018年3月19日(月)その3172◆松下幸恵ソロライヴ

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あさって水曜パセオライヴは名古屋のマエストラ松下幸恵が初登場!
高円寺エスペランサ20時スタート。(フライヤーの19時半は開場時間)
協演はカンテのマヌエル・デ・ラ・マレーナ、
ギターの鈴木尚と俵英三、パルマに井山直子。
座席指定は予約開始翌日にソールドアウト。
以降の立見予約もパンパン状態。
パセオ公演忘備録担当は若林作絵。
気合い入るわあ。

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2018年3月17日(土)その3171◆かぼちゃプリン

「天気はいいけど寒いよ」

起き抜けに連れ合いが云う。
陽射しが書斎を直射して心地よい。
ユーミン『春よ、来い』が聞こえてくるようだ。

 春よ 遠き春よ 瞼閉じればそこに
 愛をくれし君の なつかしき声がする

お出かけ日和だが、連れ合いは生徒たちのライヴ本番、
私はパセオで記事書きなので、ジェーも出社で番犬、ご褒美はかぼちゃプリンだ。
晩めしもおめえの好物ちゃんこ鍋だから、今日もさわやかに張りきって行こーぜ!

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2018年3月16日(金)その3170◆35年目

編集長復帰号(4月号)の発送もすみ、5月号も校了し、
間髪入れず6~7月号の編集整理に入る。
本業もあるので今は時を稼ぎたい。
ページを減らしたが、Since1984、創刊35年目にして
ようやく念願のオールカラー印刷。
新企画をもりもり潜行させながら、来年新年号には増ページのメドも立った。

せっせと両面コピー手作り製本している29歳のおれに
こいつを見せて活を入れてやりたいが、あいにくタイムマシンは故障中。
まあ、欠陥だらけだがあきらめない奴なので、きっと何とかするのだろう。

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2018年3月16日(金)その3169◆節約

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寒い朝はパールマンであっためる。
暖房費の節約。
つま先まであったまる。
だがジェーはふかふか布団の中。
          
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2018年3月15日(木)その3168◆口説き文句

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「自分の欠陥に邪魔されない仕事に打ち込めばいい。
 できないことを悔やむには及ばない」

今朝の東京新聞で、ホーキング博士のこんな矜持を知った。
博士の功績に畏れながらも、欠陥とコンプレックスのデパートのごとき私は、
ド共感で胸がいっぱいになった。
また、博士はこんなことも云っているのだが、これは編集長復帰以来、
お仲間たちを口説くのに汎用する私の定番文句でもある。

「どのみち死ぬんだから、多少は善いことを」

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2018年3月15日(木)その3167◆安全ベルト

今日明日でパセオ5月号のデザイン入校が終わる。
だいぶ勘が戻ってきたので、ジェットコースターに例えるなら、
両手で万歳しながら引きつった笑顔をふりまくぐらいのことは出来るようになった。
ちなみに安全ベルトはセロテープである。

新連載は一本だけだが、これがめっちゃおもろい。
踊る喋り屋しの(凌木智里)による連載エッセイで、
春夏秋冬、年四回の掲載予定だったが、
とりあえず隔月連載に増やす魂胆であり、本人はまだ知らない。

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2018年3月14日(水)その3166◆大爆発を未然に防ぐ

「愚痴は周囲と自分を同時に腐らせるから、
 一歩踏み込んで具体的な改善策を提案したらいい」

十年も昔にmixiにそんな風を書いたら炎上した(汗)。
十代半ばで社会に出た頃、それが愚痴だということも知らずにさんざボヤいたことで、
周囲の大人たちから総スカンを喰った苦い想い出から、
あの頃はほんとバカだったよと自嘲を込めて書いたつもりだったが、
愚痴がいかんとは何事かとボカスカやられた。

「男と女では生理が違うのよ。ぐちぐちコボすことで大爆発を未然に防ぐの」
唯一この見解には合点がいった。
とはいうものの類は友を呼び、永年の仕事仲間や呑み友たちは男も女も皆、
愚痴知らずの完全燃焼タイプであるからして、
いっこうに愚痴に対する免疫は育たず、十年にいっぺんほど、
こうしてぐちぐちコボすことで大爆発を未然に防ぐ。

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2018年3月14日(水)その3165◆ギブ&テイク

まー何処へ云ってもグチだらけでたまったもんじゃねーが、
そんなにおれにグチが云いてーなら、
一分だけ聞いてやるから一発殴らせろというグチ。

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2018年3月13日(火)その3164◆高め安定

前列左のヒロミ(山室)とボクシング観戦の打ち合わせ、
右隣りの今宵の忘備録ライター関範子と来年新年号の大型企画の相談、
後列のボケ老人への対応と、いつもながら何かと忙しい開演前。

代々木上原ムジカーザのアルテイソレラ『港に着いた黒んぼ』初日。
やはりと云うか、鍵田真由美と大沼由紀の〝黒白(こくびゃく)の
コントラスト〟には内臓に鳥肌が立った。
横綱同士が恐れることなく対峙し、互いの底力を存分に発揮し合う
世にも稀なるガチンコシーンに、なぜか不思議と涙腺がゆるむ。
凄いもん同士がこれ出来るって、実はこれ稀有なことなんだよね。
フラメンコ的完全燃焼という点で若干不満は残るが、
アルテイソレラの高く安定するクオリティに今回も脱帽。
団員たちの深く潔い献身、そして、おそるべきコンダクター佐藤浩希。
あっ、矢野吉峰のワル役も九平次ばりに黒光りしてたぞっ!

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2018年3月13日(火)その3163◆港に着いた黒んぼ

今宵はアルテイソレラ、久々のデスヌード。
会場は代々木上原のムジカーザ。
以前住んでた自宅から歩いて五分の会場だったので、
開演前にひとっ風呂浴びてブラり出掛けるのが定跡だったが、
中野に引っ越して来てからもその黄金定跡は不滅である。

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今回は小川未明の原作『港に着いた黒んぼ』。
あの大沼由紀さんの客演が大きな観処になるだろう。
何年か前の日本橋劇場の「鍵田真由美(生)VS
大沼由紀(死)」の凄絶な葛藤は、日本フラメンコ史の金字塔だった。
観る前からゾクゾクするパブロフ状態がアルテイソレラ公演の真骨頂である。

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2018年3月11日(日)その3162◆生き埋め以外は

パセオ5~6月号の入稿ラッシュで、土曜予定の遠足は来週に先送り。
ボーナスとしておやつは450円まで。これで歌舞伎せんべいが射程に入った。
納期と闘うそこそこハードなトンネル工事は、抜けてみれば結局、
これが裏方稼業のやり甲斐、自らも掘り進む現場監督の歓びなのだとわかる。
この先も果てしないトンネル工事はつづくが、
生き埋め以外はすべてオッケーと判明。

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2018年3月10日(土)その3161◆労働歌

歩いて五分のパセオ編集部。
来客や電話の少ない土日祭などは妙に作業がはかどるので、
休日は連れ合いのスタジオの仕事(番犬)が非番となるジェーを連れ、
ついつい遊びに来てしまう。

ひとり気ままな休日出勤の主なBGMはグールドのバッハ、
ファジル・サイのモーツァルト、桂枝雀師匠の落語などで、
作業の性質に合わせてアバウトに選ぶが、
さすがに"音楽"としては聴いていない。
ただ、どれもパコ・デ・ルシア『アルモライマ』や『熱風』のように
数千回はまじ聴きしたものばかりで、
あらゆる細部に至るまでしっぽり心身に染みている。
だからある瞬間に触れるだけでその全貌が全身を貫く。

おそらく私は、ある一定の距離を保ちながら名人たちのリズムの呼吸に反応している。
それらに共通する安定した骨太の通奏低音が、
雑念から逃れ作業能率を高めながら集中に達しようとする快適な追い風となる仕組み。
その意味ではフィジカルに作用する労働歌に近くて、
事務作業は落語、編集整理はモーツァルト、企画と記事書きはバッハ、
みたいな役割分担が多い。

中でもシンプルな二声が対話の理想を奏でるグールドのフランス組曲(バッハ)は、
読者や取引先との会話を楽しむような気分ですらすら筆を進ませる。
このようにほぼ万全たる休日の制作環境であるのだが、
唯一文章のクオリティの問題だけが解決されぬまま今日に至っている。
ちなみに、平日はフラメンコ漬けのジェーの、
休日のお気に入りはモーツァルトのようで、
落語をかけると何故かのそのそ足元から遠ざかる。

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2018年3月9日(金)その3160◆一週間

明日土曜は久々の安息日。
地元書店でじっくり選んで、向島百花園で読書三昧。
おやつは三百円まで。
ただしゆで卵とバナナはこれに含まない。
帰りに渋谷タワレコで外盤バッハ新譜を漁り、
宵から中野で連れ合いと月イチおつかれ会。
ちょっとサボってささやかな平穏と解放、日曜から新たな一週間、
テュリャテュリャテュリャテュリャーリャー♪~   

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2018年3月8日(木)その3159◆注文の本質

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「3月22日は2回目のパセオライブ、
 小山さんに前回頂いた課題をクリアできるように頑張ります」

クールビューティ、という形容がぴったりだったあの頃の髙野美智子。
あの頃というのは、小島章司門下生だった三十年も前のことである。
やがて髙野は、事も無げに協会新人公演奨励賞を受賞し、
美しい絵心・洗練の突出する本格バイラオーラに成長した。

「フレームからはみ出して完全燃焼する髙野」
それが私の注文(ムチャぶり)だった。
我ながら、まったく観客席というのは我がままなものである。
まるで編集部に対する読者の如しである(汗)
期待する人に対する注文とは、結局のところ、
それは自分に対する注文でもあるわけだ。

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2018年3月7日(水)その3158◆すっかり朝型

近ごろは6時始業なので、遅くも23時にはジェーと布団にもぐる。
早くに帰宅し『相棒』待機の煮物中。
かつおと昆布と日本酒の京風出汁で、豚バラ、大根、こんにゃく、
じゃが芋、ゆで卵、うす揚げ、最後にはんぺん。
(いけねっ、ちくわぶ忘れたあ)
ジェーと連れ合いの帰宅に合わせ、あとはコトコトとろ火で煮込むだけ。
これから湯船でゆっくり、カズオさんの続き。

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2018年3月6日(火)その3157◆伸びしろ満載

予定より三日早く、編集長カムバック号が仕上がってきた。
         
スリルと冷や汗万点の二ヶ月だったが、
パセオ創刊時や協会設立時のジェットコースター感覚が蘇り、
やっぱりオレにはこれなのかと合点がいった。
将棋なら初手を指したところ、
ステージなら幕が上がったところであり、
すべてはここから始まる。
まあしかし、おれなら迷わず定期購読だな。
「いつか読み返したくなる」という編集方針の精度はさておき、
希望と伸びしろだけは満載である。
自分独りじゃ何も出来ない奴だけに、
ひと肌脱いでくれたすべての仲間たちに感謝!

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2018年3月4日(日)その3156◆飛躍

作用反作用の法則。
だから人は平等である。

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2018年3月3日(土)その3155◆いつかきっと来る

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1966年フランス映画の名作『男と女』のアヌーク・エーメ。
私ら世代における美女の典型である。
ところが若い世代と話すと、意外と無反応であったりする。
なるほど、美女や美男の基準は、時代や地域によって大いに異なる。
環境による刷り込みは思いのほか大きく〝絶対〟はない。
つまり、いつかはあんたやおれの時代がきっと来る。

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2018年3月1日(木)その3154◆反動は三日後

筋肉痛が三日後にやって来る。
若い頃ならスッと翌日来てくれたものだが、
伝達回路に衰えが生じている。

身体ばかりではない、心も同様である。
いいことも悪いことも、
鈍く静かに受け止めることが出来る。
嬉しすぎて馬鹿にハシャぐこともなく、
哀しすぎて落ち込むこともない。
冷静にその時点ですべきことに集中するわけだが、
およそ三日後にその反動がやって来る。

嬉しさ余って相手に抱きつくでもなく、
また怒りに任せて張り倒すでもなく、
わが身に起こった事象に対し、
衝動的に反応するのではなく、
ある程度冷静に判断できるわけで、
まあ、その意味では悪かない。
しかしながら、それを年の功と云うべきか、
あるいは耄碌(もーろく)と云うべきかは、
実にビミョーだ。

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