フラメンコ超緩色系

月刊パセオフラメンコの社長ブログ

しゃちょ日記バックナンバー/2009年11月①

2010年09月11日 | しゃちょ日記

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 2009年11月01日/その125◇強運のキープ方法

 気ばかりが焦り、良い分別が出来ないことでしょう。
 月蝕のように次第と曇り、
 暗闇立ち込めるような状態となりましょう。
 車がありながら行く先が定まらぬように、
 良い事が目の前にありながらも、
 手が届かぬ状態でしょう。
 魚が水にあわないと死んでしまうように、
 周囲と心が通じなければ何事も成立しません。
 常に世に順応する落ちついた姿勢が大切。

 願望、叶いにくいでしょう。
 病気、危いでしょう。
 失物、出にくいでしょう。
 待ち人、現れないでしょう。
 新築・引越、見合わせましょう。
 結婚・付合、悪い結果となるでしょう。

 浅草雷門.jpg

 伝法院通り.JPG

 浮かれながら浅草をぶらついてたら、
 うっかりおみくじを引いちまった。
 全戦全敗ボロ負けの“大凶”。

 浅草・金龍山浅草寺のおみくじは、
 当たりすぎるのが難点である。
 まるで私の半生をそのまんま描く
 走馬灯のようではないか。

 だが、大吉を引くことで
 残り少ない運気を使い果たすよりはマシだったと、
 むしろ喜んでしまう手もないではない。
 って、だったら最初からおみくじなんか引くなって。

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 2009年11月02日/その126◇欠陥の逆用

 「才能というのは、
 最初から“有る”ものではなくて、
 むしろ“何かが欠乏してる状態”から
 発するものではないか?」

 物心ついたころから、
 すでに臆病な性質だったように思う。
 私の本性ともいえるセッカチな性格も、
 その臆病さゆえ、周囲にとり残されるのを
 恐れるあまりに形成されたものだと分析できる。

 周囲にキャンキャン吠えまくることで
 己を守ろうとする防御戦略よりも、
 セッカチという玉砕戦略の方が
 自分向きだったのだろう。

 もちろん今も直っちゃいないが、
 若い頃は食えなかったこともあるし、
 それなりの野心もあったから、
 いつでも本格的に焦っていた。
 結果としては「生き急ぎ」の典型タイプである。

 だから量やスピードを要求される
 忙しいジャンルではそれなりに適性を発揮したし、
 今の仕事でどうやら食えるようになったのも、
 実はこのセッカチさに負うところが大きい。

 怖くてジッとしてることが出来ないだけの話なのだが、
 ま、好意的に見てやれば、
 人格上の欠陥が、
 世渡り上の長所になり得た一例と云えないこともない、
 という強引ぐマイウェイな本日のオチ。

 軒を出て犬.jpg

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 2009年11月03日/その127◇あしたのジェー(1)

 何やらかんやらでチョー忙しいため、
 今日から1週間ばかり、このしゃちょ日記を
 わが家のジェーに任せることにした。

 あいにく彼は文章が苦手なため、
 写真のみ掲載つーことで。
              
 開店休業.JPG

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 2009年11月04日/その128◇あしたのジェー(2)

ジェーシャドー.jpg
        
           シャドウ・オブ・ユア・スマイル。

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 2009年11月06日/その130◇あしたのジェー(4)

ジェー番犬.jpg
 
 私の仕事中は、見張り番の鬼と化す。

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 2009年11月07日/その131◇あしたのジェー(5)

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 深まりゆく秋の、紅葉を待ち望む。

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 2009年11月09日/その133◇あしたのジェー(6)

ジェーフラメンコ人形.jpg

 迷惑、、、でもない。

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 2009年11月10日/その134◇あしたのジェー(7)

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 1週間、ごくろーさん。
 忙しい時は、またよろしく頼むぞジェー。
 私が日記を書くより、来場率も上がるしな。(涙)

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しゃちょ日記バックナンバー/2009年11月②

2010年09月11日 | しゃちょ日記

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 2009年11月11日/その135◇王子にて

 端正な語り口と大らかなユーモア。
 心のざらざらを洗い流してくれる、
 温か味がにじみ出るようなアートだ。
 私の中のフラメンコの水準で云えば、
 それはチャノ・ロバートのカンテに匹敵する。
 
 この秋他界された三遊亭円楽師匠。
 笑点の司会はいただけなかったが、
 そのライブの高座は巨大なオーラに充ち満ちて、
 言葉には言い尽くせない贅沢な味わいがあった。
 
 ソレア系みたいな大ネタも素晴らしいが、
 アレグリ系の中くらいのネタを私は好む。 
 有名な『目黒のさんま』の録音などは天下一品だ。
 それらライブ録音は、今も私の日常をじんわり潤す。
 
 円楽.jpg
    
 師匠が旅立った翌週の午後、
 円楽CD全集を10枚ばかりリュックに詰め込み、
 そのアルテを偲ぶ散歩に出かけた。
 唐突に名作『王子の狐』が聴きたくなったので、
 じゃあそこだと、国電(←死語)で王子に出た。
 名人の「星の王子さま」という若き日の称号からの
 連想もあったかもしれない。

 八代・暴れん坊吉宗の頃の江戸時代。
 王子・飛鳥山は江戸庶民のための桜の名所だった。
 いつの間にやら、飛鳥山モノレールなんかが出来てた。
 全長が50メートルもないところが、王子らしくてステキ。
            
  飛鳥山のモノレール.jpg
                    
 何の用事で行ったのかは忘れたが、
 学生時代にお世話になった明治通り沿いの
 老舗ホテルも健在だった。
      
 王子のラブホ.jpg

 東京北部特有のアップダウンが楽しめる飛鳥山は、
 落語を聴きながら散歩するにはもってこいのコース。
       
 飛鳥山1.jpg
        
 飛鳥山3.jpg
        
 ここらで『王子の狐』と『目黒のさんま』の、
 円楽節の名調子を懐かしんだが、
 聴いても聴いても聴き足りず、
 さらに石神井川をさかのぼるコースを歩く。

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 2009年11月12日/その136◇秋の石神井川

 きのうの続き。
 とりとめもなく、円楽師匠の明るい至芸に没入。
 飛鳥山から、滝野川親水公園を経て、
 石神井川をさかのぼるパセオ(遊歩道)を歩く。
 
 石神井川7.jpg
 
 いっとき練馬に住んでた頃は、
 この石神井川を、豊島園あたりからから
 隅田川に抜けるコースを好んで歩いた。
  
 石神井川3.jpg
 
 ぶらぶら歩いちゃ一服を繰り返し、
 師の名演『宮戸川』、『厩火事』、『万金丹』、
 『らくだ』などを次々に聴く。

 石神井川2.jpg
 
 想えば昔から、大好きなアーティストの追悼は、
 こんな風にやっていた。
 桂枝雀師(落語界のパコ・デ・ルシア)がなくなった時には、
 仕事を投げて、10日ばかりそんなことを続けたものだ。

 石神井川6.jpg

 五代目、三遊亭円楽。
 ニッポンの誇り。
 来年六代目を襲名する楽太郎師匠も、
 必ず凄いことになる、と私は想う。
  
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 石神井川両岸は紅葉の頃に、その実力を発揮する。
 また来月、仕事さぼって歩きにこよう。
 って、まあ、なんてとりとめのないフラフラ日記。

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 2009年11月13日/その137◇ダヴィ・ラゴスのソロデビュー盤

 この数週間、ほとんどパセオで流れっぱなし。
 なんだかホッとするような、久々の本格フラメンコだ。

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 DAVID LAGOS/EL ESPEJO EN QUE ME MIRO
 (フラメンコ・ワールド/2009年)

 このところ、日本人のフラメンコ公演に、
 これもやはりチョー凄腕ギターの兄、
 アルフレッド・ラゴスと共に活躍する
 カンタオールのダヴィ・ラゴス。
 森田志保さんや石井智子さんの公演でも、
 私たちを心底シビれさせた。

 それもそのはず、2007年には本国スペインで、
 踊り伴唱の最高賞グラン・プレミオを受賞している。
 だが、彼の本領はむしろカンテソロにある。
 余分な派手さを制御する誠実な声質。
 ふくよかに密度高く、よく伸びる。
 しみじみと深い抒情。
 コンパス、音程がすこぶるよいが、
 何よりホカホカにあったかい。

 がしがしプーロや思いきり現代的なノリの、
 そのどちらでもない。
 じゃあ、誰も聴かないのか?
 いーや、その真逆なんだよね!!!
 誰もが入り込んで聴ける、ストライクゾーンの広いプーロ。
 入門者とマニアを同時につかむ、とっつき易さと高純度。

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 2009年11月14日/その138◇100万光年

 マウリツィオ・ポリーニ。
 1942年、イタリアはミラノの生まれ。
 今年67歳となる、国際的な大ピアニスト。

 高校三年生の時にポリーニを聴き、
 私はピアニストになることを断念した。
 向こう1000年間、ピアノ修行に没頭したとしても、
 この私にポリーニを超えることは不可能であることを、
 瞬時に悟ったからである。
 ちなみに、もうひとつの理由は、それまでの私には、
 ピアノを練習したことが一度としてなかったことだ。

 当時18だった私に対する、当時のポリーニは31歳。
 それから36年間、私は彼のバッハを日々待ち望みながら
 暮らしてきたことになる。

ポリーニ.jpg
 マウリツィオ・ポリーニ/
 バッハ:平均律クラヴィーア曲集第1巻
 グラモフォン制作(2009年2月録音)

 やはりそー来たか。
 待望のバッハ着手は『平均律』だった。
 ゴルトベルクだともっとうれしかったが、
 贅沢を云ってはバチが当たるな。

 老境を迎えたポリーニの枯淡の境地……なのか?
 って、そんなわけあるハズもねーよ。
 世界中を唖然とさせた、あの明晰にして
 完璧なピアニズムはいまだ健在。
 うっ、そこまでやっちゃうの、てな感じで、
 いつものようにアグレッシブなアプローチで
 鍵盤をバンバン叩く。
 およそ誤魔化しというものとは無縁な、
 真っ向勝負のガチンコ・バッハ。
 
 ふうっ。
 シビれるような快感。
 やってくれるよなあ。

 18歳の私と31歳のポリーニには、
 かつて天地の差(約1000年)があった。
 ところがどっこい、私もがんばった。
 驚くべきことに、現在では
 100万光年ほどの差があるのだが、
 ……それがどーした。

 両者のすき間が大きければ大きいほど、
 逆に大いにラクチンな気分で、
 ポリーニの真似をするのではなく、
 オレ様にしかできないやり方で生き抜いてみたくなるのだ。

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 2009年11月15日その139◇よっ、日本一!

 木曜会がチョー午前様だった金曜日は、
 日がな本誌のインタビューづくし。
 たまった疲れをゆったり湯船で落とし、
 行きつけで一杯やる。

 居合わせたタワケ者どもと
 日刊パセオ『シュール・アホリズム』の爆笑ネタで
 盛り上がっている内に、なぜかナゾかけ大会に突入。
 
 「新聞の朝刊」と掛けて、
 「坊主」と解く。
 その心は、
 「今朝(袈裟)きて、今日(経)読む」

 「朽ち果てた教会」と掛けて、
 「彼女の結婚式」と解く。
 その心は、
 「神父(新婦)の心労(新郎)、いかばかりか」

 小粋な佳作を次々と繰り出すのは、
 地元のボスで町会長の金ちゃん(本名・金之助)。
 どー見ても893だが、心やさしいインテリあら還だ。
 新設する町会事務所の地鎮祭が無事に済んだとかで、
 ゴキゲンの絶好調である。
 ならば私もと、とっておきを披露する。
 
 「相合傘」とかけて、
 「女と男」と解く。
 その心は、
 「私が開いて、あなたがさす」

 とほほ3.jpg

 珍しく一定の格調を保っていた座のアイレは、
 イッキに吹き飛んで、
 これをもって、いつもの下ネタ大会に突入する。
 さあ、そこでもギンギラ絶好調な金ちゃんは、
 やんやの喝采を浴びつつ、
 お仲間の勘定をすべて引き受け、さっ爽と退場。
 よっ、金ちゃん、ニッポンイチっ!

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 2009年11月16日/その140◇人気爆発! 中田佳代子のSin Frontera

 「フラメンコ舞踊家。
  国境なきフラメンコを目指し、日々奮闘中」

 『中田佳代子のSin Frontera

 中田佳代子.jpg

 中田佳代子は、
 スペインのペーニャ・ペルラ・デ・カディスの
 アレグリアス・コンクールで、外国人としては初の
 準優勝に輝いた筋金入りの実力派バイラオーラ。

 明るくてアイレもビンビンな文章に惚れこんで、
 即座に連載をお願いした。
 日刊パセオフラメンコで、人気爆発中の連載ブログだ。
 現在はスペイン・バルセロナのタブラオで踊る様子を
 リアルタイムで読むことができる。

 度胸と愛敬。

 時代がどうあれ、やっぱ人間はコレだわなと、
 毎度ふんふん納得しながらこれを読む。 

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しゃちょ日記バックナンバー/2009年11月③

2010年09月11日 | しゃちょ日記

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 2009年11月17日/その141◇ささやかな達成感

 「かんだがわ(神田川)」

 ジェー神田川 010.jpg
     
 この言葉に、わが家のジェーは過剰に反応する。
 年に二度ほど、一家総出(連れ合い、ジェー、私)で、
 神田川のパセオ(遊歩道)を散歩することは、
 彼の犬生の中で、もっとも楽しい時であるらしいのだ。

 「よし、明日はみんなで“かんだがわ”だ」
 前の晩にこう云うと、おなかを出してのけぞって喜ぶ。
 お天気もそこそこのある日曜の午後、
 その神田川両岸の緑多き爽やかな佇まいの中を、
 永福町から水源の井の頭公園までの約8キロを歩く。
              
 ジェー神田川 017.jpg

 人間でもそこそこくたびれるコースなのだが、
 休憩するのももどかしげに、神田川の水源までを、
 彼はほとんどイッキに歩き抜いた。
 
 水源そばの緑地で弁当を開く。
 腹ペコ一家はおにぎりにありつくわけだが、
 ジェーもやっぱり、
 この瞬間のささやかな達成感がうれしいんだね。
     
 ジェー神田川 034.jpg

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 2009年11月18日/その142◇堀越千秋の成分解析

 先ごろ書いた成分解析の日記について、
 いろんなところで突っ込まれた。
 それではと、他の方々もヤリ玉に
 あげてみたくなるのが人情である。
 私に集中する非難を緩和する必要があるからだ。

 で、その記念すべきヤリ玉第一弾は、
 日刊パセオの『フラメンコ狂・番外日記』でも大評判をとる、
 あの堀越千秋画伯である。

 「成分解析 on WEB
 
 【堀越千秋の解析結果】
 堀越千秋の69%は海水で出来ています
 堀越千秋の18%は知識で出来ています
 堀越千秋の5%は濃硫酸で出来ています
 堀越千秋の5%はミスリルで出来ています
 堀越千秋の3%は言葉で出来ています

 ぷっ。
 なんとなく、大アタリ~って感じなんだよね。
 すべての生命は海水から生まれるわけで、
 その巨大なスケールは、まさしく巨匠にふさわしい。
 しっかしさ、コワいぐらいに当たるよなあ。

堀越千秋.jpg
堀越千秋 Official Website はこちら

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 2009年11月19日/その143◇濱田滋郎の成分解析

 ヤリ玉シリーズ第二弾。
 日本屈指の音楽評論家にして、
 われらが日本フラメンコ協会会長であられる、
 あの濱田滋郎塾長にご登場いただく。(汗)

 「成分解析 on WEB

 【濱田滋郎の解析結果】
 濱田滋郎の99%は電力で出来ています
 濱田滋郎の1%は祝福で出来ています

 ひえ~~~
 シンプルにして大胆。
 やっぱし大物は違うよなあ。(汗)
      
 おーまいがっど.jpg

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 2009年11月20日/その144◇連れ合いの成分解析

 ヤリ玉シリーズ第三弾。
 この成分解析をわが家に持ち込んだ犯人、
 私の連れ合いに逆襲する。

 「成分解析 on WEB

 【鈴木敬子の解析結果】
 鈴木敬子の61%は小麦粉で出来ています
 鈴木敬子の31%は利益で出来ています
 鈴木敬子の6%はミスリルで出来ています
 鈴木敬子の2%は理論で出来ています

 ぷっ。
 小麦粉で出来てんのかよ。
 やっぱしね。
 では、本名ではどーなる?

 【小山敬子の解析結果】
 小山敬子の72%はむなしさで出来ています
 小山敬子の12%はお菓子で出来ています
 小山敬子の6%は言葉で出来ています
 小山敬子の5%はミスリルで出来ています
 小山敬子の5%は白インクで出来ています

 な、なにっ? この悲惨さ!(汗)
 小麦粉をこんな人生に変えちまう
 亭主の顔が見てみてーよ、ほんとに(涙)
 とほほ3.jpg

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 2009年11月21日/その145◇ジェーの成分解析

 ヤリ玉シリーズ最終回。
 だんだん私の立場も苦しくなってきたので、
 わが家のジェーに締めてもらおう。

 「成分解析 on WEB

 【小山ジェーの解析結果】
 小山ジェーの71%は努力で出来ています
 小山ジェーの17%は株で出来ています
 小山ジェーの5%は理論で出来ています
 小山ジェーの4%は心の壁で出来ています
 小山ジェーの3%は言葉で出来ています

 おおっ!
 な、なんと、おめえが一番まともだよっ!

 画像 034.jpg

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 2009年11月22日/その146◇国鉄と明治とチョコラーテ

 高田馬場で新宿回りの山手線を待っていると、
 いきなりチョコレート色したレトロな電車が、
 重々しくホームに滑り込んでくる。

 国鉄とか省線(←両方死語)とか呼んでいた時代の
 ボディカラーの山手線車輌なのである。
 さあ、いよいよ俺もタイムスリップかあ!という、
 ドキドキわくわくな喜びも束の間、
 「山手線命名100周年」という文字と、
 明治製菓の板チョコの広告が目に飛び込んできた。
 ああ、そーゆーことなのね。

 それにしても、美味しそーな真っ茶色だなあ。
 パブロフ犬的に板チョコが食いたくなった。
 と、同時にその連想から突然、
 エル・チョコラーテの歌声が脳天を突き刺す。
 そう、あのカンテ名人がギター名人ニーニョ・リカルドと
 真剣勝負するフラメンコの真髄とも云うべき名盤だ。 

 chocolate-nino%20ricardo.jpg

 う~む。
 山手線から、エル・チョコラーテを連想させてしまうとは!
 畏るべし、国鉄!!!
       (↑)だから死語だってば。

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 2009年11月23日/その147◇おかげさまでツバメンコ

 今井翼 Live house TOUR D&R ~ an extension
  (12月1日/赤坂BLITZ 18:30)

 なんたる幸運とそのお心遣い。
 ツバメンコ同好会のお仲間が、
 私のチケットを押さえてくれたのだ。
 同好会(現在477名)作っておいてよかったあ!

 おやぢ用のチケット入手には、
 様々な困難があったにちがいない。
 御礼はたいやき1匹に決まっているのだが、
 清水の舞台から飛び降りるつもりで、
 たいやき2匹にしようかと思っている。

 当日待ち合わせの合言葉は「ビバ変態」だそうで、
 ふんどし一丁で行くか、女装で行くか、
 このままパジャマで行っちまうか、
 現在鋭意検討中である。

 ツバメ~1.JPG

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 2009年11月24日/その148◇孤高の無人島生活

 ワケもわからずmixiというものを始めて早三年。
 ウェブ上の双方向コミュニケーションというのは、
 なかなか面白いものであることを知った。

 毎日のように日記を書いたり、
 何本・何十本の返信生コメントを書くことで、
 文章を書くスピードが30倍くらい早くなった。
 文章の内容がちっとも進歩しないのが
 不思議なくらいである。
 そのほとんどがフラメンコ仲間である
 マイミクさんは1000人になったが、
 愛人がひとりも出来ないのも摩訶不思議である。
 
 そんなこんなの道中で、
 この秋、ほとんど発作的にこんなコミュ二ティを立てた。
 http://mixi.jp/view_community.pl?id=4648395
 無人島シリーズである。
 しかも、超マニアック。
 恥ずかしくて告知もできない。
           
 むろんのこと、会員は私ひとりだ。
 ひとりぼっちの無人島生活はいつまで続くのか?
 はい、それはおそらく永遠に続くにちまいありません。
                    
 月とスッポン.jpg

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しゃちょ日記バックナンバー/2009年11月④

2010年09月11日 | しゃちょ日記

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 2009年11月25日/その149◇クレーメルのモーツァルト

 一緒になった頃、ダンサーである連れ合いが、
 いいクラシックが聴きたいというので、
 よりどりみどりの大物来日公演の中から、
 ヴァイオリンのギドン・クレーメルを選んだ。
 有名なヴィヴァルディの『四季』と、
 ピアソラの『ブレノスアイレスの四季』を
 相互に組み合わせて演奏するコンサートだ。

 選んだ理由は、すでにCDで聴いていたその演奏が
 実にダンシングだったから。
 あまりライブのクラシックを聴き慣れない彼女には、
 そんなノリと迫力がもっともふさわしいと予測できたし、
 実際の反応も上々だったようだ。

 ギドン・クレーメル。
 ヴァイオリン界の鬼才的巨匠。
 アントニオ・ガデスを想起させる完璧主義者。
 同時に先ごろ来日したディエゴ・カラスコみたいに
 お茶目でユーモラスな側面もある。
 CDで聴くと、あまりに完璧なので、
 かなり冷たい印象を受けるのだが、
 そのライブは、むしろ豪快でエキサイティングだ。

 そんな超人が、モーツァルトのヴァイオリン協奏曲を
 およそ四半世紀ぶりに再録音した。
 最初の録音は、アーノンクール&ウィーン・フィルと
 アンサンブルする快演で、即座に購入したのだが、
 当時創刊したパセオに大忙しの私が、
 それを初めて聴いたのはおよそ十年後だった。
 なので、今回の新録音には購入翌日かぶりついた。

 クレーメル.jpg
 ギドン・クレーメル&クレメラータ・バルティカ
 「モーツァルト:ヴァイオリン協奏曲全集」
 2006年録音/NONESUCH
 
 ええーっ、ここまでやっちゃうのお。
 予想通り、あっと驚くやりたい放題である。
 すでに決定盤を録音している彼にとって、
 そうでなければ再録音の意味はないから。
 とてもこの世のものとは思えぬ美音で清らかに歌う、
 ダントツ人気のアルテュール・グリュミオー盤を愛聴する
 モーツァルティアンには、青天のヘキレキみたいな爆弾だ。
 
 基本的には、語りに語るモーツァルトだ。
 場面場面の性格が、それぞれフルに強調されている。
 それらを可能にするクレーメルの手兵、
 クレメラータ・バルティカのアンサンブルは驚異的。
 それぞれに濃厚な細部は、
 全体を心憎いばかりにコントロールする
 構成・俯瞰の力によって、相互に輝きを増すのだ。

 この新時代のモーツァルトを、
 代々木公園から明治神宮を散策しながら、
 全曲(1~5番)をイッキに聴いた。
 ファンタスティック、
 ただただファンタスティック!
 時代を築いたスーパー・ヴァイオリニストも、はや62歳。
 その冒険と深化はとどまることを知らない。
 歳だ歳だとボヤいてる場合ではないな、と思った。

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 2009年11月26日/その150◇あしたは小島章司

 先ごろ国家より文化功労者に顕彰された、
 われらが小島章司。 
 毎年恒例の秋の公演、小島章司フラメンコ2009が迫る。

 今回はスペインの人気バイラオール、
 ハビエル・ラトーレの振付による舞台。
 そして舞台美術はもちろん、堀越千秋画伯。

 私はあす金曜、27日の初日を観る。
 ぜったい凄いよおっ!
 
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 2009年11月27日/その151◇あしたは“遊民”

 9年ぶりに集結!
 多摩美術大学OB・OG公演『遊民vol.2』。
 11月28日(土)18時、吉祥寺・前進座劇場。

 チラシでメンバーの顔ぶれを見て驚いた。
 別の約束が入っていたが、拝み倒してこちらを優先。
 出演キャストはこんな(↓)感じね。

 小原覚/阿部真/翠川大輔/妻沼克彦
 三枝雄輔(友情出演)/井上泉/小林泰子/井山直子
 島崎リノ/今枝友加/吉田久美子/鈴木圭子
 妻沼加世/堅正はるか/松原梓/朴美順
 
 そう。かなりの高等遊民なのだ。
 どんなステージになるのか予測もつかんけど、
 すでにわくわく感は飽和状態。       

                フラメンコ.jpg

 つーことで、今日は章ちゃん、明日は遊民!
                  

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 2009年11月28日/その152◇小島章司フラメンコ2009

 小島章司フラメンコ2009
 『三人のパブロ~ラ・セレスティーナ』
 (11月27日~29日/ル テアトル銀座)

 kojima2009_2.jpg        
           
 しょちょ日記にフラメンコライブの忘備録を
 つけるようになってから、
 ショーバイ柄それまでの自分の中で数割を占めていた、
 いわゆる「客観批評」的なスタンスが木っ端微塵にぶっ飛んだ。
 アーティストが命を賭けるライブについて、
 どんな形であれ、自らの感想を発信することは、
 逆に自分自身が試されることに他ならない。
 おざなり姿勢でフラメンコに対峙すれば、
 軽く吹っとばされるのはこっちの方だということだけは、
 身に沁みてわかってるつもりだしね。
 そして、その私を批評する最大のコワモテは
 自分自身だと知った。

 どうせ書くなら、中途ハンパはやめて、
 そのアーティストのライブに、一年後、二年後に
 対面するであろう近未来の私のみを対象とする、
 ガチンコ忘備録に徹してみるのも悪くないと思った。
 一方には、歳を取って持ち時間が少なくなってきたので、
 各種締切の合間をぬって出掛けるライブからは可能な限り、
 この世ならではの美しい記憶を得ようとするセコい根性もある。
 時おりネット上で見かける、愛好家の書かれるそんな傾向の
 ライブ感想に触発された部分もあるだろう。
 中でも、褒めたりケナしたりすることを目的としない、
 ライブが巻き起こす書き手の心の化学反応みたいなやつね。
 つまり、未来の自分に対するメッセージを、
 素直に、感じたままに書けばいいんじゃねーかと。

 さておき、鍵田真由美と佐藤浩希が主宰する、
 この夏のデスヌード3に客演した小島章司は、
 そのラストで畏るべき舞踏を現した。
 わずか数分、無伴奏の素踊りで、
 永遠なる宇宙と人間の哀しみと祈りを、
 観る者の胸に強烈に刻み込んだのだった。
 唐突に宇宙の全貌を垣間見させたあの衝撃的瞬間は、
 まさしくこの世ならではの美しい記憶として定着し、
 心の内側からチープな私を励まし続ける資産となった。

 ところで……。
 粋で不屈でぶっち切りにカッコええ、スーツ姿の章ちゃん。
 スペイン人もまっ青な超絶技巧で踊る、
 肉体的に全盛期だった「独り踊り」時代の小島章司を、
 当時から好んで脳裏に焼き付けた私には、
 ここ数年の不安や絶望を印象づけられる彼の舞台に、
 どうしても素直に馴染めないものがあった。
 どーして? 素晴らしいじゃない。
 そんな周囲の感想に幾度も私は孤立した。
 「その先にあるもの」が、私だけに視えていなかった。
 底知れぬ深化を冒険する小島章司のヴィジョンを、
 迂闊な私にやっとこさ、それと認知させたのが、
 先のデスヌードのラストシーンであったというわけだ。
 
 そして今回のフラメンコ悲喜劇『ラ・セレスティーナ』。
 15世紀末に書かれた勧善懲悪の逆を行くピカレスク。
 フラメンコではほとんど見ることのないコミカルな悲劇。
 このスペイン版『ロミオとジュリエット』で小島が踊り演じるのは、
 な、なんと、売春屋を仕切る悪婆妖術使いセレスティーナ。
 センスよく、心地よい観後感を残すハビエル・ラトーレの
 エンタテインメントな演出。
 ギターのチクエロを筆頭とする贅を極める音楽陣。
 そして、徹底的に磨きこまれた舞踊シーンの数々。
 さらに、全員がひとつになる輝くような集中力。
 重たい感動ではなかったが、贅沢な幸福感に私は満足した。

 またしても、意表を突く方向に突如斬り込む小島章司。
 彼こそは、生存中にたどり着けないことが明らかな、
 小島章司だけの最終到達点を、
 それでも全身全霊でめざす確信犯だった。
 その急がば回れ的に周到なプロセスを、
 永いスパンで根気よく貫く姿勢そのものに、
 私の心の共感メーターがイッキに跳ね上がる。
 第3場で、パブロ・カザルスを偲ぶかのように、
 バッハの無伴奏チェロが流れる。
 そのサラバンドの響きにシンクロする小島章司の仕草に、
 あのデスヌード事件の衝撃が静かに蘇る。

 おしまいに、「エバはよかったけど、なんかあの背景の
 まっ黒は情けないなあ~と思ったよお」と、
 この秋の舞台にご不満こいてた堀越千秋画伯が、
 自ら美術を担当するこの公演で「舞台美術かくあるべき」
 みたいな名回答を出したのが、何だがとても痛快だったよ。

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 2009年11月29日/その153◇高等遊民

 『遊民vol.2』
 9年ぶりに集結! 多摩美術大学OB・OG公演
 (11月28日/吉祥寺・前進座劇場)

 チラシでメンバーの顔ぶれを見て、
 爺婆合コンを拝み倒して欠場し、前進座に駆けつける。
 ひとつの大学が輩出した、その驚きの出演キャストはこうだ。

 小原覚/阿部真/翠川大輔/妻沼克彦
 三枝雄輔(友情出演)/井上泉/小林泰子/井山直子
 島崎リノ/今枝友加/吉田久美子/鈴木圭子
 妻沼加世/堅正はるか/松原梓/朴美順

 そう、高等遊民。
 全員勢ぞろいのオープニングから、
 高い実力と親密なアンサンブルの快感を爆発させる。
 劇仕立ての二部の冒頭には、おゐおゐ学園祭かよ、
 みたいなノリに一瞬固まりそうになったが、さにあらず。
 やはりと云うか、彼らはそれぞれに高い美意識を持った、
 自立する個人の集合ユニットだった。

 なにせ新人公演奨励賞経由でプロのトップクラスで活躍する
 アーティストが舞台上にごろごろしている。
 次から次へとウネりながら、どこまでも高まろうとする
 鉄火フラメンコのパッションには、
 本場アフィシオナードの心さえ動かすような芯があった。
 バキッ! と心を直撃するアルテを六つまで数えた。
 むろん個人技の高低はあるが、
 それらはあたかも相互補填し合う関係のように思えた。
 そう感じざるを得ない絆の深さがまざまざ見えた。

 同じ巣から旅立った仲間が時を経て再会し、
 青春の想い出とともにフラメンコに浸り尽くし、
 やがてそれぞれは、自ら切り拓いたポジションへと戻り往く。
 きっと彼らは数年後の再会を約したに違いない。

 さて、割れんばかりの大拍手とはこのことだろう。
 閉幕の瞬間、客席を見渡せば多くが涙に潤んでいる。
 最近の若い連中は口先ばかりで何もやらねえ、という
 メソポタミアの昔からの繰り言はもうヤメだ。
 やれやれと、私も二粒ばかり瞼が潤んだ。
 「遊び心」と「絆」。
 新しい時代の、質をともなう「ゆるやかな連帯」が、
 滲むドンチョウにくっきり視えた。       
   
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 2009年11月30日/その154◇いずれにしても

 どっちなのか?.jpg

 処方してくれるのか?
 それとも処方せんのか?
 
 受付け致します、って書いてあるけどさ。
 どっちなのか? やはり迷うよね。
 
 ま、いずれにしても、
 私が処方を依頼する場合の先方の回答は、
 決まりきってるわけなんだけどさ。

 「あのお客さま。
 うちには馬鹿につける薬はございません」 
 
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