パリ15区の窓から

南青山6丁目のアードヴィーヴル・フランス家庭料理&菓子教室「パリ15区」主宰 森由美子の日記

私の人生の師匠

2010-06-28 | ひとりごと
<写真:先週の畑の百合・相模湾をバックに>

料理の世界に飛び込んでかれこれ20年近くにもなる。
フランスで夢中になって本場の食文化を吸収し、
帰国後はビストロや教室を運営してきた。
この20年、回り道、坂道、でこぼこ道、通り抜けできない袋小路、
どんなに進んでも真っ暗闇のトンネルもあったけど、
この道をひたすら歩んできてよかったと思える自分がいる。

私は特に料理上手なわけではないと思う。
でもキッチンに立ったら一日中離れないでも過ごせる。
それだけ料理は私の好奇心や創造力をかきたて、私をあきさせない。

あるとき、料理の道で師匠と仰ぐ人が私にはいないな、とふと思った。
コルドンブルーで学んでからは、フランスやスイスのレストラン数軒で修行
させてもらったが、あとはオリジナルの料理や菓子を創ってきた。

ピアノで言うと、バイエルやソナチネ、ソナタが嫌い、
楽譜を見ての演奏も苦手。
勝手気ままに下手ながら感じるがまま弾くことにこそ快感を感じるのだ。

もし師匠がいたらどんなだったかな?


料理の道に師匠はいないけど、
人生の師匠には出会った。
それは「自然」。

私の畑は青山から2時間とちょっと遠いので頻繁にいけないから
水も充分にあげられない。
なのに自力でちゃんと育つ野菜たちの生き様や
季節ごとに咲き乱れる花々を見て、
いろいろなことを教わる。
畑の目の前に広がる雄大な空や海に人間の小ささを感じ、
さざなみの音や沈む夕日の色に、心の濁りも消える。

なかでも畑の雑草やハーブに囲まれての昼寝は最高で
目覚めると非常に元気になっている。
「これってどうして?」と前々から不思議に思っていたが、
最近薬草の本を読んでちょっと納得。
私の畑にはスギナがわんさか!
この繁殖力のスゴさといったら!
このスギナは優秀な薬草で、煎じて飲めばガン・腎臓・
そのほかさまざななことに◎と知ったのだ。
それほどまでにパワーの強い草だから、きっとスギナに囲まれて
ゆったり寝ると何かしらの恩恵にあずかれるのだろう♪

私には人間の師匠は残念ながらいないが、いまは自然を師と仰いでいる。
青山みたいな都会を飛び出し、江の浦の師匠のもとへ行きたくなる。
これから先もこの素晴らしい師にたくさんのことを教わろう。

PS:もしあなたが日常の疲れで体も心も重くなったら
是非わたしの畑でお昼寝を!
「スギナセラピー(笑)」効きますよ。


Je voudrais aller a Enoura pour dormir!!
Yumiko





満月の梅ジュース

2010-06-26 | 簡単レシピ
昨夜23時半ころ、南の空にとても美しい月が浮かんでいるのを見た。

今夜は満月。おまけに月食。
今年のこの自然現象は、私の誕生日(元旦)から2回目だそうだ。


梅雨なのに、太陽が顔を出すことの多い最近。
仕事も忙しいうえに、気候のよさに誘われて小田原市江の浦の大好きな畑へも
出かけているのでなかなかブログを書く時間が作れない~。


おととい、無性に梅が食べたくなって
黄色く熟れて芳香を放つ和歌山の南高梅を買ってきた。
写真はよく洗って、天日干ししている図。
この日は昼も夜もずっとわたしの部屋は熟した梅の幸せな香りで
満ちていた。
疲れも吹き飛ぶ。
自然の香りってすばらしい。

きのう、これを1日かけて冷凍庫でカチンカチンに凍らせた。

そして今朝、この梅を冷凍庫から取り出し、甜菜糖で漬け込んだ。
本当は氷砂糖だが、手造りなんだら少しでも自分のカラダに優しい
未精製の砂糖で仕込もう!!と、あえて甜菜糖で。

ここから10日じっくり待つ。

本来梅ジュースは「生梅」で仕込むと2ヶ月はかかる。
でもそんなに待てない!
と思っていたらちょうど「凍らせて仕込めば10日でできる」という情報を入手☆

いろいろなものを小まめに仕込んでもいちいち日付けを記さないため、
「あれ?いつ仕込んだっけ?」と私はよくなる。
だから今回は満月の日に仕込むことにした。
「あ、この前の満月の日だった」と覚えていれば起算もしやすいでしょ♪

梅はわたしたち日本人の体にはとってもよい効果が!特に梅雨時にはおススメ。

10日後に「満月梅ジュース」ができあがるのが楽しみ~。
さあ今日もいまからレッスン。
明日は昭島教室で仕事。

梅パワーを拝借しこの不安定な梅雨時を元気に乗り越えよっと。

A plus,Yumiko



カメルーン戦

2010-06-16 | ひとりごと
日本の初戦がカメルーンと知って、ある人のことをずっと考えていた。
パスマという名の女性だ。

彼女はパリのコルドンブルー料理学校のクラスメイト。
当時わたしは23歳、パスマはちょっと上だったと思う。
クラスは、カナダやアメリカ、スペイン、デンマーク、フランス、ブラジル、
インドネシア、マレーシア、カメルーンという国籍で日本人はわたしだけ。
それはもう毎日が刺激的!
習う料理や菓子は勿論、彼らとの交流がほんとに面白く、日々わくわくしていた。

このパスマはなぜかいつも実習になると「ユミコ、となり」と言って
わたしの脇に陣取って一緒に作っていた。
わたしのクラスは、初級といってもすでにプロの料理人や料理の先生として
本国で仕事をしていて、でもコルドンブルーの免状が欲しいがために
休業してやってきている人々も数名いてレベルが高かった。
そんな中、包丁を握るのもままならぬわたしがいて、いま思えばパスマも初心者
だったからわたしの隣が安心できる場所だったのだろう。
彼女は見かけはごついが心優しい女の子だった。

写真は初級クラスの卒業試験直後の一枚。(かなり昔のお宝写真!?)
やっとの思いでなんとか制限時間内に作り上げた「豚肉のシャキュチエール風」という
皿を持つわたしとそのとなりにぴったりついて笑っているパスマ。

いま彼女はどうしているんだろう。
コルドンブルーで同窓会を開いて欲しいな~。
そんな気持ちになった。

ワールドカップ・カメルーン戦のおかげで、
埋もれていたパリの料理学校時代の日々と
旧友の記憶が鮮やかによみがえった1週間だった。