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スピーカーやオーディオに興味がある方に、いろいろな情報を発信していきたいと思っています。

スピーカーユニットの耐久性

2008年07月28日 23時37分46秒 | オーディオ

こんばんは。

今日は、先日ちょっとお話したスピーカーユニット端子部の半田付けとリード線の耐久性劣化に関し、多くの皆様からメールやブログでのコメントをいただきましたので、ちょっとユニットの耐久性について簡単にまとめてみたいと思います。ユニット屋にとっては基本のことなのですが、一般の方には意外にこの辺のこともご興味があるのかなぁと感じてのエントリーです。


スピーカーユニットの破壊にはいろいろなパターンがありますが、大きく分けると熱的なものと機械的なものに分かれます。

先ず熱的破壊についてですが、言うまでもなくボイスコイルの焼損を意味します。これは前に書いたように「スピーカーは音の出る電気コンロ」なので容易に理解できるかと思います。ちなみにこの耐熱性を左右する要素としては、下記のものがあります。

1)ボイスコイルボビンや周辺の磁気回路、ダンパー等を含めた各パーツの放熱性。代表的な方法では、アルミ等の金属をボビンに採用することがあります。これは材質だけでなく、構造でも差が出ます。細かい事を言えば、フレームやダンパーに穴が開いているかどうかだけでも差が出たりします。ソニーでも磁気回路内に特殊な空気の通路を形成した業務用高耐パワーウーファーがあったりします。
また、ボイスコイルの口径を大きくすることは周辺部品の放熱性upに直結しますので、一般にボイスコイルの口径と熱的な耐パワー性は比例関係にあります。

2)ボイスコイル線材(接着剤と絶縁材)そのものの耐熱性。これはグレードにより耐熱温度がかなり差があり、高耐パワーモデルには高性能なボイスコイル線材を使うことが多いようです。

3)耐パワー入力の数字としては変わりませんが、スピーカーの能率を上げることにより大入力を入れなくても必要な音圧を得られるので、結果として実質的な耐パワー性を上げる方法もあります。


次に機械的な破壊ですが、これにはいくつかのパターンがあります。下記にコーンスピーカーについての代表的な破壊パターンを書いてみます。

1)過大入力によりボイスコイルがローリングを起こし、結果として磁気回路内の狭いギャップ部にボイスコイルが当たり(接触し)、ボイスコイルが損傷し破壊に至る。

→これに対しての代表的な対策としては、Wダンパーの採用や支持系の合成up等がありますが、支持系をしっかりさせるとF0が上昇し低音が出にくくなるので音質とのバランスを取るのが結構大変ではあります。


2)長時間の使用により、エッジが疲労破壊つまり切れてしまい、結果としてユニットが破壊される。昔安価なスピーカーでよく見られたフィクスドエッジ(エッジと振動板が一体のもの)は、これが非常に弱かったのです。
なおJBLに代表されるウレタンエッジの崩壊は別です。あれはウレタン自体の耐湿・耐熱・耐紫外線に対する材質的な問題です。

→最近のユニットはほとんどがフリーエッジ(エッジと振動板が別体)なので、エッジが原因で破壊するケースはほとんど無くなったように感じます。

3)長時間の使用により、リード線部が疲労破壊つまり断線し、ユニットが破壊(音が出なくなる)される。

→意外に設計者が苦労するのがこのリード線断線で、昔は長時間パワーテスト(通常は100H)をクリアするのにこれが一番苦労しました。100Hテストで破壊する多くはこのケースです。そのため、ユニット設計時にはリード線の材質、長さ、引き出す方向等を細かく管理して仕様を決定します。
また量産時にも治具にて角度等を管理し、半田付けも何秒以内というように管理して生産することが一般的です。ちゃんとした工場では半田付けも資格を持った作業者以外は出来ないようになっています。

端子部の半田付けでリード線部がダメージを受けるというのは、しみ出しにより端子部近傍でリード部が硬くなり、結果として想定している長さや角度が変わってしまうことが要因です。特にある部分から急に硬くなるというのは結構悪影響が出ることがあります。

昔はリード線の材質があまり良いものが無く、よくパワーテストで壊れたので、その時に周波数で同期できるストロボ照明でユニットのリード線部を照射し、リード線が各周波数でどのような動きをしているかを見ていたのは懐かしい話です。最近のユニット設計者は、もうストロボなんて使ったことも無いかも知れませんね。

ちなみに耐パワーの厳しい量産モデルでは、耐パワー対策としてリード線の付け根に柔らかい接着剤を補強しているものもあります。PAスピーカー等ではよく見かけますね。

以上非常に簡略にまとめちゃいましたが、参考にしていただければと思います。


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28 コメント

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Unknown (倉田 有大)
2008-07-31 20:41:48
なるほど、いろんなケースで壊れる場合が多いのですね。
個人的には、昔ネットワーク無しでツイータをアンプと接続して音がでるか確認したことあって、それで後から壊れてないか不安になったことがあります。
Unknown (PARC)
2008-08-01 00:39:04
コメントありがとうございました。
トゥイーターをネットワーク無しでアンプに直接接続とはかなり過激ですね。壊れなくてラッキーでした。

ところで、今回のエントリーはちょっと初心者の方にはとっつきにくかったですかねぇ。ちょっと皆様からの反応が無いので不安になったりします。(^^;
ファストン端子 (K村)
2008-08-01 10:48:16
スピーカーシステムはほとんどファストン端子を使用しているようですね、品質的バラツキが少ないのと、生産性を考えてファストン端子にしていて、音質的には接触抵抗のない半田付けが良いと思い、私は以前から半田付けで接続していました、半田付けの問題点を教えていただいたので、端子部とリードを確認しました、リード線のフラックスのしみ込みはなかったようで、一安心しました、今後はその点に注意したいと思います。
ファストン端子だけでよいので、付属品にすることはできないのでしょうか?カシメができなくとも、ファストン端子に半田付けする方法もあるのでは。
リード線部が疲労破壊 (yamahiro)
2008-08-01 11:03:39
私も仕事がら配線の折り曲げ疲労による断線を何度と経験しています、私の場合は産業機械ですので折り曲げ疲労に強いロボットケーブルなどを使って対処しますが、やはり永久的に使用出来る物ではないので定期的にケーブル交換しています。

スピーカーのリード線部の疲労破壊は今まで経験が有りません、動くストロークも小さいので私が使う(聴く)時間位では切れないのかも知れませんが繰り返し折り曲げをしているのは間違いないので何時かは切れるのでしょうね。(苦笑)

ウレタンエッジでは今まで手間とお金を食われています、今現在も1セット持っていますが張り替えの時に多少の音の変化は目を瞑り別の材質に変えました。

破壊は困る (盛田)
2008-08-01 21:11:27
いえいえ、取っ付きにくいなんてことはありませんでしたよ。
 ここ2週間ほど仕事場の放送設備拡張の為、ハイインピーダンス伝送についていろいろ調べていて(その節はどうも..)昨日取付工事と配線、音出しテストまで終わった所です。空調の無い中、連日の猛暑で死ぬ程汗をかきながらやっと作業を済ませました。

 今回のお話を読んで(ふむふむ)と思いつつ「今やってる作業ではスピーカーは安価だから万一壊れてもまあ損害は小さいけど、逆にアンプを壊してしまうとえらい事になるなぁ」なんて考えてました。

 でも100時間なんてあっちゅー間ですよね。F131Wは寝る時もBGMを鳴らしてますから平日でも6〜8時間はゆうに音が出てます。でも試験をしている立場だと長い長い時間なんでしょうね。^^;
勉強になりました. (nhaka)
2008-08-01 21:42:08
こんばんは. 以前にも書き込みをさせていただいたnhakaと申します.

スピーカーの壊れる原因, 非常に勉強になりました. なるほどです.

自分は幸いにも, 今まで壊したことがないのですが,
壊れたスピーカーを直したことはあります.
いずれもツィーターのリード線の断線でした.
(リード線をハンダ付で直しました)

一つお尋ねしたいのですが, (営業上, 差し支えがおありでしたら, スルーでも大丈夫です)
素人が, ツィーターの故障を防ぐには, リード線周りを
柔らか目の(木工用ボンドなど)で補強でよろしいでしょうか?

ではよろしくお願いします.

Unknown (PARC)
2008-08-01 23:24:41
K村様

>リード線のフラックスのしみ込みはなかったようで、一安心しました

端子部を半田した時に問題となるのはフラックスのしみ込みではなく、半田そのもののしみ込みなのです。フラックスの硬度は大したことはないのであまり気にすることはないと思いますが、半田がしみ込むとリード線の硬度が極端に変化するため要注意です。

ファストン端子のみの付属品化のアイデアは非常に面白いですね。たしかにこれはユーザーの皆様にも非常に有効かも知れませんね。問題は原価upをどうするかです。既にまたまた原価が上がっているとの情報も入っており、本当に頭が痛いところです。(^^;
Unknown (PARC)
2008-08-01 23:29:21
yamahiro様

たしかに一般の使用条件でリード線が切れることはあまり無いかも知れませんね。まぁこれも使われ方にもよりますので断定はできませんが。

ウレタンエッジはたしかに音質的にメリットは大きいですね。ただし工業製品としてみた時にはやはり問題有りと言わざるをえません。ソニーでは随分昔に原則使用禁止となっていました。
Unknown (PARC)
2008-08-01 23:36:51
盛田様

>でも100時間なんてあっちゅー間ですよね。

いやぁ、連続100Hというのはかなりきつい試験なんですよ。100Hテストを行う時の入力はノイズ信号で定格入力なので、ボイスコイル温度もかなり上昇しますし、折り曲げ疲労もやはり連続の方がきついです。

昔は本当にこの100Hテストをクリアするのが大変でした。なおこの定格で100Hテストというのが、10年くらいの製品ライフを保証するのに十分である加速度テストであることが経験的に実証されているので、各社これを必死でクリアするのです。
Unknown (PARC)
2008-08-01 23:47:48
nhaka様

トゥイーターのリード線の補強については、あまり過度にやると重量upとなり音質へのダメージがありますが、端子部近傍への少量塗布であればOKかと思います。ただし木工ボンドはNGです。木工ボンドは柔らかいようでも実は十分硬いです。塗布するならちゃんとしたダンプ剤をお勧めします。と言ってもそんなのあまり市販されていませんよね。(^^;

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