こんばんは。
今日は、PARC Audio初のネットワーク用パーツの電解コンデンサー(DCP-C001-)について書いてみたいと思います。以前のブログでちょっと書きましたが、このパーツは発売前の販売店様との協議ではかなり低評価だったもので、正直発売するかどうかかなり迷いましたが、何とか発売することになったのはやはり自分がネットワークを組む時にこれが是非必要だと思ったからです。
ここで念のために言っておきますが、発売前に低評価だったというのは決して音質を実際に聴いていただいての評価ではありません。最大の理由は、「今のクラフト市場の常識(定説?)として、電解コンデンサーは安物で性能が悪い」ということがあり、ユーザーの方が多分購入しないでしょう、との事からでした。この辺のことは、上記のブログを見てください。
今回非常に逆風の吹く中で電解コンデンサーを発売するということで、できるだけ高品位なグレードを選びたいということもあり、量産で流れているものでは最上位のグレードを採用し、結果として電解としては異例な公差3%ということも実現できました。ちなみに公差なんか、選別すればいくらでも上げられるのではと思っていらっしゃる方も多いかと思います。(私もそうでした。) でも実際は3%公差を実現しようと思うと、最上位グレードでしか量産レベルにならないということだったのです。
先のブログでは、私自身多くのフィルムコンデンサー信者からの大ブーイングが少し怖かったので、音質についてのコメントはかなり控えめに書いたのですが、今でも音質的に十分存在価値があると確信しています。フィルムコンデンサー信者の方には先入感無しで是非一度聴いていただきたいのですが、フィルムコンデンサーではなかなか出ない様な厚みのある暖かい音になります。これはウーファーで使うと非常に効果が分かりやすいものです。私自身、分解能よりも音の厚みを好むので、正直フィルムコンデンサーでその方向を出すのはかなりしんどいです。
実はうれしい話があって、当初取扱に消極的だった大手販売店様が販売をしていただくことになりました。(やった~!) 既にサイトにも掲載されています。何故急に話が変わったかというと、音にうるさい販売店様のメンバーの方々が閉店後にこの電解コンデンサーの音を実際に確認していただき、その音の良さに驚かれて、これなら売れるかもということで取扱が決まったそうです。特にウーファー用でのご視聴の評価が良かったようで、聴かれた方々もどちらかというと電解に対してあまりいいイメージは持ってなかった状態での試聴ですので、その驚きは(意外性)は大きかったようです。
私自身は中域を重視するので、トゥイーター用としても下手なフィルムよりは電解の方が好きで、現在開発中のコアキシャルでの試聴でも安価なフィルムよりはこちらの電解の方が中域を中心としたボーカルの存在感が圧倒的に良くなるので、現在は電解を使用して検討を進めているくらいです。
ちなみに今回発売にあたり、製造メーカーの営業担当者に日本のクラフト市場状況を説明し、当初はスロースタートになるだろうということを伝えましたが、彼らの返事は
「冨宅さん、このコンデンサーのベースモデルは大手の○○○さんなんか月に50万個~80万個も買ってくれますよ~。」
っていきなりはっぱをかけられちゃいました。全世界で展開している大メーカーと、日本だけで頑張っている吹けば飛ぶような弱小メーカーとを一緒にするなちゅうねん・・・・・。でもガンバ!!
ということで、先ずはコイズミ無線様と六本木工学様での販売がスタートします。是非是非一度味見をしてみてください。多分新しい発見があると思います。それと是非試聴後のご感想をユーザーコーナーにupしていただけるとうれしいです。Webを見ても電解についての情報は意外に少ないので、これは非常に有効なものになるのではと思います。では今日はこの辺で。
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流れ流れて、今は北京からです。
いよいよ拝見した電解コンデンサーですが、本当にいろいろと奥が深いのですね。話を聞けば聞くほど、あだやおろそかに音楽を聴いていてはいけない、心地好い音楽を聴いてもらうために、どれだけの地道な努力が積み上げられているのか、ちゃんとわきまえておかなくてはいけない、と粛然とした気持ちになります。
とはいえ、音楽とは「音」が「楽」しくなければ音楽ではなくて修業になってしまうから、悩んでしまうところでもありますね。
何が何だか支離滅裂な話になってしまいました。ごめんなさい。
お元気そうで何よりです。
>ちゃんとわきまえておかなくてはいけない、と粛然とした気持ちになります。
いやぁそんな大それたことではないですよ。(^^;
>音楽とは「音」が「楽」しくなければ
正にその通りです。ユーザーの皆様が趣味としてスピーカーを聴かれるのは基本的に音楽を楽しむためですから、必要以上に音そのものを意識することはないと思います。もちろん、せっかく聴くなら少しでも良い音で聴ければそれにこしたことはないのではとも思いますが。
でも私の場合、それを職業としているので、そこにはまた楽しさだけでは済まされない苦悩や悩みもあります。ちなみに私はテスト試聴では、本当に自分の好きなCDは出来るだけ聴かないようにしています。
初めまして。いつも楽しく拝見しております。ためになることが多く、勉強になっております。
さて、質問がございます。
ツィータ用に今回の電解コンデンサとフィルムコンデンサを並列に接続した場合、どのようになるのでしょうか?
暖かみのある音+高解像度が出ればラッキーかな?と思うのですが...
ブログで書き忘れましたが、音質対策としてコンデンサーをあえて2個に分けてパラで使うということは、コストやスペースが許されれば私もよくやっておりました。コンデンサーの場合、パラ接続では単純に数字を足していけばいいので簡単なのもいいですね。例えば、10uFのところを3.3uF+6.8uFにわざと変えるとかです。傾向として、これをやると音に厚みが出たり、余裕のようなものが出てくる感じがします。この手法は、今は亡き私のシステム設計の師匠であるMさんから教えていただいたものです。量産モデルで複数のコンデンサーをパラで使っているものをたまに見かけますが、私はこれは決して部品の標準化のためではなく、音質上であえてやっていることが多いのではないかと感じています。
それとシステムで細かい調整をする時は、小さめのコンデンサーからスタートして、徐々にコンデンサーをパラで足していくというのも非常に効率的に調整が出来ます。その意味で、少し小さめの定数を多めに持っておいて、調整時にうまく利用するということもありますね。
またMさんはよく電解コンデンサーに非常に小さなフィルムコンデンサーをちょっとだけパラで足して音質の細かい調整をされておりました。両者の完全いいとこ取りとまではいきませんが、たかが0.1uFをちょっと足したくらいで何が変わるの?と思っていた私はその音の違いに驚いた記憶があります。もちろん、特性は誤差の範囲ですが。でもさすがにこの手法(電解コン+微小フィルムコン)は量産モデルでは、コストやスペースの問題もあり、その後私自身はあまりやっていません。以上ご参考まで。
コイルも楽しみですね~
ありがとうございます。
電解コン+微小フィルムコンですか?いいことを聞きました。幸運にも、御社の電解コンデンサは小さい容量1uFからありますし、いろいろ試せるかも。
しかし、0.1uFで音が変わる!音の世界は本当にすごいですね。
もう一つ質問してもよいでしょうか?
コイル・コンデンサと来ていますが、抵抗については、PARC様にはこだわりとかはございますでしょうか?
(好みの素材とか... 素人質問ばかりで、すみません)
#私もコイルの発売も楽しみにしています。
ありがとうございます。コイルは、11月末入荷で進行中ですので、もう少々お待ちください。
是非電解コンデンサーでいろいろな事をお試しいただければと思います。
抵抗については、ソニー時代はずっと国内製の無誘導のセメント抵抗を使っていました。抵抗の場合、やはり一番効くのは無誘導かどうかではないかと思います。中国で質の良い物がないかどうか現在検討中ですが、これについては価格の問題もあるので、電解以上にハードルが高そうです。
ありがとうございます。
抵抗についても中国を駆け巡って検討されていたとは...そのバイタリティと姿勢には恐れ入ります。確かに商売としては厳しそうですが、ネットワークパークも安心(?)のPARCブランドが揃うとうれしいです。
素人なのでどこまでできるかわかりませんが、是非とも電解コンデンサー&コイルを試してみたいと思います。
そうですね。できれば抵抗も含めPARC Audioでネットワークが揃えられればうれしいのですが、高品位の抵抗は価格がかなり高いので、現状発売できるかはかなり微妙なんです。
先行の電解やコイルの販売状況が好調に推移すれば、販売店様でもやってみたらということになるかも知れませんが、先ずはそれらがどの程度売れていくかですね。
電解&コイルのユーザーレポート、楽しみにしていますね。よろしくお願いいたします。