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著書『芸術家たちの生涯』
『ほんとうのこと』
『ねむりの町』ほか

3月2日・ルー・リードの魅力

2016-03-02 | 音楽
3月2日は、『ガープの世界』を書いたジョン・アーヴィングが生まれた日(1942年)だが、まったく同じ日にロックミュージシャン、ルー・リードも誕生した。

ルー・リードこと、本名ルイス・アレン・リードは、1942年、米国ニューヨーク市のブルックリンで生まれた。彼の家族はユダヤ系で、ルイスは同じニューヨーク州内のロングアイランドに越してそこで育った。
「自分の神さまはロックンロールであり、自分の信仰はギターを弾くことにある」
と言う彼は、高校時代からバンドを組んでいた。
彼は同じニューヨーク州のシラキュース大学に入学し、ジャーナリズム、映画撮影、作曲、詩作を学んだ。
22歳のとき、ニューヨーク市へ引っ越したリードは、作曲家として活動し、ミュージシャン仲間とロックバンド「ヴェルヴェット・アンダーグラウンド」を結成。リードはギターとヴォーカルを担当し、ポップアーティストのアンディ・ウォーホルが手がけたバナナのジャケットのアルバム「ヴェルヴェット・アンダーグラウンド・アンド・ニコ」でデビュー。リード25歳のときで、このアルバムは世界のロックシーンに強い衝撃を与えた歴史的作品となった。
28歳のとき、バンドを離れ、ソロとなった。
その後、デヴィッド・ボウイのプロデュースによるアルバム「トランスフォーマー」のほか、「ベルリン」「コニー・アイランド・ベイビー」などの名作を発表。ヒット曲がなく一般大衆への知名度はいまいちながら、ロック・ミュージシャンの多くが影響を受け、尊敬する、玄人好みのロックミュージシャンとして君臨しつづけた。
2013年10月、肝臓疾患のため、ニューヨーク州サウサンプトンの自宅で没した。71歳だった。

ルー・リードの音楽は、かれこれ30年以上聴いているけれど、どうして彼が好きなのかは、いまいちよくわからない。
学生時代、ルー・リードのファンだった友人が「コニー・アイランド・ベイビー」のレコードをかけながら、こう言った。
「ずっとこんな感じ。盛り上がらない。最初から最後まで淡々としているんだ」
まったくその通り、どうしてこんな地味なのだろうと不思議なくらい抑えた感じで、クイーンやレッド・ツェッペリンの派手さとは対極にある。
そういうところがいいのかもしれない。

キャリアは長かったが、いつがピークだったという時期もなく、キャリア的にも盛り上がりを持たないアーティストだった。でも、それがルー・リードらしさでもある。
「ベルリン」や「コニー・アイランド・ベイビー」をときどき聴きたくてしかたがなくなる。理由ははっきりしない。何とも言えない魅了をもつ、特殊なミュージシャンである。
(2016年3月2日)


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