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「ベ平連」小田実への過激な追悼文

2007-09-10 11:38:47 | Weblog
 有名人が死ぬと追悼文が書かれる。その内容は「良いとこ取り」の賛美一色となるのが通例だ。面白くもなく、うんざりするだけなので、私は読まない。

 わが国には死者を鞭打つことをよしとしない慣習がある。だが死んだ瞬間、本人にはわかりっこないのだから、待ってましたとばかり悪口を開始しても当人を傷つけることはない。石仏に罵詈雑言を浴びせるのとおなじだ。

 月刊誌「諸君」の10月号巻頭の「紳士と淑女」欄に載った小田実への追悼文(といえるかわからないが)は極めて自由に書かれている。非難・誹謗が満載の型破りなものであり、面白いので一部を要約して紹介したい。また、それは小田と共にほぼ衰亡しつつある、ひとつの時代思潮の盛衰記としても読むことができる。

◎60年代に彼が始めたベ平連は、ベトナム戦争がベトナム人の自主独立を目指す「聖戦」であり、米軍はそれを圧殺せんとする「鬼畜」であるとの理解の上に立った。

◎ベトナム戦争終結時、ハノイを恐れ祖国を捨てた200万ともいわれるポートピープル、小船に家族を乗せ、南シナ海へと漕ぎ出したが、多くの舟が転覆し、ニャチャンの浜は漂着した子らの遺体で「おもちゃ箱をひっくり返したよう」だといわれた。

◎そのときベ平連は何もいわず、食い下がる記者に向かって小田は「ポートピープル? 俺は知らんぞ」と言ったきりだった。ベ平連の市民どもは、ハノイのスターリン体制がベトナムを支配するようになると、そそくさとベトナムを忘れた。

◎ソ連が崩壊し、東欧諸国は共産主義を捨てた。小田のいう「市民の立場」は徐々に魂の母国を失い、彼はとうとう最後に北朝鮮にすがった。日本が北朝鮮と国交正常化していれば拉致はなかった。日本の国家犯罪だというようなことを言い出した。そして、破れかぶれのアナーキストの物語は終わった、と結んでいる。

 「諸君」という雑誌の性格から考えると、この追悼文は「悪いとこ取り」であろう。「良いとこ取り」も「悪いとこ取り」も事実を誠実に記述する態度からは程遠い。しかし、それを承知の上でも「悪いとこ取り」の方は数段面白い。

 小田のベ平連に参集した人々の多くは善意によるものと思われる。当時の共産主義を是とする風潮は力を失ったが、形を変えて人々の善意を利用しようとする連中はあとを絶たたない。

 誰も反対できないテーマである平和、環境、健康などを掲げた運動に対して、時には冷静な目が必要であろう。また怪しい組織の内側に光を当て、実態を明らかにするのはメディアの仕事でもある。

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