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核武装という選択

2019-02-10 23:24:40 | マスメディア
 ローマは蛮族の侵入によって滅びたとされる。蛮族とは主に北方のゲルマン民族を指す。ゲルマンのひとつ、ゴート族は4世紀頃にはすでに毛皮ではなく、布製の衣服を身に着けていたが、依然として蛮族とされていたそうである。文明国でなく蛮族であるとされる基準は衣服などではなく、法治の民であるかどうかということである。問題の解決を法に基づいて決めるのか、腕力で決めるかの違いなのである(塩野七生著 ローマ人の物語第14巻から要約)。

 法治というものは約束事を守るという気持ちが社会に広くなければ成り立たない。そしてそれは文化的背景に影響されるものであり、急に作れるものではないようである。ローマは一日にしてならず、なのである。豊かな消費生活をする国であっても文明国とは限らない。腕力でしか解決できない国もあることを認める必要がある。

 韓国、北朝鮮、中国、ロシア、これらが日本の隣国である。日本はこのいずれに国に対しても手を焼いてきたと言ってよい。近隣国すべてが話の通じない国であることは重大な問題である。これら四か国の側に問題があるという見方も十分うなづける。しかしそれだけであろうか。日本側にも大きい原因があると思う。それは専守防衛とそれを象徴する憲法9条である。

 外交の要諦は、握手の右手を差し出しつつ、左手で棍棒を隠し持つ、とされる。信義を持たず、力を信奉する国を相手にする場合、棍棒がなければまともな交渉は成立しない。日本は自衛隊をもつが9条は自衛隊を強く制限し、棍棒ではなく箸棒にしている。近隣国にとっては実にありがたいことであろうが、それが日本に対して居丈高な態度を引き出したと思われる。

 北朝鮮が米国から対等国並みの待遇を受けることができるのは核とその運搬手段を持ったおかげである。この味を知った以上、容易なことでは核を手放さないだろう。そして、核が気に入らなければカネを出せ、というのはまるで暴力団の手口である。核の放棄とカネを交換するようなことが起きれば、悪しき事例を将来に残すことになる。

 さて話を戻すが、もし日本も核を持てば状況は大きく変わる。周辺諸国は日本は何をしても手出ししない「安全な国」とは思わなくなるだろう。ロシアも中国も北朝鮮もすでに持っているのだから反対する根拠は乏しい。米朝交渉で、北朝鮮が米に届くICBMだけを廃棄するとことで双方が妥協すれば日本は不利な立場になるが、もしそうなれば日本も核武装するぞという意思表示だけでもそのような米朝の妥協を牽制する効果がある。周辺国に核がないときに、日本だけが核を持つのはよくないが、周囲の国に核があって、日本だけに核がないという状況はさらによくない。

 9条を金科玉条のように崇める護憲勢力は日本が海外に侵攻することを心配してるためであろう。非現実的な心配だと思うが、そうならば核武装と引換えに自衛隊の陸上部隊を削減する手もある。他国への侵攻は陸軍なしでは無理だからである。つまり陸軍は防衛にも他国侵略にも使えることが問題なのだろう。ところが核兵器は単独では他国への侵略には役立たない。核の最大の効果は日本への侵略を思いとどまらせることである。つまり平和への力強い味方なのである。核は平和を愛する国民の兵器なのだ。しかも安上がりであるし、プルトニウムはどっさりある。

 国会では、野党は統計不正問題ばかりに関心があるようで、外交など他の問題は置き去りである。何の役にも立たなかったモリカケのようにしたいらしい。左派の野党はなぜこんなに出来が悪いのだろう。どこかの野党が核武装を提案でもすれば米朝会談への大きな牽制になり国益に寄与すると思うが、とても望めそうにない。野党の関心は与党の足を引っ張ることばかりで、安全保障や外交などには関心がないようである。


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2 コメント

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Unknown (okada)
2019-02-15 10:37:57
おっしゃる通り、現実には様々な障害が起きると考えられます。米国の了解が難問ですが、北朝鮮の核保有が永続ということになれば不可能ではないと思います。
私が言いたかったのは核武装の議論さえも許されないような風潮だけでも変えるべきだということです。将来の日本の安全保障を考える上で、可能な選択肢としての議論をすることが必要ではないかと思います。そして議論そのものが対外的には牽制になると思います。「いつまでも弱い国だと思うなよ」とね。英仏は現在も核を保有していますが、それは主としてロシアの脅威に対してだと思います。日本の置かれた状況は英仏よりさらに厳しいと思いますが。
日本の核武装 (トラ猫は眠りたい)
2019-02-14 23:17:19
将来、憲法問題などをクリアした日本が核武装の決意を表明すると中国韓国からはあらゆる手段での妨害とイヤガラセを世界規模で受けることになります。
それはブログ主様は勿論想定済みと思いますが他に米国政府要人や東部エリート層から了解を取り付けるのも至難のことと思います。
先ずは「大東亜戦争は自衛戦争だった」だの「満州事変は侵略ではない」などと言う浅はかな連中を政権に近づけないことから始めなければなりません。

マンハッタン計画には英国の科学者も参加していたので英国の核武装は仕方なく認めた米国ですがフランスの核武装は裏でかなり妨害したようです。それでもドゴールはやり抜きました。
日本はフランスの例も研究しておくべきと思います。

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