パピとママ映画のblog

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ひとよ★★★★

2019年11月20日 | アクション映画ーハ行

 「凶悪」「孤狼の血」の白石和彌監督が桑原裕子の同名舞台劇を実力派キャスト陣の豪華共演で映画化したヒューマン・ドラマ。最愛の子どもたちを守るために暴力夫を殺害し警察に出頭した母親と、事件によって人生を大きく狂わされた3兄妹の15年ぶりの再会の行方を描く。出演は佐藤健、鈴木亮平、松岡茉優、佐々木蔵之介、田中裕子。

あらすじ:タクシー会社を営む稲村家の母・こはるは、3人の子どもたちの幸せのためと信じて、家庭内で激しい暴力を繰り返す夫を殺害する。15年後、長男の大樹は地元の電気店の婿養子となり3兄妹でただ一人自身の家族を持ち、小説家を夢見ていた次男・雄二は東京でうだつの上がらないフリーライターとして働き、長女・園子は美容師の夢を諦め、地元の寂れたスナックで働いていた。それぞれに事件によって運命を狂わされ、心に深い傷を抱えたまま今の人生を送っていた。そんな3人の前に、出所したこはるが突然姿を現わすのだったが…。

<感想>この作品は、壊れてしまった家族が再びつながることは可能なのかを探る、正真正銘の血のつながった家族の物語である。大雨の降る夜のこと、子供たちを守るために粗暴な夫を、母親が乗せてきたタクシーで轢き殺してしまった。子供の大樹、雄二、園子の母親こはる。この“一夜”の出来事によって、取り返しのつかない傷を負った3兄妹のもとに、15年後のある日突然、母親のこはるがつとめを終えて帰って来る。

そんな胸が苦しくなるような物語を、主人公は母親のこはるにしたものだったところを、次男の雄二(佐藤健)をメインとした3兄妹の視点からの物語に変更したというのだった。

雄二は一人実家を飛び出して、残された兄妹とも距離を置いて、ほとんど実家へは帰らなかった。雄二は東京でしがないフリーライターをしているんですが、自分の仕事や親や地元の人が、ちゃんと理解できていないあの感じって、私にはよく解らない。ですが、血が繋がっていれば、本人の意志にかかわらず、どうしたってその関係(母の夫殺し)からは逃れられないわけで、今回そういう関係性に正面から向き合ってみた雄二の心境も描かれている。

15年前に、陰惨な暴力をふるう夫から子供たちを自由にしてやりたいと、夫を殺してしまったのだ。何故に殺人を、子供たちを連れてこの家を出て行くことだってできたであろうに。

いくら何でも子供たちの為だとはいえ、実の父親を実の母親に殺されたうえ、母親の服役により取り残された幼い兄妹たち。しかし、その後、想像を絶するような辛酸をなめ尽くしだろう彼らであるのに、思いがけずに帰ってきた母親を前にすると、拒絶もできず、かといって歓迎もできずに、ましてや本音をぶつけるなどとうていできずに、そんないたたまれない空気を、兄妹の佐藤健(次男雄二)、鈴木亮平(長男の大樹)、末っ子の園子(松岡茉優)、そしてもちろん母親のこはるの田中裕子が、あまりにも絶妙に醸し出していくのである。

言いたいことも、言うべきことも、みんなが言えずに悶々とする中で、後半では、とうとう母親のこはるがアクションを起こすのだが、その流れの先にある、ふっと緊張がやわらぐ場面がそれである。

子供たちが、自分が良かれと思って父親を殺したことで、自分は刑務所の中で何も知らないで罪を償っていたとばかり思っていた。だが、違うのだ。残された子供たちの世間からの冷たい仕打ちに、そのことを話せば母親が傷つくと黙っていたが、母が帰って来ると、近所の人たちからの制裁がまっていたわけで、住んでいる家の周りや、タクシー会社をしているので、その商売道具の車にペンキで、人殺し母親、鬼の母親とか、描かれていて、それを消すのに一苦労する。必死になって貼られたビラを取り去り、ペンキの落書きを消す娘の園子を抱きしめる母親のこはる。

そんなのは、当たり前で、もっと酷い仕打ちを受けた子供たちや親類の人たち。母親の身勝手な判断から、良かれと思って夫を殺したことで、自分だけでなく、残された子供たちが虐められるとは。それに長男の大樹の鈴木亮平は、妻と離婚話でもめているのだ。そこにも、夫の母親が父親を殺したことを黙っていたことも離婚の原因になっていた。しかし、長男の妻はそのことを調べることだってできたのに。祖母が人殺しでは、孫が虐められるし、自分も納得がいかなかったのだろう。

母親が出所したことを週刊誌の記事に載せたのは、次男の雄二だ。15年もの間、世間さまからの辛い仕打ちを受けて、身体と心を痛めた子供たちにとっては、母親が家に帰ってくることは嫌だったに違いないのだ。それを口に出さずに、黙っている子供たちや、親せきの人たちの心情たるや。

そこへ、佐々木蔵之介がタクシーの運転手として働くことになり、またその佐々木にも、言えない事情があり、そのことで悩み、佐々木の息子が現れて親子関係が引き裂かれることになり、佐々木が飲酒運転で自暴自棄になり、それをみた母親のこはるが、助手席に乗り、2人で死のうと決心したみたいで、車を走らせていく。それを止めようと雄二が、後を追い佐々木の車に激突するのだ。

 

幸いケガ人は出なかったが、それでも、親子は親子だ。家の狭い中庭で3人が座りながら煙草を吸うシーン。これを観て、親子がまた許し合い絆を深めて暮らしていくだろうと。

人間は衝突しなければ分かり合えないのだろうか。顔と顔を合わせて語りあわないからこそ、生まれる新たな衝突や増悪があることは、誰もが感じていることではないだろうか。

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