パピとママ映画のblog

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ぼくを探しに ★★.5

2014年11月06日 | は行の映画
『ベルヴィル・ランデブー』や『イリュージョニスト』がオスカー候補になったシルヴァン・ショメ監督が、初の実写に挑んだ心温まるファンタジー。両親を失ったショックで言葉を失った主人公が、不思議な力を持つ女性と出会うことにより人生の転機を迎える姿を写す。主人公を『美しき棘』などのギョーム・グイが演じ、魔法使いのようなマダムを『最強のふたり』などのアンヌ・ル・ニが好演。シュールかつ多彩な映像と、奇想天外な物語に夢中になる。
あらすじ:幼少時代に両親がこの世を去って以来、言葉を発することができないポール(ギョーム・グイ)は、伯母姉妹に育てられる。ダンス教室を営む二人はポールをピアニストにすることに夢中で、彼は過去の記憶を心の中に秘めながら孤独な毎日を淡々と過ごしていた。そんなある日、彼はひょんなことから同じアパルトマンで生活しているマダム・プルースト(アンヌ・ル・ニ)と出会い……。
<感想>ミニシアターで上映していた、このフランス・パテ映画のマークは、ニワトリのモビールが揺れるシルエットだが、映画の中でも部屋の中で気球や天使などのモビールが吊るされている場面があり、言葉の話せない主人公が、自分の過去を探して母親の夢を見るというこの映画は、観る人を選ぶ作品だということが分かります。

主人公が言葉を話せなくなった原因が、実は両親と住んでいた部屋の上に、伯母さん姉妹が住んでおり、でっかいくて古いグランドピアノが置かれていて、それが両親の頭上に落ちて来て死んでしまった。事故だと言われてみればそうだけれども、まだ赤ん坊だった主人公には、ショックだったに違いありません。

両親が亡くなった後は、その伯母さん姉妹がポールを引き取って育てたわけ。
主人公ポールがピアノを弾き、伯母さん姉妹がダンス教室を開いている。そんな毎日なのだが、ある日、階段にレコードが落ちていて、それを階段のところにある狭い扉に入っていく盲目の老人。

後を付いて行き、その扉を開けると、部屋の奥には、観葉植物や、野菜を育てている部屋があった。鏡で太陽の光を反射させて育てているのだ。そのマダムは、失われた記憶を呼び覚ます不思議な力を持ったハーブティーを淹れて飲ませてくれる。すると、赤ん坊のころに戻って両親がプロレスで稼いでいた場面が映し出される。

文字どおりハーブ茶とマドレーヌに導かれて辿る記憶の奥底への旅。そこには、両親のプロレスもからむとなると、フランスのある種のインテリを個人的に想像してしまう。しかし、茶葉が脱法ハーブな代物じゃないかと心配してしまうくらいに、ポールも盲目の爺さんも気を失ってしまうのだ。

主人公ポールの伯母姉妹、一人はベルナデット・ラフォン。彼女は本作が遺作となった。ですが、その衣裳や室内を埋め尽くす緑、チェリーの扱いなど、監督の独特な感性を感じさせる細かいところがあります。
でも、音楽が重要なモチーフになっている。楽団のようなカエルみたいなキャラクターが、ギターやドラムを奏でながら歌っているシーンがあり、ファンタジー的な作品でもあり、ミュージカル的シーンもあります。

本格的にピアノの先生についてのレッスン、そこでチェロ奏者の中国女性と出会い結婚するのですから、あんなに中国人を嫌っていたのに。
ラスト近くで、主人公がコンクールでピアノを弾くシーンも感動的であり、その後優勝するも、指をピアノの蓋に挟んで弾けなくなるなど、映画なのにカットつなぎにリズム感というか運動神経が不足していて、中々映画が弾まないのが惜しいところ。

それに、グランドキャニオンはまるで絵のような感じで、実写であっても実写感に乏しい場面が多いのだ。ピアノが弾けなくなり、ウクレレを簡単にマスターしてしまい、ハワイにまでウクレレのコンクールに出場するというラストにも、コメディチックな描き方でアニメで撮っても良かったのではと思ってしまった。
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