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おじいちゃんの里帰り ★★★

2014年03月29日 | あ行の映画
トルコ系ドイツ人2世の新鋭ヤセミン・サムデレリ監督が妹ネスリンと共同脚本を手掛け、姉妹の実体験を基に描く感動作。1960年代半ばにトルコ移民としてドイツに定住した一家の家長である祖父を中心に、家族の歴史や絆を優しさとユーモアたっぷりに描き出す。頑固だが心優しい祖父を、ヴェダット・エリンチンが好演。まるでおとぎ話のように語り継がれる、ごく一般的な家族の感情豊かな日々の暮らしが胸に染みる。
あらすじ:トルコからドイツに移り住み、一生懸命働きながら一家を支えてきたフセイン(ヴェダット・エリンチン)も今や70代。彼は一見平凡そうに映る大家族の中で孫たちに囲まれて平穏な日々を送っていたが、息子や孫たちはそれぞれ悩みを抱えていた。ある日、フセインは、今度の休暇には全員で故郷トルコに買った家を訪れようと提案するが……。

<感想>ドイツにおけるトルコ人移民の実態を描いた映画は数多く作られているが、これはその移民の一般的かつ普遍的な心情を描いた最初の映画と言っていいのではないかと思う。
肩の力を抜いて笑って見ているうちに、移民家族のそれぞれの偽らざる心情がにじみ出て、ほのぼのとした優しい気分に浸ることができた。
移民一世の祖父の発案で祖母と4人の息子と娘に、孫たちがマイクロバスに分譲し、祖父の運転で一路故郷のトルコへ。その道中で描かれるのは当然のことながら、自分はトルコ人なのか?、ドイツ人なのか?というアイデンティティーの悩みに尽きるのだが、ここでは敢えて問題を先取りしない。

そこで語られるのはきょうだいたちの過去と現在。ごく平凡な移民家族の嘘偽りのない肖像である。驚かされたのは、トルコ移民のルーツに関するエピソード。おじいちゃんは何と百万1人目の移民として、メルケル首相の前でスピーチをしてほしいと招待状を受け取っていた事実が判明する。

さらには、そもそもトルコ移民は当時のドイツ政府の強い要請で実現した事実。移民はドイツの経済発展の一翼を担っていたのだ。
それでも結局は、故郷に家を買い、一族でそこを訪れようと運転を買って出たおじいちゃん。果たして楽しみにしていたスピーチは実現するのか。

家族揃って、マイクロバスに乗ってというと「リトル・ミス・サンシャイン」を思い出します。美少女コンテストのクィーンを夢見る少女とその個性的な家族が、黄色いワゴン車に乗ってコンテスト会場を目指す姿を描いている。その内に、おじいちゃんが亡くなってしまい、さて亡骸をどうするかで悩みます。おじいちゃんの存在感がたっぷりの映画でした。

この作品の中でも、トルコに着く前におじいちゃんがやっぱり心臓病で亡くなってしまうのですが、その亡骸を何処へ埋葬しようかと悩みます。ドイツ人のパスポートを持っているおじいちゃん。トルコでは外国人墓地へ埋葬せよというのだが、家族はトルコ人として故郷へ埋葬したいと思っているのですね。しかし教会が許してくれません。それでも、何とか説得して故郷へ埋葬することが出来るのです。生まれ故郷の、あの奥さんにプロポーズした丘に。

それに、おじいちゃんが主役のようになっていますが、物語りは孫のチェックくんの目で追っているのです。ドイツで生まれてトルコ語が話せない息子や孫たち。学校では自分の出身地であるトルコの場所を、地図で示せと先生は言うのですが、トルコの田舎なので地図には載ってない。じいちゃんの故郷に帰って見れば、買ったという土地だけで建物はないのだ。それでも、都会のドイツとは違って広大なオリーブ畑が美しい。ドイツに帰ってから、学校で自分のルーツの地名を堂々と貼りだすチェックくんの姿に微笑ましくなります。
それに、孫のチェックくんが、おじいちゃんに教えてもらったトルコ語でスピーチをするシーンも泣けてきますよ。15歳になる孫娘が妊娠をしているのを、この旅行で発覚するのですが、おじいちゃん、もう少し長生きすればひ孫の顔が見られたのにね。
この辺りは、トルコ移民2世のヤセミン・サムデレリ監督と、姉と共に脚本を書いた妹のネスリン・サムデレリの思入れたっぷりで、ぐっと胸に迫るものがありました。
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