パピとママ映画のblog

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シャドー・ダンサー ★★★

2013年04月20日 | アクション映画ーサ行
記録映画でオスカーに輝くジェームズ・マーシュ監督の政治サスペンス。原作がヨーロッパで大絶賛された「シャドー・ダンサー」=悲しみの密告者、著者はトム・ブラッドビー。

主演は「ウォリスとエドワード」のアンドレア・ライズバロー。ほかに「キラー・エリート」のクライヴ・オーウェン、「ジョニー・イングリッシュ/気休めの報酬」のジリアン・アンダースンらの共演。
あらすじ:70年代に自分のせいで弟がIRAと警察の銃撃戦に巻き込まれて死亡したコレット(アンドレア)は、90年代の今、シングルマザーとなり、兄弟たちと共にIRAの忠実な構成員となっていた。だが、ロンドンでの爆弾テロの容疑者となってMI5のマック(クライヴ)に尋問され、服役するかどうかの選択に迫られてやむなくスパイとしての活動を始める。
刑事暗殺の情報をマックに伝えたコレットだが、そのために実行犯の仲間が狙撃されて犠牲になった。IRAの上官ケビンはコレットを疑い始める。その頃マックは、自分に知らされずに組織の活動が行われていることに気づき、上司のケイト(ジリアン)が他にもスパイを使っており、もう一人のスパイ、シャドー・ダンサーの隠れ蓑に、コレットが使われているのではとの疑惑を持つ。マックはコレットを救うためシャドー・ダンサーの情報を追うが、・・・。

<感想>かつてIRA=アイルランド共和軍とMI5=英国情報局保安部の戦いは熾烈を極めていた。それは双方の和解が成立した今となっては、語り草となったのかもしれないが、人々の記憶から消え去ったわけではないのだ。そんな過酷な時代をさかのぼり、もう一度双方の争いを検証しようとする作品なのですが、細部の詰めの甘さが目立って重要な部分が描かれていないのが残念。

冒頭で女性が地下鉄に乗っているところを写し、とある駅で降り階段を足早に登り、階段の途中に爆弾の入ったバックを置いて、地下鉄の地下へと抜けて通りに出て逮捕されてしまう。これが主人公のコレットで、地下鉄の監視カメラに彼女が映っており、爆発は起きなかったがIRAの仲間だと分かる。
MI5情報局のマイクからMI5のスパイとなって情報を流すか、刑務所へ入るかの決断を迫られ、息子のためにもスパイになることを誓う。家に帰ったコレットは、兄弟もIRAの仲間であり、上官のケビンはどうやら息子の父親のようだ。これは一言でいえば二重スパイの悲劇なのだが、そこには双方の様々な思惑が入り乱れて一筋縄ではいかない。

さらに、シングルマザーであるコレットと、捜査官マックとの間に恋が芽生え、加えてもう一つの二重スパイ事件が絡んで、物語は複雑な展開を見せる。ただ、背景となる時代が1990年代とはいえ、どこか牧歌的なのんびりとした進み方で、細部の詰めが甘く、サスペンス劇というにはいささか締まりがないのにがっかりでした。肝心要の双方の暴力の応酬の真相がいまひとつ見えてこない。もう少し、IRAと英国警察との過激な襲撃戦とか、ロンドンでの爆発とか見せて欲しかった。

コレットがマイクとアイルランドの埠頭で密会して、二人がキスを交わし「君を守ってやる」なんて都合のいいことを。そんなことが出来るわけないのに、どうやら女の方が頭が切れる。ラストで、もう一人のスパイ“シャドー・ダンサー”が、自分の母親だとは、これも弟が銃弾で死んだ時、母親が付いていった後ろ姿が映る。これはもしかしてと感じたのだが、伏線だったのですね。

コレットがマイクの指示で息子を連れて逃げることになるが、それは弟に何もかも話ており、弟がマイクの車に爆弾を仕掛けていたのだ。意外な結末なのだが、これも初めから観ていた観客には分かっていたことなので驚かない。女のしたたかさに愛は芽生えるはずもないからだ。
MI5のクライヴ・オーウェンも久しぶりに観たが、上司のジリアン・アンダースンは「X―ファイル」のスカイリーで活躍した綺麗な女優さん、さすがに本作でも綺麗でしたね。
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