パピとママ映画のblog

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アルキメデスの大戦★★★★

2019年08月03日 | アクション映画ーア行

三田紀房の同名人気コミックスを「ALWAYS 三丁目の夕日」「永遠の0」の山崎貴監督が実写映画化したサスペンス・エンタテインメント。巨大戦艦“大和”の建造計画の是非を巡り、海軍内部が二分する中、数学によって計画を阻止しようと奔走する天才数学者の奮闘を描く。主演は「あゝ、荒野」「溺れるナイフ」の菅田将暉。共演に舘ひろし、浜辺美波、柄本佑、笑福亭鶴瓶、田中泯。

あらすじ:1933年。欧米との対立を深め、軍拡路線を進める日本では、海軍省が秘密裏に世界最大の戦艦の建造を計画していた。その一方で、海軍少将・山本五十六をはじめとする“今後の海戦は航空機が主流になる”と主張する“航空主兵主義”派も存在し、“大艦巨砲主義”の推進派と激しく対立していた。そこで、山本は独自に建造費を見積もり、計画の欺瞞を指摘して建造を阻止しようと目論む。そのために彼が目を付けたのが、100年に一人の天才と言われる元帝国大学の数学者・櫂直。しかしこの男、筋金入りの軍隊嫌いで、おまけに超のつく変わり者だったのだが…。

<感想>これは、数学で戦争を止めようとした男の物語。戦艦大和VS天才数学者である櫂直の菅田将暉。冒頭にていきなりVFXを駆使した映像で、巨大戦艦“大和”の断末魔を5分余りにわたってスペクタクルに再現し、荒業級のこの構成にはかなり驚きました。

櫂は、数学者ならではの視点で、世界最大の戦艦大和の建造を巡り、巨額の国費を投じる建造費の見積額に矛盾を発見し、その事実を露見させようと奔走していく。「戦艦大和が抱える問題は、今の日本という国を考えるという点につながる」というコメントを残している山崎監督に、その意図を尋ねてみると「コンコルド症候群」(既に失敗が明確な事案について、過去の投資を惜しみ、無益な費用を費やし続けること)を引き合いに出した。

“大和”は死んでも“日本”は死なず、って言うことなのか。とは言え、数字で戦艦の建造を阻止すべく孤軍奮闘する数学者の行動を、ここまで面白く描きながら、最後に、詭弁に近い平山忠道造船中将の田中泯の言葉で、うっちゃりを喰らわすとは、思わず「えっ」と、数字は嘘をつかないのが口癖の、菅田将暉の演技は絶好調だし、娯楽映画としては上出来だと思った。

「数学で戦争を止めようとする男」が主人公ゆえに、難解な数式が数多く登場する。しかし、実際の数式や数値自体は、この映画にとっては、さほど重要ではないようだ。

数式が導く数値によって生まれる、登場人物の“感情”の起伏が重要なのだから。以前から感じていたことだが、主人公櫂直の菅田将暉のセリフは、入って来るのだから。それは頭の中に入って来たものが、胸の辺りまで下りて来る感じなのだ。

彼の言葉には、独特の強調するポイントがある。そのコントロールが、数式や数値を超えた感情を引き出しているのだと思う。櫂の凄さのひとつは、計算のスピードが尋常じゃないほど早いという点なんですね。発想力は真似できないけど、数式を解くという点に関して言えば、ひとつひとつゆっくりとやれば理解できる――そこに気づけた瞬間、1回楽になったんです。自分も数学が好きだっただけに、絶対に負けたくないなと、菅田将暉が応える。観ている私も数学が大好きなので、好きなものは徹夜や食事をしなくても頑張れるのだと。

に恋をしている造船業の浜辺美波の力を借りて、大坂の造船業社長の鶴瓶に会いに行き、理由を話して設計図を見せてもらう。それに、船にかかる鉄の量と価格で計算をして、戦艦の概算を算出してしまうとは驚きである。

戦艦長門に乗り込み、艦長の小日向さんの話を聞きながら、この船の設計図を盗もうとするもダメであり、とうてい設計図を見せてもらえることもなく、自分の目で巻き尺で測って測量をして、戦艦大和の設計図を作成させるとは、見上げた根性と才能である。

何となく右翼、なんとなくクリスタルの語感で、かと思っていた山崎貴監督の好ましい転向とも見える体制批判。VFXの質はハリウッドに劣らず遜色なしだと。

現代のウケを狙ってか左翼性だけを引き算したような優れた知性が、敗戦の必至を見抜き、戦艦大和建造を阻止しようとする原作漫画の設定がまず面白い。”戦艦大和”の艦長・山本五十六には、舘ひろしが扮しており貫禄充分であった。

ですが、それよりも本作の偉業は、それらが成し得なかった大和が横転し海面に叩きつけられる描写とか、46センチ砲が自重でしなだれていく力学シミュレートの徹底や、加えて日本軍の砲撃で海没した米軍機に乗っていたパイロットが、パラシュートで海に落ちたところへ、米軍の水上機が駆け寄り、パイロットを救出していく貴重な目撃証言など、こうした部分の再現だけでもこの映画を鑑賞した価値があると思います。

その道理が大波に飲まれたことは、それら文芸過去作品では、体験からの再話だが、本作ラストが監督自身の今後の山越えの人生行路なら、予見としては怖いと感じたのだが。

それにしても菅田将暉にとっては、描かれている時代や軍という組織は、今の彼にとって決して身近でリアルなものではなかったと思うのですが、だからこそやってみたいという想いがあったのではないですかね。

正直、戦艦大和って、もうファンタジーの部類に入るんですよね。ですが、1933年から1945年までの話なんですが、どんな史実も人間が造ったものなのに、時間が経つと、その人間が造ったものであるという事実すら風化してしまう。

だから菅田将暉が、「この作品で世の中に何かを伝えたい、残したい」と言う想いが、彼の声がひしひしと伝わって来るのだ。

ド迫力の戦闘シーンに圧倒される130分、絶対に沈まないと言われ続けていた“戦艦大和”の優秀美を特とご覧あれ!

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