パピとママ映画のblog

最新劇場公開映画の鑑賞のレビューを中心に、DVD、WOWOWの映画の感想などネタバレ有りで記録しています。

恋のロンドン狂騒曲 ★★★★

2012年12月10日 | か行の映画
「ミッドナイト・イン・パリ」のウディ・アレン監督・脚本作で、ロンドンを舞台にした大人たちのロマンス。浮気、不倫に年の差婚・・・覗いてみたいすったもんだの、懲りない大人たちがおかしくも愚かな恋を繰り広げる。
出演は「愛する人」のナオミ・ワッツ、「私が生きる肌」のアントニオ・バンデラス、大御所のアンソニー・ホプキンス、ジョッシュ・フローリン、フリーダ・ピント他ベテランの俳優陣が勢ぞろい。

あらすじ:熟年おしどり夫婦だったアルフィとヘレナだが、死の恐怖に囚われたアルフィが若さを追い求めて家出。ヘレナは怪しげな占い師の元へ通いだす。占い師は「あなたの未来はバラ色だ」とヘレナを虜にしていく。
アルフィたちの娘サリーと夫で一発屋の小説家ロイも経済的に行き詰まり、不満顔のサリーは、アートギャラリーで働き始めた。オーナーのグレッグは既婚者だが、セクシーでサリーの心を乱す。
その頃、友人が書いた処女小説の原稿を読んだロイは、その出来のよさに打ちのめされ、向かいのアパートに越してきた美女ディアを窓越しに眺めることが心の癒しとなっていく。
娘夫婦を呼び出したアルフィは、突然再婚話を切り出す。相手はまるで孫ほどに年の離れた無教養な、自称女優のシャメイン。本業はコールガールで、アルフィの金で贅沢三昧。一方ロイは、ディアと会話を交わすようになり、婚約者もいる彼女とランチを共にする仲に。妻のサリーは、夫婦仲がうまくいってないことをグレッグに打ち明けられ、ますます不倫妄想に入り込む。

ヘレナは愛妻を亡くしたオカルトショップの店主と知り合い、意気投合するが。それぞれが新しい恋の予感に胸を高まらせていたが、恋愛の女神は彼らの運命を思わぬ方向へと導いていくのだった。(作品資料より)
<感想>人生の転換期を迎えた2組のカップルの破局と新たな恋をユーモラスに描いている。年に1本のペースのアレン監督の、これは先に公開された「ミッドナイト・イン・パリ」の前年の作品だそうである。ウディ・アレン総決算と思しき豪華恋愛悲喜劇のアンサンブル。

ロマンス間での若干の振れ幅はあるものの、一言でいえば群像劇。
お話はなるほど大人のための寓話に違いない。それも老夫婦と若夫婦の転機をまな板に載せて描いているのがミソである。愚かな希望と大いなるあきらめ、どちらも否定しないその塩梅にほっとします。

男女のことでこれ以上に語られるべきドラマなんか、今の世の中にはないんじゃないか。それをものの98分でいかにもさりげなく纏める技量は、まさに熟練の極みだと感服するしかない。

明るい悲劇、なる言葉が浮かんでくるが、悲劇としては完結させず各人が、徐々に追い込まれていく様を飄々とシニカルに示している。大の大人が恋に狂えば、きっとこんな事になりますよと、快調なテンポや、早口セリフで展開させて、結末はつけずにあっさりと、ジ・エンドだ。
妙な収まりの悪さに監督の余裕さえ感じたのだが。ぱぱっと撮ったわりには、ナオミ・ワッツやフリーダ・ピント等の女優陣がとにかく魅惑的で綺麗だ。そこに本当にいるかのようにさえ見えてきて、ダメな男どもの恋愛感情にいつしか寄り添っているのも印象的に映る。
本作の結末には驚くほどの毒と皮肉が込められているが、バッド・エンドまでとは言わないが、例によって痛烈な皮肉がたっぷり。これまたいつものことだが、贅沢な配役のアンサンブルも見事。今更言うのもなんだけど、アレン節をひとつの器にぎゅっと凝縮した演出も絶好調でノリノリですよ。
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