パピとママ映画のblog

最新劇場公開映画の鑑賞のレビューを中心に、DVD、WOWOWの映画の感想などネタバレ有りで記録しています。

ベルフラワー ★★★

2012年12月01日 | DVD作品ーな行、は行
世界滅亡を夢見る若者たちの友情、愛と憎しみを幻覚的なヴィジュアルとサウンドを駆使して描く異色の青春映画。米インディペンデント映画界の新鋭エヴァン・グローデルが製作・監督・脚本・編集・主演をこなし、自ら体験した究極の孤独と絶望をスクリーンに叩きつける。共演は『マーダー・フィルム』のレベッカ・ブランデスほか。

あらすじ:「マッドマックス2」の世界を愛し、悪の首領ヒューマンガスに憧れる親友同士のウッドロー(エヴァン・グローデル)とエイデン(タイラー・ドーソン)。働く気もない二人は、日々プロパン爆破実験や火炎放射器の破壊力追求に明け暮れ、滅亡後の世界を支配する未來を夢見ていた。そんなある晩、ウッドローはミリー(ジェシー・ワイズマン)という女と出会い、思いがけなくも激しい恋に落ちる。しかし彼女の裏切りを知ったウッドローは、怒りと絶望から正気を失い、火炎放射器を手に狂おしい妄想の世界へと突き進んでいく……。 (作品資料より)

<感想>同じインディペンデント系の映画でも、ところ変われば何とやらで、さすがにイギリスとアメリカでは趣きがガラリと異なる。しかも、これはジョージ・ミラー監督のオーストラリア映画「マッド・マックス2」に出てくる暴走族集団の首領ヒューマンガスへの偏愛に満ちた異色作とくれば、なにおかいわんやである。
監督・制作・脚本・編集・主演の5役をこなすエヴァン・グローデルが、ビュイックな改造車「メデューサ」を暴走させるのだから。いくら監督自らの失恋体験をもとにしたとは言え、これはもう常軌を逸している。

ある夜のこと、行きつけのバー偶然知り合った女性ミリーと激しい恋に落ちるのだが、その恋が彼女の裏切りで怒りと絶望に変わり、ついには妄想の世界へと。
グローデル監督が乗り回す愛車の「メデューサ」だけでなく、親友のタイラー・ドースンと二人で開発した火炎放射器まで飛び出すのだから手がつけられない。グローデル監督は、少年から抜け出せずに大人になったウッドローそのものに見えた。
怒りっぽい観客ならこんな映画とミソクソに叩くのだが、そこは細部まで計算尽くした、このしたたかな監督のこと。見る者をグイグイと自分の世界へと引き込んでいくのだ。撮影まで3年もの歳月を費やしたというから、限られた予算の中での頑張りだろう。
私もメル・ギブソンの「マッドマックス」の大ファンだからかもしれないが、メデューサにも火炎放射器にも違和感がないどころか、あの「マッドマックス」に通じる狂気の世界にすっかりのめり込んで、最後まで見てしまった。
その理由の一番は、絵の具を滲ませたような独特の色彩とぶっ飛んだ独創的な映像だろう。監督自らがカメラを改造して映像にもこだわり、場面変化を際立たせるために4台のカメラを使用。自らつくり上げた特製カメラは、抽象的かつあいまいな映像で世界と決別したウッドローを映し出し、ストーリーのなかでもリアルから遠い感覚を表現した。様々な工夫を凝らした映像で、正面から勝負に出たわけだが、やはり全編に流れる失恋の激しい痛みが心を動かしたと思う。
それは心にぽっかりと空いた空洞と表現した方がいいのかもしれないが、とにかく空虚な喪失感というか絶望にしか行き着かない狂気の世界というのか、痛いほど心に沁みるのが憎い。これぞ青春かもしれない。
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