「うさぎドロップ」の松山ケンイチと「ワイルド7」の瑛太が鉄道マニアに扮し、恋に仕事に奮闘する姿を描いたコメディ。九州ロケを敢行し、合計20路線80モデルにもおよぶ車両の登場が鉄道映画らしいこだわり。共演は「パレード」の貫地谷しほり、「ALWAYS 三丁目の夕日'64」のピエール瀧。森田芳光監督の遺作。
<感想>趣味が繋げた仕事と友情、そして恋の顛末は?・・・「武士の家計簿」などで知られる森田芳光監督の遺作となりましたが、鉄道をテーマに贈る渾身のコメディドラマ。趣味も仕事も一生懸命だが、恋愛には一歩も踏み出せない鉄道ファンの青年二人を主人公に、興味を持つことの素晴らしさ、それを通じて豊かになる人の絆を描きだして行く。
松山ケンイチ&瑛太という今最も旬な若手コンビが主演し、根暗なオタクではなく、好きなことに純粋な人として鉄道ファンを好演。伊東ゆかり、笹野高史、伊武雅刀、西岡徳馬、貫地谷しほり、ポエール瀧、松坂慶子などといったバラエティに富んだ共演陣や、森田作品独特のほのぼのとした空気感も魅力的ですね。
構想30年以上、オリジナル脚本による巨匠森田芳光監督、最期の作品になりました。11年12月21日、映画の公開を待たずに逝去した監督。実は幼少時代からの鉄道好きで、鉄道会社の社長も夢見た頃もあったとか。本作はそんな森田監督が、30年もの間温め続けてきたオリジナル企画によるもので、まさに森田ワールド全開の遺作となったわけです。
鉄道のモーター音まで正確に再現するマニアックさを見せる一方、どこか優雅な台詞回しや独特の間合い、何度か描かれる自己紹介シーンでは、つい笑ってしまった人は、かなりの鉄道好きのはず。伸びやかなユーモアなど、森田監督ならではの演出に引き込まれること間違いありません。
全編に散りばめられた“鉄ネタ”をチェックしてみよう。「筑肥線」や「特急ソニック」など、日本映画史上最多となる20路線・80車両もの鉄道が登場。小町&小玉、どちらも新幹線の「こまち」「こだま」からとったキャラクター名や企業名、果ては台詞に至るまで、劇中には鉄道ネタが満載です。さてあなたはいくつ分かるかな?・・・。
現在車社会ということもあり、移動は殆ど車でという方には絶対にお勧めのローカル線群馬県の「わたらせ渓谷鉄道」。これはスイッチバックという、険しい山を登るために線路がジグザグに敷かれている、渡良瀬川に沿って、緑に包まれた大自然の中をズーッと走っていくシーンでは、車では絶対に感じられない爽快感がありますね。
ローカル線で出会い、すぐに仲良くなった小町と小玉。時には快速で、時には各駅停車で。職業や性格は対照的な彼らだが、鉄道への情熱と恋愛への苦手意識は共通。やがて、二人の仕事と恋愛それぞれに転機が訪れることに。
小町の場合、会社への直言が原因で、本社から九州支社に転勤させられてしまう。しかし、九州は魅力的な列車がたくさん走る、鉄道ファン憧れの地。小町は左遷を嘆くことなく、前向きに九州へと向かう。九州ロケによる美しい風景の数々に、旅行気分も堪能できる素晴らしい映画となっています。
通勤途中に出会った、結婚したい女性のあずさに貫地谷しほりが。小町のことが「少し好き」な社長秘書みどりには村川絵梨。二人の女性からの想いを感じつつも、イマイチ関係に進展がなく、・・・。
小玉の場合、小規模ながらも確かな技術を備えている実家の鉄工所。生き残りを懸けて新技術の導入を図るが、金融機関に融資を断られてしまう。社長である父親のは笹野高史さんが、明るく振る舞ってはいるのですが、・・・。
父親、哲夫の同級生(伊東ゆかり)の娘のあやめと見合いをする小玉。電車デートも手ごたえありで、小玉は彼女にゾッコンとなる。あやめも優しい小玉に好印象を抱くが、何やら思うところがありそうな気配が、・・・。
小町も小玉も趣味を持ってポジティブに生きていますし、いろいろな趣味を持った人達がでてきます。趣味を通して人々が繋がっていくことで、人生が豊かになる。人と人との繋がりや絆を大切にしていくことってことは、監督がこの作品を通して伝えたいメッセージが込められていると思いますね。
森田芳光監督、いままで素敵な映画をありがとう!
監督の好きだった作品「それから」、「阿修羅のごとく」、「間宮兄弟」、「武士の家計簿」など。
2012年劇場鑑賞作品・・・12 映画(アクション・アドベンチャー) ブログランキング
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松山ケンイチ&瑛太という今最も旬な若手コンビが主演し、根暗なオタクではなく、好きなことに純粋な人として鉄道ファンを好演。伊東ゆかり、笹野高史、伊武雅刀、西岡徳馬、貫地谷しほり、ポエール瀧、松坂慶子などといったバラエティに富んだ共演陣や、森田作品独特のほのぼのとした空気感も魅力的ですね。
構想30年以上、オリジナル脚本による巨匠森田芳光監督、最期の作品になりました。11年12月21日、映画の公開を待たずに逝去した監督。実は幼少時代からの鉄道好きで、鉄道会社の社長も夢見た頃もあったとか。本作はそんな森田監督が、30年もの間温め続けてきたオリジナル企画によるもので、まさに森田ワールド全開の遺作となったわけです。
鉄道のモーター音まで正確に再現するマニアックさを見せる一方、どこか優雅な台詞回しや独特の間合い、何度か描かれる自己紹介シーンでは、つい笑ってしまった人は、かなりの鉄道好きのはず。伸びやかなユーモアなど、森田監督ならではの演出に引き込まれること間違いありません。
全編に散りばめられた“鉄ネタ”をチェックしてみよう。「筑肥線」や「特急ソニック」など、日本映画史上最多となる20路線・80車両もの鉄道が登場。小町&小玉、どちらも新幹線の「こまち」「こだま」からとったキャラクター名や企業名、果ては台詞に至るまで、劇中には鉄道ネタが満載です。さてあなたはいくつ分かるかな?・・・。
現在車社会ということもあり、移動は殆ど車でという方には絶対にお勧めのローカル線群馬県の「わたらせ渓谷鉄道」。これはスイッチバックという、険しい山を登るために線路がジグザグに敷かれている、渡良瀬川に沿って、緑に包まれた大自然の中をズーッと走っていくシーンでは、車では絶対に感じられない爽快感がありますね。
ローカル線で出会い、すぐに仲良くなった小町と小玉。時には快速で、時には各駅停車で。職業や性格は対照的な彼らだが、鉄道への情熱と恋愛への苦手意識は共通。やがて、二人の仕事と恋愛それぞれに転機が訪れることに。
小町の場合、会社への直言が原因で、本社から九州支社に転勤させられてしまう。しかし、九州は魅力的な列車がたくさん走る、鉄道ファン憧れの地。小町は左遷を嘆くことなく、前向きに九州へと向かう。九州ロケによる美しい風景の数々に、旅行気分も堪能できる素晴らしい映画となっています。
通勤途中に出会った、結婚したい女性のあずさに貫地谷しほりが。小町のことが「少し好き」な社長秘書みどりには村川絵梨。二人の女性からの想いを感じつつも、イマイチ関係に進展がなく、・・・。
小玉の場合、小規模ながらも確かな技術を備えている実家の鉄工所。生き残りを懸けて新技術の導入を図るが、金融機関に融資を断られてしまう。社長である父親のは笹野高史さんが、明るく振る舞ってはいるのですが、・・・。
父親、哲夫の同級生(伊東ゆかり)の娘のあやめと見合いをする小玉。電車デートも手ごたえありで、小玉は彼女にゾッコンとなる。あやめも優しい小玉に好印象を抱くが、何やら思うところがありそうな気配が、・・・。
小町も小玉も趣味を持ってポジティブに生きていますし、いろいろな趣味を持った人達がでてきます。趣味を通して人々が繋がっていくことで、人生が豊かになる。人と人との繋がりや絆を大切にしていくことってことは、監督がこの作品を通して伝えたいメッセージが込められていると思いますね。
森田芳光監督、いままで素敵な映画をありがとう!
監督の好きだった作品「それから」、「阿修羅のごとく」、「間宮兄弟」、「武士の家計簿」など。
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ほんとうに、これで、良くも悪くも、もう、監督の映画が見れないと思うと残念です。
森田監督の映画はなんだかんだと言いながらたいて観てきましたが、この映画は鉄道への愛があふれていて、そこが、オタクへの愛情も感じさせてくれました。何度も思い出したくなるシーンがあって好きな作品です。
コメントありがとう。
いいですよね、桜の咲く季節にどこか行きたくなりました。
旅行好きにはたまらなく、鉄道で旅行というのはあまりないのですが、たまにはのんびり各駅停車にでも乗って近場に旅したいものです。
森田監督の映画が見れなくなる寂しさ、本当に残念でなりません。