パピとママ映画のblog

最新劇場公開映画の鑑賞のレビューを中心に、DVD、WOWOWの映画の感想などネタバレ有りで記録しています。

幸福の黄色いハンカチ ★★★★★

2015年01月08日 | DVD作品ーか行
刑務所帰りの中年男が、偶然出会った若い男女とともに妻の元へ向かうまでを描いた山田洋次監督によるロードムービー。過去を持つ主人公の物語と若いカップルのラブストーリーが北海道の四季とともにつづられ、1977年に公開されるや大ヒットを記録し、その年の映画賞を独占した。主演は名優・高倉健、その妻役に倍賞千恵子、製作当時映画初出演の武田鉄矢、桃井かおりらが共演。日本映画史に輝く不朽の名作を、色鮮やかによみがえったデジタルリマスターにて堪能したい。
あらすじ:新車を買って、あこがれの北海道をドライブする欽也(武田鉄矢)は、一人旅の朱美(桃井かおり)をナンパして二人で旅を続ける。途中、出所したばかりの中年男・勇作(高倉健)と知り合い、3人は旅を共にすることに。やがて勇作は、「自分を待っていてくれるなら、家の前に黄色いハンカチを掲げておいてくれ」と妻に手紙を書いたことを打ち明ける。
<感想>もちろん1977年の公開時には映画館で観賞して、DVDでも観ております。しかし、昨年、高倉健さんが亡くなってから、TVで放映された健さんの映画の数々を録画して置いたものから選んで、この作品が1番印象に残り泣けて泣けて、こんな健さんの映像を暫くぶりに観て本当にいい俳優さんだったと心残りに感傷に耽りました。
この映画の中での健さんは、網走刑務所から出所したばかりで、そこへ失恋して東京からやってきた武田鉄矢と、途中の駅でナンパした、やはり失恋旅行の桃井かおりとの3人でのロードムービーです。

ですが、あの当時は健さんの演技の細かい仕草とか目に入らなったのに、今回は、出所したばかりでラーメン屋に入り、酒の飲めない健さんがビールを美味しそうに呑み干すシーンに唸り、醤油ラーメンをすするそれはシャバに出て、6年ぶりのラーメンの味を味わいむしゃぶりつくように食べる姿に、上手いと、演技のキメ細かさに、このシーンを撮るために3日間絶食をして食べたというから、本当の俳優魂に驚きと歓心に震えましたね。
郵便局で奥さん宛にハガキを書き速達で出す。その文には、「もしまだ一人でいて自分を許して迎えてくれるなら、鯉のぼりのポールに黄色いハンカチを吊るして置いてくれと」
それからは、3人のコメディともとれる武田鉄矢のチャラ男と、初々しい桃井かおりとの掛け合い漫才のようなシーンが続きます。その合いの手に入るのが高倉健さんで、二人が宿で夜に武田鉄矢が無理やり桃井かおりを押し倒すシーン。大きな声で泣き叫ぶ桃井かおりに慌てふためく鉄矢。そこへ、隣の部屋に寝ていた健さんが中に入って、鉄矢に苦言を諭すシーン。「女は弱いもんじゃ、優しくしなければいけない」と。

これは自分が、刑務所に入った経緯と関係あるようで、九州の炭鉱から北海道の夕張炭鉱へと働きにきた健さんが、スーパーで働く倍賞千恵子に惚れて結婚して、子供が出来たと大喜びもつかの間、奥さんが流産をしてしまい、原因が前の結婚でも流産したことがあり、それで流産の癖がついたというのだ。そのことを健さんに隠していたことに腹を立てて、外へ飛び出し町中で喧嘩をして、相手が石に頭をぶつけて死んでしまったことから刑務所行になる。面会に行く奥さんに、離婚届を出すようにと。本当だったら、奥さんの昔のことに腹を立てずに労ってあげる優しも必要だったのでは、と後悔しているんですね。
この映画の前の健さんは、任侠街道まっしぐらで「網走番外地」シリーズや「日本侠客伝」とかヤクザ映画の作品に出て、それは背中に刺青を入れて、斬った張ったの極道世界をまっしぐらでした。ですので、まだヤクザ映画に興味のない私には健さんの作品は、この「幸福の黄色いハンカチ」が最初の映画ですね。
面白可笑しくロードムービーなので、途中で武田鉄矢が毛蟹を買ってきて3人で食べるシーンも、本当に美味しそうに健さんが蟹の食べ方のウンチクを並べていましたね。それで、お腹をこわした武田鉄矢のトイレタイムで大騒ぎの喜劇ですよ。替わりに運転したら、検問で止められ無免許の健さんが取り調べを受け、刑務所を出たばかりということもあってこのまま警察に逆戻りかも。すると、渥美清さんが係長役で出て来て、助け舟ですね。
ここで、2人とお別れかと思いきや、優しい2人が夕張まで車に乗せていくと言うのだ。近くまで来て「札幌へ行く」と言い出す健さん。桃井かおりが、奥さんはきっと健さんのことを待っていると、私が黄色いハンカチが掲げてあるか見て来るからと、このラストのシーンは何度見ても涙が出て来て、鯉のぼりのポールに何十枚もの黄色いハンカチが風に旗めいていて、これは感動ものでしたね。
北海道を旅行した時は、夕張メロンの産地ということもあり観光地として行きましたが、映画の中での夕張はまだ道路も舗装されてなくて、本当に寂びれた田舎という感じがしました。
思い出に残る映画、「健さん、本当にありがとう!」
2015年DVD鑑賞作品・・・21 映画(アクション・アドベンチャー) ブログランキング