パピとママ映画のblog

最新劇場公開映画の鑑賞のレビューを中心に、DVD、WOWOWの映画の感想などネタバレ有りで記録しています。

シークレット・アイズ ★★★・5

2016年08月03日 | アクション映画ーサ行

2009年度のアカデミー外国語映画賞受賞作「瞳の奥の秘密」をキウェテル・イジョフォー、ニコール・キッドマン、ジュリア・ロバーツの豪華共演でハリウッド・リメイクしたミステリー・ドラマ。国家の不条理に翻弄され、迷宮入りした13年前の事件に落とし前をつけるべく、再び捜査に乗り出した3人の男女を待ち受ける過酷な運命を描く。監督は「ニュースの天才」「アメリカを売った男」のビリー・レイ。

あらすじ:2002年。ロサンジェルスの検察局に設置されたテロ対策合同捜査班にニューヨークから派遣されてきたFBI捜査官レイ(キウェテル・イジョフォー)。ある日、事件の一報を受け現場へ駆けつけた彼は、若い女性の遺体を見て激しく動揺する。被害者は、親友でもある相棒の検察局捜査官ジェス(ジュリア・ロバーツ)の娘だったのだ。怒りに燃えるレイは、着任したばかりのエリート検事補クレア(ニコール・キッドマン)とともに捜査に乗り出し、やがて有力な容疑者を割り出す。しかし、その男マージンはテロ対策班の重要な情報屋だったことから、政治的な判断で釈放されてしまう。納得いかないレイは失意のうちにFBIを去っていく。それから13年。事件のことを片時も忘れたことのないレイは、いまだ犯人逮捕に執念を燃やし、ついにマージンの尻尾を掴むのだったが…。

<感想>あのアカデミー賞外国語映画賞を受賞したアルゼンチン映画「瞳の奥の秘密」を下敷きにしているとは、観ていてまったく気づかなかった。そうならば、少なくとも設定とストーリーラインと、オチの面白さは絶対に保証されているはずだもの。
オリジナルと比較されるのはリメイク映画の担う宿命なのだが、アルゼンチン映画の「瞳の奥の秘密」に惚れ込んだビリー・レイ監督が、そのリスキーな試みに挑み、9・11以後のアメリカに舞台を移し替え、新しいアイデアを盛り込んで、骨太なサスペンス映画に仕立て上げたのである。

過去と現在がややこしく交錯するスタイルは、元ネタ映画があるとはいえ、ハリウッドのサスペンスものに良くあるパターンだけれど、高度な話法であるかのように見えて、それを守るあまりか、演出も編集も辻褄を合わせるためのご都合主義に見えてしまう。
それに、自制の違いはわかりづらく、テロ対策の導入も、アメリカに置き換えて語る手段以外の必要性を実感しづらいのだ。
どうしてオリジナルに沿った構成にしなかったのだろう。私には、オリジナルの方が恐ろし気で好きです。

元FBIの私立探偵は、ターゲット捕獲の計画も、手順も脇が甘すぎてびっくりする。まぁ、オスカー女優二人を相手に、キウェテル・イジョフォーも健闘せざるを得まいて。
FBI捜査官レイがエリート検事補クレアに惹かれあう理由も結局分からなかった。本家では、冒頭から惹かれている様子がありありと出ていたのに。

ですが、何といっても二人のヒロインが良い。いつもながら完璧にエロいキッドマンもさすがだが、別人かと間違うほどにやつれ果て、魂が抜けたようなジュリア・ロバーツが素晴らしかった。オリジナルと同じシーンは、犯人を自分の家の納屋に閉じ込めて、食料だけを与えて飼い殺しにするつもりらしい場面は、殆ど同じです。だが、捜査官レイが後をつけて見つけてしまう。レイは犯人をそのままにしておくのが辛いらしく、拳銃で撃ち殺そうとするも思いとどまる。庭に犯人の遺体を埋めようとスコップで掘るレイ。しかし、ジェスも決心がついたのだろう、拳銃で犯人を撃ち殺してしまうのだ。

我が子を殺された女刑事の10数年にわたる執念を、ジュリア・ロバーツは、ほとんど見せ場の連続で熱演しているし、ハーバード大出身の検事ニコール・キッドマンの、一瞬見せるビッチぶりも楽しい。ジェスが犯人を納屋に隠していることも知っていて、検事として、親友として、ジェスの気持ちをくみ取り訴えを起こさない。ラストは淡々としてます。
オリジナルでは、駅にクレアがレイを見送りに来ていて、自分も好きだったことを告白するところで終わります。身分違いでも、長い間秘めた恋心が爆発するわけなんですね。
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