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あゝ、荒野 後篇★★★★

2017年10月29日 | アクション映画ーア行

 演劇実験室「天井棧敷」を設立した劇作家で歌人の寺山修司の小説を映画化した青春ドラマの後編。ボクシングを通じて絆を育んできた二人の男の姿を描く。『二重生活』などの岸善幸が監督を担当。主演を『セトウツミ』などの菅田将暉と『息もできない』などのヤン・イクチュンが務め、でんでん、木村多江、ユースケ・サンタマリアらが共演している。

あらすじ:プロデビュー戦を終えた後、トレーニングに打ち込む沢村新次(菅田将暉)と二木建二(ヤン・イクチュン)。因縁のある山本裕二(山田裕貴)との試合が決まって一層トレーニングに励む新次は、建二が自分の父親の死に関わっていたことを知る。一方の建二は図書館で出会った君塚京子(木村多江)に心惹(ひ)かれるが、孤独を消せずにいた。そんな自分を変えようと、彼は兄弟のような絆で結ばれてきた新次と決別することを心に誓う。

<感想>前篇も長かったが、後篇も長いときてる。しかし、後篇の方が面白かったし、熱くなって観れた。前篇では、新宿新次役の菅田将暉とバリカン建二のヤン・イクチュンの二人を初め、原作と対照的にスタイルのいい芳子役の木下あかり、そして片目のトレーナ、ユースケ・サンタマリアにでんでんと言ったベテラン勢が頑張っていたのが見られるも、場面としては力不足のような気がした。

その点では、後篇のボクシングの試合に集中していく新次の菅田くんと建二のヤンの、肉体が画面に躍動感を与えていくのも見ものでした。密度がぎゅっと濃くなる後篇では、海洋拳闘クラブのスポンサーである高橋和也が、ジムの資金集めに苦労するも、結局はオーナーの二代目に葬儀屋の倉庫にすると言われて、最後に新宿新次とバリカン建二の試合でジムをたたもうと決める。バリカン建二は、二代目の口利きで別のジムへ移籍して、新次と別々の道を歩むことになります。

そして、新次の母親も高橋和也の愛人のような存在で、二人はいい関係を築き新次の試合に楽しみを覚えます。新次の宿敵の山本裕二との試合に向けて、特訓の真っ最中、そして試合では、「ぶっ殺す」と言っていた新次も、裕二のボクシングのテクニックに倒れることもあり、必死で顔面喪失になりながらもKOではなく、最後まで二人の試合が続き、最終ラウンドの新次のパンチが決まり、判定で新次が勝利を収める。

自分を子供の頃に捨てた母親の君塚京子には、木村多江が扮しており、いつも白いスーツ姿で決めて高橋和也の傍に付き添い、新次の試合を応援している。

バリカン建二は、初戦で負けてしまい、それからは試合の度に名を挙げていく新次に対して、ここにいては新次とは対戦できないと、仲良くいつまでも親友でありたいと思っている建二だが、自分の父親が、昔、新次の父親を自殺に追いやったことがあり、それを苦にしている。そんな時に、バリカンが図書館で妊娠をしている女性を助けて病院へ運ぶのだが、お腹の子供は助からなかった。彼女のお腹の子供の父親は、あの前篇で「自殺防止研究会」のリーダーで、演説をしていた男が父親だと言うのだ。

新次と芳子の関係は、芳子はあの東北大震災の津波の被害者であり、母親は足を怪我しており、被災地の仮設住宅に置いて一人東京へ出てきたというのだ。3人で海へ行くシーン、芳子にとっては海は家族や友人を、自分のものを全部持って行った憎い海、幼い頃に母親に買ってもらったひまわりの刺繍がしてある赤いズック靴を海に捨てる。

大事に取って置いたものだが、これからは、もう自分には必要ないと、だが、海は残酷なものだ、引き潮と戻る潮の流れがある。何もなかった被災者の芳子にとって、この赤い靴だけが砂浜に打ち上げられていたもの。それを捨てたのに、今度も自分の傍に戻ってきた赤いズック靴。新次がたまにふらっと、芳子の身体を求めて部屋に来るが、新次のことを愛しているわけではなく、これからの自分のことを考えて部屋を出て行く。だから、能天気やの新次が、芳子の部屋へいくともぬけの殻の状態に驚く。

そして、片目のトレナー、ユースケ・サンタマリアがいつも言っている居酒屋で、足の悪い女性と仲良くなるのだが、実はその女性が芳子の母親だったとは。

そして、クライマックスの新次と建二の試合が決まったと連絡が入ります。後篇の見どころ、新次と建二の試合が始まり、手に汗をかきながらもどちらにも勝て欲しい願い、この試合はまるで「あしたのジョー」で、ジョーと力石とが対戦をしているような状態でした。お互いに、打ち合い殴られながら血反吐を吐き、それでも立ち上がり戦うポーズをする。殴られても、殴られても、「新次と繋がりたい」と思う建二が、フラフラになりながらも新次に殴られるのだ。

そこへ、目が見えなくなっている建二の父親が試合を観に来るんですね。湧き上がる歓声と、その声を聴き分けながら、父親として息子の最後を知る。この後篇の中心となるボクシングのシーンでは、俳優がある程度トレーニングをして演じているのですが、その限界をどう打ち破るのか、俳優だから可能な限りの躍動感を見せ、カメラ、編集との三位一体で組み立てた迫力が凄かった。

るで本気で殴っているのでは、これはそうだ、やっぱり本気で殴っているのだと、思わずにはいられませんでしたね。ラストが哀しい結果になるとは、この二人は、最後まで繋がることは出来なかったんですね。

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