パピとママ映画のblog

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ダンケルクIMAX★★★・5

2017年09月09日 | アクション映画ータ行
第二次世界大戦の西部戦線では、英仏連合軍の兵士40万人がドイツ軍の猛攻の前にフランス北端のダンケルクに追い詰められてしまう。これに対しイギリスが決行した救出作戦にはヨットや漁船など多くの民間船も参加し、結果的として兵士の犠牲を最小限に抑えることに成功した。この史上最大の撤退作戦と呼ばれる史実を、「ダークナイト」「インターステラー」のクリストファー・ノーラン監督が、圧倒的臨場感で描き出した緊迫の戦争アクション・ドラマ。出演はフィオン・ホワイトヘッド、ハリー・スタイルズ、ケネス・ブラナー、マーク・ライランス、トム・ハーディ。

あらすじ:1940年、フランス北端の港町ダンケルク。ドイツ軍に追い詰められた英仏連合軍40万の兵士たちは絶体絶命の状況を迎えていた。若き英国兵トミーが街中を必死で逃げ回り、ようやく辿り着いた海岸には、おびただしい数の兵士たちが救助の船を待っていた。しかし彼らに残された時間は限られていた。そこでドーバー海峡を挟んだ対岸のイギリスでは、民間の船までをも総動員した救出作戦が決行される。民間船の船長ミスター・ドーソンもそれに呼応し、息子とともに危険を顧みず同胞が待つダンケルクへ向け船を走らせる。そして最新鋭戦闘機スピットファイアのパイロット、ファリアーもまた、危険を承知の上で味方の撤退を援護すべくイギリスから飛び立つのだったが…。

<感想>フランスの北端に位置する海辺の街ダンケルク。第二次世界大戦の真っただ中の1940年、ドイツ軍の攻勢によって英仏連合軍の兵士たちは、この地に追い詰められる。その数40万人。英国首相のチャーチルは、彼らを救うため、軍艦と民間の船舶も動員したダイナモ作戦を発動させる。

絶対絶命の彼らを本国に帰還させるため、史上最大の撤退作戦が今、始まろうとしていた。最初の街中のシーンでは、英国兵が人気のないダンケルクの街を歩いている。そこへどこからともなく銃弾が発射されて、イギリス軍の兵士たちがかなり死んでしまう。トミーだけが命からがら逃げてフランス軍の陣地へ転がり込む。

恐ろしくセリフの少ない映画でしたね。トミーがドイツ軍の降伏勧告のビラを拾って2,3枚懐に入れるのですが、何の意味があるのかって、その後に砂浜で用を足して尻を拭くためなんですよね。

CGを極力排した映像、人物に寄り添って全体の状況をあえて見せないスリリングなカメラワーク、そして「陸・海・空」と3つの場面をそれぞれの体感時間の差を表すようにバラバラの時間軸で描く構成になっていた。特に圧巻だったのが、鼓膜が破れるそうなくらいの、ド迫力の轟音サウンドである。観るというよりも、体感するという表現がしっくりくる映画であった。
最も重視したのが、ドイツ軍を徹底的にバッサリ切って排除しているところ。姿こそ見えないが、陣営から銃弾を浴びせるシーンもありますから、画面に見せないのがかえって不気味であった。
何とか生き抜き、故国へ帰還しようとなりふり構わずもがく兵士たちが、海中に放り出される姿を近頃流行りのコンピューター撮影を極力避けて、製作しているので実戦に立ち会っているかのごとき息苦しさを感じた。
昔の戦争映画だと、ヒトラーとかが出て来て、今はこういう戦況だと、いろいろ説明して、次が司令官クラスが、それから個々の兵隊と順番に描いていく。だから、この戦いはこいう作戦なんだと分かるわけですが、そいう枠組みがきっぱりと投げ捨てているのだ。

あくまで戦場の主観的なリアルにこだわっている。だから、ケネス・プラナー演じる偉そうな中佐が出て来て、作戦を説明しだすのが逆にウソ臭いのだ。帰還兵が40万人もいるのに、駆逐艦が一隻であり、その他の船もドイツ軍の戦闘機に撃墜されて海に沈んでしまう。
ダンケルクの海岸で撤退を待つ兵隊の数が、意外に少なかったような気がした。35万人が対岸に運んだと言われており、どんな大群かと想像していたら、あれって感じで、実際のダンケルクの海岸で撮影したそうだけど、そこだけ合成でもなんでもいいから、すごい画を見せて欲しかったですよね。

まぁ、ダンケルクの戦いの映画なのに、海岸でドイツ軍を押しとどめていたフランス兵すら描いていませんもの。本来は撤退作戦の主役であるはずのイギリス陸軍も、まったく活躍しない。海岸に寝そべっているし、ドイツ軍の爆撃機に向かってライフル銃を撃っていた兵士もいましたが、すぐに吹き飛んでしまっていた。そういう意味では、かなり視点の偏った、変な戦争映画ですよ。
海のシーンでは、船がひっくり返って沈むシーンとか、船室に海水がドーつと入ってきて、兵隊が逃げるシーン。魚雷の怖さも印象的でした。そして、一斉に電気が消えて、船倉に水が流れ込んできて、その直前のシーンでは、主人公がジャムを塗ったパンを食べていたのを見て、美味しそうだと思ったのに。
兵士たちは、なるべく出入り口近くに移動して、船内に入らず甲板にずっととどまろうとする兵士もいる。いつ、魚雷にやられるかもわからないという怖さを良く表していると思った。ドーバーという対岸が見えるくらいの幅の狭い海ですら、怖いのだ。そういう細かい戦場のディテールを、本当によく調べていたと感心。

民間船の船長ドーソン(マーク・ライランス)の小型船が兵士たちを救うためにダンケルクに向かう途中で、味方のイギリス空軍の爆撃機が飛んで来て墜落するシーン。

パイロットはキリアン・マーフィで、ダンケルクは戦場で行かないでイギリスへ戻ってくれと頼むのだが、船長は政府の命令だからと言って、ダンケルクへと向かう。その時に、喧嘩になり、一番下の弟が頭を打ち重体となり死んでしまうのだ。

このダンケルクの戦いだって、はっきり言えば負け戦であり、それをあれだけ英雄的に描いてしまうってこと自体、イギリスの執念だなと感じてしまう。「イギリス人は負け戦を愛しむ」っていう言葉がありますしね。イギリス人としては、「撤退戦に勝利した」って言い方になるけれど、実際は装備を丸ごと捨てて、命からがら逃げ帰っただけですからね。生還して帰ってきた兵士も、「罵倒されるから、絶対にホームを見ない」と言ってますけど、やはり当時の兵士には、恥だという意識があったようです。ですが、その後、よくぞ生きて帰って来たと大歓迎されるわけですからね。
実際のダンケルクの海岸を舞台に、第二次世界大戦時の戦闘機スピットファイアを空に飛ばして撮影するなど、リアリティにこだわった映像が目白押しの本作。当時のディテールも限りなく再現しているらしい。

とにかく空中戦映画といっても過言ではないくらいに、ほぼ戦闘機スピットファイアのカッコよさ。CGを使っていないというだけあって、スピットが一番綺麗に見えるアングルを、一番綺麗に撮っているのだから。ドイツ軍の戦闘機にはメッサーシュミットを使用している。最後まで残って大空で戦った戦闘機スピットファイアのパイロット、トム・ハーディ。セリフこそないが、戦闘機乗りとして、燃料が無くなる最後まで飛び、敵の戦闘機を撃ち落として、最後は砂浜に着陸してドイツ兵に捕らえられるのだ。
戦争映画というと、相手との激しい戦場での攻防戦が描かれるのが、ここでは身内のイギリス兵だけで撤退する姿、ちょっと前に観た「ハクソー・リッジ」の方がリアルで臨場感があったと思う。
それらによって生み出される“まるでその場にいるかのような没入感”は、戦争映画という枠を超えるような、かつてない興奮をもたらしているのだ。ノーラン監督が切り開く驚異的な映像世界。そのリアル感をしかと体験して欲しいですね。

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