パピとママ映画のblog

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リリーのすべて ★★★.5

2016年03月21日 | アクション映画ーラ行
世界で初めて性別適合手術を受けたデンマーク人、リリー・エルベの実話を基に、ふとしたきっかけから男性であることに違和感を抱き始めた主人公の苦悩と、そんな夫を献身的に支え続けた妻の葛藤と感動の愛の物語を描いたドラマ。主演は「レ・ミゼラブル」「博士と彼女のセオリー」のエディ・レッドメイン。共演に本作の演技でみごとアカデミー助演女優賞に輝いた「ロイヤル・アフェア 愛と欲望の王宮」「コードネーム U.N.C.L.E.」のアリシア・ヴィカンダー。監督は「英国王のスピーチ」「レ・ミゼラブル」のトム・フーパー。
あらすじ:1926年、デンマークのコペンハーゲン。風景画家のアイナー・ヴェイナーは結婚して6年目になる肖像画家の妻ゲルダと仲睦まじい日々を送っていた。ある日、ゲルダに頼まれて女性モデルの代役を引き受けたのがきっかけとなり、自分の中に潜んでいた女性の存在を自覚するようになる。最初は遊びのつもりでアイナーに女装をさせ、“リリー”として外に連れ出し楽しんでいたゲルダも、次第にアイナーが本気だと気づき激しく動揺するが…。

<感想>「博士と彼女のセオリー」で昨年アカデミー賞主演男優賞に輝いたエディ・レッドメインが演じる、世界で初めて性別適合手術に挑んだデンマークの画家に扮して、再びアカデミー賞主演男優賞候補になっていた話題作です。ですが、妻役の「コードネーム U.N.C.L.E.」のアリシア・ヴィカンダーがアカデミー賞助演女優賞を獲得したのですね。アリシアの演技も立派でした。

さすがに芸達者だけあるエディ・レッドメインだから、女性の心を持った男性の役どころを難なく演じて、それが上手いの何の、女性らしさというよりも妖艶な男を惹きつける女性を演じているのだ。その繊細な心の動きや仕草、あとメイクに素敵なドレスにカツラを被って、女よりも女らしさが際立っていた。

実話であり、今で言うところの「トランスジェンダー」なんだけど、映画の舞台は1920年代なので、まだまだ“性同一性障害”なんていう言葉も概念もない時代であったから、もの凄い戸惑いや苦労があったと思う。病院へいけば精神病患者と間違われてしまい、異常者扱いを受ける。

仕事は風景画家のアイナーがそれなりに売れっ子で、画商にも気に入られている。妻のゲルダは肖像画家専門で、あまりパットしない。それが妻の絵のモデルの代役をすることになり、絹の靴下をはきピンクの靴を履く。

それにアンバー・ハード扮しているウラというバレリーナの代役なので、衣裳がオーガンジーの透けているドレス。手に取り、うっとりしてそのドレスを撫で回し、その時のちょっとした表情の動きで、彼の中に何かが目覚めたことを観客に分からせてしまうのがすごい。

それに、あからさまにゲイやオカマ的な演技とも違うんですから。最初のうちのリリーは、女装した男性そのものなんだけど、物語が進行していくうちにつれて、すでに彼の中に女性なのだという自信みたいな、もう引き返せないという感じが読み取れる。彼の告白には、幼い頃の思い出にも、ハンスという男とそういう関係になってしまい、父親に見つかり別れたという過去がある。

妻の絵の個展をパリでやることになり、一緒についていき売春宿みたいなところで、女性が客に自分の裸を見せ色目を使う仕草に、自分も一緒になりやってみる。そういう徹底したリサーチで女性的な動作を学んでおり、エディの成り切りぶりは本当にお見事といっていい。
彼女より男性的な女性は実際にたくさんいる現代。それに、ゲイもオカマも王手を振って町を歩けるし、化粧も派手、派手メイクで女性より綺麗。TVにもいっぱい出ているでしょうに。社会も認めている時代だしね。

しかし、愛する夫が突然「これから女性として生きたい」「女性になる手術をしたい」と妻に言いだしたら、普通は離婚するよね。でも妻のゲルダは、愛する人の願いを聞いて夫の望みを叶えてあげようとするわけ。

これって、“究極の無償の愛“ですよ。ドイツの病院での手術に付き添って、1回目の手術が成功して、デンマークへ戻りベン・ウィショー扮する同じ悩みの“性同一性障害”である彼と出会い、2回目の大手術をすることを誓う。
ですが、その2回目の手術が失敗に終わったのか、それともリリーの体調が悪化したのか、眼を開けることはなかった。本当はリリーの手術が成功して、女性として着飾って街を歩く姿が観たかった。
妻の献身的な愛、彼女にとって何も得ることはないのに、離婚せずに支えつづけるゲルダの愛は本物ですね。

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