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日本で一番悪い奴ら ★★★★

2016年06月29日 | アクション映画ーナ行
『凶悪』などの白石和彌監督と『新宿スワン』などの綾野剛がタッグを組んだ、日本の警察における不祥事をモチーフにした作品。2002年に覚せい剤取締法違反容疑などで逮捕され“黒い警部”と呼ばれた北海道警察の警部の、逮捕までの26年間が描かれる。脚本は『任侠ヘルパー』などの池上純哉、音楽を『八日目の蝉』などの安川午朗が担当。白石監督の演出と、劇中で体重を10キロ増減させ衝撃的な実話に挑んだ綾野の壮絶な演技に引き込まれる。
あらすじ:柔道で鍛えた力を買われて、北海道警察の刑事になった諸星要一(綾野剛)。裏社会に入り込んでS(スパイ)をつくれという、敏腕刑事・村井の助言に従い、Sを率いて「正義の味方、悪を絶つ」の信念のもと規格外の捜査に乗り出す。こうして危険な捜査を続けていった諸星だったが……。

<感想>この映画は諸星要一という男の26年間を描いている、いわば一代記といったようなもの。しかし、実話だということで、北海道警察の警部だった稲葉圭昭が、覚せい剤使用と営利目的の所持、銃刀法違反で懲役9年の有罪判決を受けた「稲葉事件」基に描いたのが本作である。
作品ごとにまったく別の人間を生きる俳優の綾野剛くん、稲葉をモチーフにした主人公の諸星要一は、学生時代を柔道一筋で生きてきた不器用な男。そんな彼が毒をもって毒を制すとばかりに、清い正義と濁った悪事と暴力を合わせ持つことを要求される警察組織の中で、正義を信じて間違った方向へ一直線に進んでいく。

綾野剛が演じるのは悪事に手を染める刑事の諸星要一。獰猛で俊敏な、美しい野生動物のような綾野剛の、一面を見事に生かしているといっていい。文字通り「日本で一番悪い奴ら」で描いているのは相当悪い奴らのことで、警察という正義の遂行を強く求められる組織の中で、点数稼ぎのための不正がまかり通り、モラルよりも組織の利益やメンツが優先される警察の実態。ですが、諸星は、自分の信じた正義のために、許されざる悪事を働いていたのだから。

そこへ、上司のピエール瀧が演じる村井の悪魔のささやきを真に受けて、無自覚のまま悪の道を暴走し始めるわけ。観客は、まるで諸星が暴走運転する車に乗せられたような状態で、いかにも「世界がクソまみれか」を、これでもかというくらいに見せつけられるのだ。だからなのか、どうせクソまみれの世界ならばクソにまみれた側から見た方が眺めがいいに決まっている。

諸星が初めてガサ入れに行き、覚醒剤と拳銃を見つけるシーン。窓を開けて向かいの屋上にいる風俗嬢に向かって「警察が泥棒してま~す」という諸星が言うのだ。きっと、誰かに聞いてもらいたいと思ったのかもしれませんね。

ロシア人に盗難車を売りさばくパキスタン人、その男に諸星が拳銃を買い付けするように頼む。それに覚醒剤も。警察がそんなことして、いくら拳銃摘発するからといって、北海道のヤクザから拳銃を取り締まるのを、ロシアからの密輸で拳銃を確保する。その拳銃をいかにも警察が銃器取り締まりをしましたとばかりに報告するのだ。

そして警察が、横流しをした覚醒剤が大量だとわかって、銃器対策課がどんよりとしてところへ、諸星が入ってくるシーン。そして、その覚醒剤を持ち逃げする中村獅童のヤクザ。
その背信行為は鋭く追及されるべきであり、しかし、同時に悪に対する嫌悪感を抱かせるだけでなく、奇妙な共感を生んでいくことも否定できないのだ。その背景には、いわゆる組織の定めた正義に奴隷化した存在が見え隠れするから。
夕張に転属命令が下り、覚醒剤の依存症なのか、やたらとペットボトルの水を飲み、それでも軽トラックに乗り高校野球をカーラジオで聞いている諸星。

ですが、普通なら躊躇するべきであろう一線を、彼らは意識的に踏み越えているのだ。だから、諸星の彼女が覚せい剤中毒になり、何もかもが上手くいかずにダメになり、ヤケになり自分も覚醒剤を打つ諸星。何だか、諸星が憎めないキャラクターになっていた。
彼らの多くは、所属する組織に身も心も捧げて猛烈に働くものの、組織の正義への盲信が、自己正義の熱狂へと変換された諸星とその仲間たちからは、画面の中の組織の上層部の悪い奴らが巻き起こす狂った状況を、理解しがたくもない。

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