パピとママ映画のblog

最新劇場公開映画の鑑賞のレビューを中心に、DVD、WOWOWの映画の感想などネタバレ有りで記録しています。

素敵なダイナマイトスキャンダル★★★・5

2018年03月29日 | アクション映画ーサ行

実母がダイナマイト心中を図ったという強烈な体験を持つ雑誌編集者・末井昭の自伝的エッセイを柄本佑主演、「パビリオン山椒魚」「南瓜とマヨネーズ」の冨永昌敬監督によるメガホンで映画化。

あらすじ:母・富子が隣家の息子とダイナマイトで心中した末井青年。18歳で田舎を飛び出し、昼は工場勤務、夜はデザイン学校という生活から、看板会社への就職、そしてエロ雑誌の世界へと足を踏み入れる。表紙デザイン、レイアウト、取材、撮影、漫画と、あらゆる業務をこなしながら、編集長として「立て!男のエキサイト・マガジン」をキャッチフレーズに雑誌「NEW SELF」を創刊。カメラマンの荒木ら精鋭たちがメンバーとして集い、雑誌は軌道に乗るが、わいせつ文書販売容疑で発禁となってしまう。柄本が主人公の末井役を、尾野真千子が母・富子役を演じるほか、前田敦子、三浦透子、峯田和伸、松重豊、村上淳らが出演。

<感想>名物編集長・末井昭さんって知らなかった。芸術は爆発だったりすることもあるのだが、実話なんですからね笑えません。母親が隣の若い青年とダイナマイト心中をしたという強烈な体験が7歳の時。その後は、高校を卒業後集団就職で大阪の工場で働いたり、デザインの仕事に興味を持ち、雑誌「デザイン批評」を読みふける毎日が続く。

その後、デザインの学校へ入学するも、学生運動の煽りでデザイン学校が閉鎖。その後は、「作画会」に就職し、デザインの話ができる近松と出会う。そこは小さなエロ雑誌の出版社であり、後に編集長として新感覚のカルチャー・エロ雑誌を創刊。しかし、雑誌が売れなければ生活が成り立たず、ピンサロ「クラウン」で看板描きをする。

警視庁から呼び出し出頭して、始末書提出。卑猥な文書販売容疑で逮捕されるも、その刑事に松重豊さんが、東北弁丸出しで、きわどい女の裸の丸出しを批判してはダメだと言いながらも、怖くない刑事の役をしているのが面白い。女の裸写真の「写真時代」は大ヒットで、30万部も売れた。それに、ダッチワイフの紹介の記事で、メーカーからクレームが。

奮闘する日々の中で、写真家の荒木さんと出逢い、さらには南伸坊、赤瀬川源平、嵐山光三郎ら、錚々たる表現者たちが集まって来る。その後も発禁、創刊を繰り返しながら、数々の雑誌を世に送り出してゆく。

昭和のアンダーグランドカルチャーを牽引した希代の雑誌編集長の実話を元に、綴られた自伝的エッセイでもある。数奇な運命を背負い、転がる石のように生きてきた青年が、たどり着いた先は?__「パチンコ屋の必勝ガイド」創刊へと、その他看板にチラシなど。TVCMも着物を着て女装して出演という破天荒な男でもあった。

結婚をして、奥さんには前田敦子が、苦労時代を支えている。エロ雑誌なので、裸の写真のモデルには、三浦透子が全裸姿で頑張っている。

会社の事務員を愛人にして、彼女を愛したのだが、何故だか愛人は精神病院に入院してしまう。

時代背景が昭和なので、古き良き時代の物語とでもいうのか、そんな時代で生きる男は、エリート街道を歩くわけでもなく、何故かエロ雑誌の編集長になり、意気揚々とエロポスターや看板を描き続け、大人のおもちゃや、出世街道まっしぐらという訳にはいかなかった。

悲惨なはずなのに、ジメジメしていない面白さ、柄本さんがペンキをかぶって裸で街を疾走する、ストリーキング&アクションペインティングも印象的でした。次々と仕事をこなしていく展開の中で、そこから這い上がれないでいるのか、キャバレーの看板描きから、エロ雑誌のイラストやレイアウト、そしてエロ雑誌の編集へという道程は、一貫して肉体の側から攻め上がるしかなかったからなのだろう。

主人公の末井昭が創った「NEW Self」「ウィークエンドスーパー」、「写真時代」が、文化のヒエラルキーが解体されていく1980年代に、ひときわ異彩を放ったのも、それが彼の肉体感覚に裏打ちされていたからである。表現としてエロがあれだけの力を持っていたのも、あの時代ならではである。今ではキャバレーもなくなりエロは、情け無用のAVのなかに閉じこめられてしまった。

 2018年劇場鑑賞作品・・・58アクション・アドベンチャーランキング

 映画に夢中

トラックバック専用ブログとして、エキサイトブログ版へ

トラックバックURL : https://koronnmama.exblog.jp/tb/29684939


この記事についてブログを書く
« 曇天に笑う★★★ | トップ | ヴァレリアン 千の惑星の救世... »

アクション映画ーサ行」カテゴリの最新記事