goo blog サービス終了のお知らせ 

楽園の泉、読了

2010-01-17 | 読書【SF】

アーサー・C・クラークの「楽園の泉」(ハヤカワSF文庫)を読了。

新装版を読みました。

実は、「宇宙旅行はエレベーターで」(ランダムハウス講談社)を読んでいて、

クラークのこの作品の名前が出てきたので、

そう言えば、こんな作品あったかもと思っていたら、

いつの間にか新装版で2006年に出ていた一冊です。


小説としての中身は、何もありません。

宇宙エレベーター建設に関連するクラークの夢がいくつも投入されるのみ。

途中、スターグライダーの話が挟まるのですが、

いったいどうなってんの、この展開と思いながらも、

ついつい読み進めてしまいました。

ただ、やっぱりクラークの作品は私には優等生過ぎて、相変わらず退屈でした。







人間以上、読了

2009-11-29 | 読書【SF】

シオドア・スタージョン「人間以上」(ハヤカワSF文庫)を読了。

5年くらい前から本棚で眠っていた本です。

東京創元社のWEBサイトの桜庭一樹の読書日記に出ていたのを読んで、

この休みに、久々に古典SFに挑戦しました。

(たぶん3年以上前に読んだオールディスの『地球の長い午後』以来…)


感想は、一言、難しい小説だなということです。

・3部構成であり、それぞれが独立して読める中篇である
・集団人(ホモ・ゲシュタルト)という概念
・その新人類がどうやって道徳の獲得をするか
・最後数ページのオチ
・キャラクターの名前がちっとも覚えられない

などなど、人によって評価が分かれます。

小説の構造としては大したことはないのですが、

何がいいたいのかよくわからんシーンが多過ぎて、困ります。

(これは訳の問題で、話しているのが誰なのかがよくわかりません)

(そして、何の話をしているのかが、わかりません)

2回、3回と読めば読むほど味が出るという気はしますが、

うーん、消化不良気味です。


スタージョンと言えば、孤独とか、幻想的とか、という言葉が使われるのですが、

正直、どのあたりがそうなのか、全く不明???

やっぱり、短編集を読まないと理解できないかも。

ただこれだけは言えます。

この「人間以上」はスタージョンの出世作かもしれませんが、

代表作ではないな、ということです。







レムの森にさまよう

2009-09-13 | 読書【SF】

佐藤文隆「夏はなぜ暑いか」(岩波書店)を読みながら、

実は温室は温室効果で暖かいわけではない、という部分に納得。

温室効果(green house effect)という言葉はあくまで比喩であって

厳密には何~も説明したことにはなっていない。

こういう間違いは結構あるのかも。

昨今の健康ブームには、そういう誤解がたくさんありそうです。

科学的に考えることをやめてしまうと、単なる無知になってしまうようです。

とはいえそこまで科学的にすべて信用性がある(保証されている)かというと

「これこれは~であるということが、不明瞭であるという事実」については

信用できるかもしれませんが…。



売れているのかどうなのか、本屋を3軒はしごして、

スタニスワフ・レム「泰平ヨンの航星日記〔改訳版〕」(ハヤカワSF文庫)を購入。

レム(上・下)とブラウンの3冊同時に出たのが一年前か…。

(ふっ、2冊とも本棚の肥やしになっているぜ)

一年、早過ぎ、と思いきや、

その間に、ハヤカワ文庫は細長になっていた!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!

新書サイズでもないし、なんて言うのか、よくわからん判型です。

ハヤカワ文庫はどれも絶版モノが多いだけに、

今までのものと本棚に並べてもものすごく違和感。

なんじゃこりゃ。

で並べていていつも思う、レムのハヤカワSF文庫のカヴァのナンバリング

【SF レ 1】

これ、いったいどうなっているのか、皆目検討が付きません。

というのも、

①ソラリスの陽のもとで
②宇宙創生紀ロボットの旅
③宇宙からの帰還
④エデン
⑤捜査
⑥泰平ヨンの航星日記
⑦金星応答なし
⑧砂漠の惑星
⑨⑩宇宙飛行士ピルクス物語 上・下
⑪泰平ヨンの航星日記〔改訳版〕

と思っていたのですが、どうも違うようです。

wikipediaやamazonによると泰平ヨンのシリーズは

ハヤカワSF文庫に全部で3冊あるらしいのです。

加えて、「ロボット物語」という本もあるのです。

結局、SF○○○のナンバーリングでは

①宇宙創生紀ロボットの旅SF203
②ソラリスの陽のもとでSF237
③宇宙からの帰還SF244
④砂漠の惑星SF273
⑤捜査SF306
⑥泰平ヨンの航星日記SF376
⑦金星応答なしSF417
⑧泰平ヨンの回想記SF456
⑨ロボット物語SF467
⑩泰平ヨンの現場検証SF532
⑪エデンSF745

のようになるはずなのです。

SFマガジン2004年1月号のスタニスワフ・レム特集にカヴァーは載っているのですが、

当然、帯までは写っていないので、どうしろと?

11冊(既存)+3冊(⑨⑩⑪)=計14冊存在するのでは?と思っていたら、

よーく考えると、昔のハヤカワSF文庫は著者別のナンバーリングがなかったので、

新しくカヴァに数字を打つ際には、その時、絶版のものは無視していたのでは

ないかという気がしてきた。

つまり、再版がかかり、新しいカヴァをつける際に、

新しい著者別のナンバリングを付けていったのではないかという疑いです。

手元にある金星応答なしや、宇宙創生紀ロボットの旅のカヴァー裏の既刊を見ると、

SF○○○の順番にしっかり並んでいるので、問題ありません。

ということは、現在判明している

①ソラリスの陽のもとで
②宇宙創生紀ロボットの旅
③宇宙からの帰還




⑧砂漠の惑星(新装版)
⑨⑩宇宙飛行士ピルクス物語 上・下
⑪泰平ヨンの航星日記〔改訳版〕

というのもあながち間違いではないのかも。

私の微かな記憶にある90年代終わり頃に復刊された「捜査」と

「泰平ヨンの回想記」「泰平ヨンの航星日記」「ロボット物語」の3冊は2000年に

復刊されてたらしいので不明な4という数は合うのですが、

う~ん、これ以上は手元にないので、わかりません。

こういったカヴァーが違うバージョンに固執してしまうあたりは、

すでに末期症状な気がして来ました…。

いつカヴァーが変わったかなんて、気にするぐらいなら、

早く読め!!と思うのですが、それとこれとは別の話なので…。


2012/12/29追記
①ソラリスの陽のもとで
②宇宙創生紀ロボットの旅
③宇宙からの帰還

⑤捜査

⑦エデン
⑧砂漠の惑星(新装版)
⑨⑩宇宙飛行士ピルクス物語 上・下
⑪泰平ヨンの航星日記〔改訳版〕

というところまで判明。
こっから先は手がかりすらなし…とほほ。


アンブロークンアロー、読了

2009-07-25 | 読書【SF】

さて久々のSFである神林長平「アンブロークンアロー」(早川書房)を読了。

前作「グッドラック」(早川書房)からいったい何年経ったのかも不明な、

数年前からSFマガジンに連載されていた、戦闘妖精・雪風シリーズ第3作。

そう言えば、その間にアニメ・マンガ化されていたようですが(私は完全無視)

デビュー30周年記念作品第一弾だそうな。








<感想>


前作「グッドラック」のクライマックスの続きではなく、手紙からスタートです。

前半は、捏ね繰り回し過ぎてかなり小説的に読むのがツライです。

あとここがポイントではあるのですが、零が出てこない。

中盤以降は前半の捏ね繰り回しや読むのがツライ理由が判明するあたりから

本作で何がイイたいのか漸く見えてきます。

(つまり、必ず2度は読まないと分からないよということです。)

(余裕がある人は「フムン」の数を数えてみましょう。)

ただ最後は、タイトル通りから予想されるようなクライマックスに着地する。




このシリーズ、そもそも敵である「ジャム」の存在が何であるかを

作者が物語の中で登場人物といっしょになって考えているという、内部構造なので、

あと何十年かかっても終わるような話ではないのです。



ああ、でも、30年で3作なんて、いくらなんでもあんまりだ。






ダブル・ルーツ

2009-02-25 | 読書【SF】

斎藤文一「アインシュタインと銀河鉄道の夜」(新潮選書)を読む。

アインシュタインに関しては諸作あり、

例えば、矢野健太郎「アインシュタイン伝」(新潮文庫)などがあります。

(少し前に生誕100年で復刊されたました。)

といっても、この本は同時代に生きていた宮沢賢治との関連を説いた本であって、

その辺が読むべきところであるようなのです。


アインシュタインの件では、かの天才“ニュートン”に通ずる部分が

やっぱりあるんだなと再確認しました。

(もちろんその仕事のみではなく、成功後の人生という意味でも)

宮沢賢治は、童話作家や「銀河鉄道の夜」のイメージが大きくなり過ぎていて

地質学者や教師としての側面をどうも忘れていました。

後付けの印象の方が大きくなり過ぎて、本来の姿を失ってしまうものだと、

改めて感じました。

それは、自分の根底に流れるものに“宮沢賢治”が深い潮流としてあることに

気付いたともいえます。

無意識的ないろんな選択に関与していた、

と今更ながら気付くわけです。

例えば、“理科”への架け橋であり、【SF】への入り口であったということです。

もちろん、すべてそれだけではないのですが、

誰かに聞かれたときには、ひとつの答えにはなるかもしれない、と思ったわけです。

だからこそ、詩集「春と修羅」は、この今読むべきかなと思っています。



人生が選択の連続で成り立っているとしたら、

正しいのか間違っているのかを、いつどこで誰がどうやって決めるのだろうか?

そもそも言葉や概念を越えた存在を想像することは

できるのであろうか、と。

アインシュタインの発想法そのものにある種の共感を覚えるとともに

“そのこと”を考え続けようと持続するにはどれだけのエネルギーが必要なのか、と。

深く深く2つのルーツを考える、誕生月なのです。




火星ダーク・バラード、読了

2009-01-31 | 読書【SF】

上田早夕里「火星ダーク・バラード」(ハルキ文庫)を一気読み。

久々に土曜の午後を使って読みました500p。

直前に読んだ「ゼウスの檻」(角川春樹事務所)がこのお話の延長線上にある話なので、

火星の設定には何の違和感もなく、するするストーリーに吸い込まれて、

ぐいぐいページをめくりました。

おっさんと女の子のハード・ボイルドというので

梶尾真治の「サラマンダー殲滅」のような感じかな、と思って読んでいたのですが、

まあそんな感じで間違いなしでした。

ただ、主人公やヒロインの境遇、刑事モノということで

どうしても映画「ブレードランナー」…が最初から最後まで頭から離れず。

ある意味まんまなので、イメージは得易かったのではないでしょうか。

ただオチ(終着点)は何だか納得がいくようないかないような。

この辺は、単行本と読み比べる必要があります。



さて、お次は本棚の未読本から(何せ去年200冊以上買ってしまったので…)か

サイモン・シンの著作3冊のどれかにするか。

明日、本屋に行ってから決めます。

--------------------------------------------------------------------------
追記(09/02/07)
図書館で単行本版をペラペラとめくって読みました。
こっちは主人公の年齢が30歳であること。
(文庫版を読み終えた後なので)
その設定自体が中途半端な感じがします。
文庫化による大幅な改稿によって、
年齢を引き上げた分、終着点がより明確になり、
読後感がシャープになったような気がします。
(2人の関係が現実的であるとかそういうことは全く抜きにして)
そのエンドが良いかどうかは読者まかせではあります…。





その宇宙に眠れ

2009-01-25 | 読書【SF】


とりあえず新刊情報メモ。

来月、穂村弘「現実入門」(光文社文庫)
   米澤穂信「秋期限定~ 上」(創元推理文庫)

来月以降 
   魯迅「阿Q正伝ほか」(光文社古典新訳文庫)
   米澤穂信「秋期限定~ 下」(創元推理文庫)
   

今月の光文社文庫の新刊、上田早夕里「魚舟・獣舟」をようやくゲット。

本屋を4つほど梯子したのですが、

どうも光文社文庫は初版部数がタイトルによって桁で違うのか、全く見当たらず。

久々に新刊の帯に“SF”の文字を見ただけに、複雑な心境。

収録作の元である異形コレクションは、その“SF”のカテゴリーなんでしょうか?

「進化論」や「ロボットの夜」あたりはそんなタイトルのような気も…。


さて読書はその前の前の「ゼウスの檻」(角川春樹事務所)ですでに苦戦中。

書きたいことは分かるのですが、話のテンポが遅くて…。

と思ったら100p以降、話が動き出し、後半は一気読みでした。

(ただ、オチは何だかな。“ラウンド”という設定そのものが…う~ん。)

その後は、「火星ダーク・バラード」(ハルキ文庫)の予定ですが、

単行本を先に借りて来た方がよさそうです。





機械神アスラ、読了

2008-05-11 | 読書【SF】

大原まり子「機械神アスラ」(早川書房)を一気に読了。

最初結構きびしいかなと思ったのですが、序盤過ぎから一気でした。
中身に関しての感想はいつか書ければいいかなと思います。
うしろの解説が中々、的を得ていると思います。

しかし、未来史シリーズを解説しているサイトは、全く見つかりませんネ。
(単行本未収録作品とかはありますが)各作品を網羅した解説ですらあまりないです。
著者の公式ページも1990年以前は(完全に黒歴史と化しているのか)ないですし。
う~ん、まあ、時間があれば少し整理していきたいと思います。




新緑、新しい力、ブルー

2008-04-29 | 読書【SF】

クリストファー・プリースト「限りなき夏」(国書刊行会)
4月末が5月末発売になっている。
延期に継ぐ延期。
本当に出るのでしょうか、疑問です。

テッド・チャン「あなたの人生の物語」(ハヤカワSF文庫)。
前半4編読み終わりました。
なかなかおもしろいです。
観念の崩壊というかむしろ“変容”を見ているような気がします。
話のネタそのものは多少、ムズカシイ気もします。
ただ、語りのうまさがあり、スイスイ読めます。
私的にはコニー・ウィリス以来、抵抗なく読めるSF作家かも。




青空の価値、雲頂高度

2008-04-20 | 読書【SF】

土日は忙しくて、今週の授業の準備が全くできなかった。
GW過ぎるまでは、ゴタゴタしてるから仕方ないのですが、う~ん。

さて読書は、中島京子「冠・婚・葬・祭」(筑摩書房)と
池澤夏樹「きみのためのバラ」(新潮社)を取りあえず読了。

後者は8作入りの短編集。
可も不可もなく、おもしろいもおもしろくないもなく、感想はなし。
海外が好き、外国が好き、南国が好きで、池澤夏樹が好きなら読むべし。
そうでない人は…。

どちらかというと、小説より評論文のような
池澤夏樹「母なる自然のおっぱい」(新潮文庫)の方がおもしろい。

(人間圏を含めての生物圏と地球圏ってこと何だろうけど)

自然と人間に関するもので、国語の教科書にでも載ってそうなのが多い。
幾分説教くさくもないですが、この手の話題を客観的に見るという視点は、
如何にムズカシくビミョーであるかを感じる一冊である。
大学時代に読んでいたら、たぶんある種の啓発を受けていたかもしれないけど、
今更遅いです、たぶん。

読むものが無くて図書館で手に取った
テッド・チャン「あなたの人生の物語」(ハヤカワSF文庫)。

イーガンすら全く読んでいないのに、大丈夫かなと思いつつ、
【90年代SF】なんてあってないようなもんだからと
今更ながら借りて来ました。
絶対に万人に受けることはない、ということを念頭に置きつつ
SFのジャンル崩壊を感じてやまない今日この頃。
想像による創造。
果たして世界はいかにして誰に微笑むのか。



空に雲が架かる高度。
そこから見える青空は、昼の世界に咲く青いバラのよう。
その価値は、万人に等しく与えられるだろう。
見えない風とともに。