旅館

ワタシは茨城で旅館業をしている。

金曜日の夜、東京での仕事を終えて帰宅すると、さる貴族の方が、友人を伴って現れた。
nnn男爵である。同伴はトモだ。

前日には、「たぶん行きませんよ」などと言っていたのに、どうしたのか？
「ボクは15ポンです！」
部屋に入ってくるなり、平日釣行の釣果を自慢し始めた。

チッ、自慢に来たのか。ヒサシとソックリな言動だ。
ヒサシは、男爵のワームテクをコピーしているが、男爵はヒサシの腹黒パターンを極めてきているようだ。ヒサシよりも数釣る分だけ始末が悪い。

「さてと…」
男爵が立ち上がり、勝手にシャワーを浴び始めた。トモが目を丸くしている。
シャワーから出てくると、これまた勝手に冷蔵庫を開けている。爵位を鼻にかけ、やりたい放題だ。

本当は、ワタシは旅館など経営していない。
勝手に部屋を旅館扱いにされているだけなのだ。
大学時代の溜り場になってた部屋を思い出すな。