パンダ イン・マイ・ライフ

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すぐれもの 26 電子辞書 1/2 なぜ今電子辞書か?

2021-01-01 | すぐれもの
還暦も過ぎて、今更電子辞書かよ。とおもわれるかもしれない。実は、我々の学生時代は、電子辞書なるものは存在しなかった。つまり、英語、古語などの辞典をカバンに詰め、通っていたのだ。厚いカバンがいやで、持ってこなかった同級生もいたが…。そういえば、彼は高校の校長で定年退職したなあ。

正岡子規にはまり、俳句を鑑賞し始めた。俳句は、奈良・平安の頃からの短歌を源流に、上の五・七・五が独立したものだ。室町の五・七・五と七・七を交互に読む連歌の発句としての五・七・五。そして、1600年代江戸時代の前期の松尾芭蕉、1700年代中期の与謝蕪村の俳諧。そして、「俳句」としての名称を提案した明治の正岡子規だ。

つまり、文語(今は口語)で読まれているのだ。そして、書き方も、現代仮名遣いではなく、歴史的仮名遣い(旧仮名)なのだ。だから、読みづらい。

俳句に見せられた子規の「柿くへば鐘がなるなり法隆寺」という句がある。岩波文庫の子規句集では、明治28年、28歳の時に、「法隆寺の茶店に憩ひて」とある。

たとえば、この「へ」だ。現代仮名遣いでは、「くえば」だ。国語辞典で引くと、「く・う 食う クフ 他五」とある。この辞書では、旧仮名遣いはカタカナで表現するので、「食う」は旧仮名遣いでは「食ふ」となる。今度は、古語辞典の出番だ。引くと「く・ふ(食ふ)クフ(は・ふ・ふ・へ・へ)他ハ四」とある。「他」は他動詞、「四」は4段活用のことと書いてある。

この「へ」の次の「ば」は、助詞の接続助詞だ。佐藤郁良の「俳句のための文語文法入門」では、「・・・ならば」という仮定を表すなら動詞の未然形に接続し、「・・・したところ」というすでに起こったことを表すなら動詞の已然形に接続するというのだ。

動詞や形容詞などは品詞といい10種類ある。その中で活用(変化する)するのは、動詞・形容詞。形容動詞・助動詞の4つ。これを活用語という。
その変化の種類は6つある。未然・連用・終止・連体・已然(口語は仮定)・命令だ。これを6つの活用形という。この「柿くへば」はどうなのだろう。

接続助詞の「ば」の前は、「へ」だ。古語辞典では、「へ」は、(は・ふ・ふ・へ・へ)」だから、5番目か6番目の已然か命令だ。助詞の「ば」は、未然か已然接続なので、「へ」は仮定ではなく、すでに起きたことを意味することになる。仮定なら、「柿くはば」になるのだ。これは決まりなので、どうしようもない。
子規の句は、柿を食べたというシチュエーションなのだ。

そんなことを考えながら子規の俳句を鑑賞すると、文語のこと、旧仮名遣いのことなど、国語と古語の辞書がないと、理解ができない。ましてや、読めない漢字がいくつも出てくる。そうなると漢和辞典の出番だ。つまり、俳句を鑑賞するには、国語、古語、漢和の3冊の辞典がいることになる。これが重たいのだ。

そこで電子辞書なるものを調べてみた。

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