フィリッピンのミンダナオ島で栽培されているバナナに関する記事を先々週の新聞で読んだ。日本に輸出されるバナナは年間で約20万トンだそうだ。そして、その10%の2万トンものバナナが廃棄されている。理由は皮にほんの少しの傷があったり、他のバナナより大きかったりとのごく些細なことに依る。勿体ないにも程がある。日本に輸出する業者か輸入する側の業者の要求なのかは知らぬが、大切にバナナを育ててきた人たちにとってはたまらぬことであろう。そのようなバナナは捨てずに日本に送り、安く販売すればいい。そのように考えないのなら馬鹿としか云いようがない。
マダガスカルでモンキーバナナを初めて食べた。一番太くて大きいものでも大人の親指ほどだ。皮は濃いオレンジ色だが、剥いてみると通常のバナナの色と変らない。だが、種類によっては皮も実も薄いオレンジ色のものもある。どちらも実に美味しい。通常のバナナと比べて味が濃厚である。私は果物を大好きだが、バナナはそれほど好きではない。だが、モンキーバナナなら毎日大量に食べても飽きることはなかった。
私が定宿にしている、フランス人が経営しているコルベール・ホテルの心優しいハウス・メイドが、ある朝私が朝食に部屋から出てこないのを心配して部屋まで様子を見に来てくれたことがあった。連日の炎天下での重労働のせいで体調を崩して起き上がれなかったのだ。マダガスカル人にとっては何ともない仕事だったが、私にはきつかった。積んであるパリサンダーのフリッチをフォークリフトで崩し、マダガスカル人の従業員が一本一本寸法を計って私に伝える。私はそのフリッチが曲がっていないか、木目がきれいかを確認してログ・リストに寸法を書き入れる。私の作業はこれだけだったが、炎天下で立ったり座ったりを繰り返すことは大変な重労働だった。
彼女は厨房からモンキーバナナと大ぶりなコップにマンゴの実を細かく刻んだものを牛乳に混ぜて持ってきてくれた。私が牛乳を嫌いなことを知っている彼女の心遣いだった。モンキーバナナを食べ、マンゴの香りで匂いが消された牛乳を一気に飲んだ。次に目が覚めたとき、体内の疲れは消えていた。そして、そのハウス・メイドは私が目覚めるまでそばについていてくれた。私が元気になったことを確認すると、私の取引先の会社に電話をし、迎えに来るように伝えてくれた。私はシャワーを浴び、今日一日の重労働に備えた。
以下は神代植物公園の写真であるが、前回に行ったときからたった一週間しか経っていないが、モミジの赤は広がり、イチョウはより一層黄色が鮮やかになっていた。それに加え、メタセコイアがいい色で私を迎えてくれた。