マヨの本音

日本の古代史から現代まで、歴史を学びながら現代を読み解く。起こった出来事は偶然なのか、それとも仕組まれたものなのか?

今日もだらだらと・・・・

2011年12月18日 08時41分52秒 | ひとりごと
さすが年末、コメントも訪問者も減少気味である。もっとも、読者が寄ってくるような記事を書いていないところに原因があるのだが・・・・。
まずは近況報告です。 
ここのところコーヒーの焙煎機のメインテナンスに忙しかった。なにせ焙煎時の釜の温度はアイスの場合特に高く、最高250度に達する。だから焙煎機の内部、そして煙突の清掃を怠ると火事の危険性もあるのだ。
と言いながら、忙しさにかまけ十分な清掃が出来ていなかった。で、今回還暦記念焙煎と銘打って女房の不機嫌を承知で高級生豆を仕入れ、道楽焙煎をしようと決めたのだ。
で、この際、一週間かかって焙煎機の分解できる部分を全部取り外し、徹底的にクリーンアップすることとした。しかし、さすがに手入れが悪かっただけに大変だった。すすが高温のためカーボン化し、少々こすっただけでは何ともならない。最後は金槌とドライバーでたたき割る感じで落とし、温水に浸し、ステンレスのワイヤーたわしでこすり取ったのである。
もう手は傷だらけ、腱鞘炎はひどくなるわ・・・・もう大変でした。
その結果、昨日初めて特別焙煎のテストをしてみた。生豆の種類は、ひとつはイエメンモカ、もう一つはブラジルのイエローブルボンである。イエメンの方はスぺシャリーティーコーヒーに分類される高級品種である。
ブラジルはいつもより小粒だが、手慣れている品種なのでなんの心配もいらない。問題はモカだった。非常に小粒なだけに焙煎は難しい。と言うのは、小粒の場合いわゆるはじける音が小さいのだ。今回のモカはなるべく深煎り直前、やや浅煎りぐらいにしたいと思った。温度で言うなら通常220度まで煎るのだが、今回は210度を上限にふたはぜ目の音が聞こえたら落とそうと決めていた。しかし、少量の焙煎量だったせいもあり、最後までふたはぜが確認できなかった(還暦ともなると耳が悪くなるのである。)。結果、205度でガスを切り、207度で排出してみた。
結果はすごかった。なにが?
むらむらなのだ。極端な話、十分の一は捨てなければならないと思うほどのひどさである。思わず私は先生に電話し(朝の7時だったが・・・)、すぐに来てほしいと伝えた。
9時にやってきた師匠はさっそく煎りたての豆でコーヒーを淹れてくれた。
「うーん、香りはさすがですね。焙煎度合いもマヨちゃんらしく、浅煎り以上、深煎り未満と言えます。味は・・・・・うーん、十分でしょう。モカはこんなものですよ、でもマヨちゃんには向いてませんね。高いだけで、こんな豆を買うのは日本ぐらいでしょう。ヨーロッパなんかほとんどエスプレッソにしてしまうから、高級生豆など意味ないですよ。」
・・・・・・と言うことで、極端な豆はピッキングしたが、あとはおおらかに考えることにした。
2011年の締めに焙煎機の清掃が出来、気分は最高。

さて、12月に入り気象操作が終わったのか急に寒くなった。おかげでうどん屋は大忙し。ほとんどの客がカレーうどんを注文するので、朝の仕込みも最大級である。使う食材もすごい。おまけに最近始めたカツカレーも好評で、食材問屋の僕ちゃんも大喜び。このまま年末まで頑張れば、今期は黒字が見込めるぞ、うっしっし。

名古屋の市民税減税は率を5%に落とし、河村さんが「これを認めないなら議会も覚悟をしろよ…」とは言わないが、心中はたぶん相当な覚悟をしていたと思う。議会側もさすがに「いくらなんでもこれ以上民意を踏みにじるのはまずい・・・・」と考えたのだろう、雪崩を打つように賛成に回るようである。率は下がったものの、行革の成果を市民に還元するという偉業をここに達成する。これで全国的に市民税の割引合戦が始まると、結構面白いのではないか。とにかく、減税をするというのがこれほど抵抗されるものだとは思いもよらなかった。とりあえず、かわむらさんおめでとう、そして御苦労さまと言っておこう。
まあ、私の場合、減税の恩恵はほとんどないけどね、金持ちは結構大きいんじゃないかな、その分消費してください。そして名古屋が元気にならねば、減税の意味はないのである。それにしても名古屋市議、腐ってる。特に公明党よ、一律減税に反対なら最後まで反対しろよ。整合性をとれよ。

だらだら書いてきたが、今は秀吉関連の資料調べと妄想に忙しく、記事にまで手が回らないのだ。一つは天皇のこと。後陽成、後水尾の関係かな?つまり、いまいちスムーズじゃないんだな・・・・これが。 もう一つは日蓮宗、本願寺、天台宗などの宗教に係わること。要は、秀吉の時代、すべてに関し転換期だったことは間違いなく、延暦寺が焼き討ちにあい、本願寺が急速に勢力を伸ばすことになる。さらに東西に分断されていく。これは偶然なのか?
そして権力構造が変わり、北条から足利、そして徳川の世に至る準備期間となるのである。ここで皇室は徳川に従うことになるのか、実は主導権は皇室にあるのかがそれぞれの歴史観によって変わるのである。
そして、太閤検地、刀狩などなど、秀吉時代は過去に例がないほどの画期的な政策が打ち建てられた。さらには秀吉は大阪城に大量の金を備蓄し、金本位制を考えていたとする。彼はジンギスカンなのである。

今日はこのぐらいで・・・

休日の徒然になるままかな?

2011年12月11日 07時30分54秒 | ひとりごと
毎日の新聞ではヨーロッパの金融危機と英国の孤立化などが盛んに報道されている。また。それにもましてイラン情勢がなにやら怪しげな方向へ進みつつある。過去の歴史から学ぼうとするなら、当然ご破算に願いましては・・・・の唯一の解決策が戦争であることは明らかで、英国とイランの小さな小競り合いをきっかけに、大規模な戦争に発展する可能性は徐々に現実の問題になりつつある。いつでもそうなのだが、ほとんどのきっかけはやらせが主体であり、西側の常套手段である(イランの英国大使館への乱入など、まさに自作自演以外考えられないではないか。)そして戦争への機運を煽り、火に油を注ぐのが報道の役割である。まあ、我々ぐらいは常に冷静に眺めて行く必要があろう。

いずれにしてもアラブの春と呼ばれるものがまったくの欺瞞であり、数年のうちに民主化とはこんなものだったのかとの落胆に変わるだろう。当然のことながら、日本でおきた政権交代が何の意味もなかったと我々が気づいたのと同様である。

私は毎日新聞を見ながら思うのは鳩山首相が退陣し、菅政権が誕生したのが日本の終わりだったということで、影の総理、小沢氏の思想があまりにも官僚国家日本にとって過激だったというよりも、むしろ国民に知らしめたかったのは「国家は国民の物ではないこと」をこの際はっきりさせようとしたことだった。日本国家のオーナーは今でも天皇の物であり、国民は公民という名の国有財産である。これは天智天皇が日本を征服した時に決まったことで、表面上はともかくとして常にそうだったのだ。
日本に限らず、世界的な傾向として格差のさらなる拡大、そして貧困層の増加が進んでいる。これも戦争への可能性が高まりつつある一つの指標である。食うに困った若者が、とにかく食べれることを理由に軍隊に進むことを誰が批判できよう。もはや、世界的な公共事業として破れかぶれの戦争を望むのは必ずしも軍需産業だけではないのだ。

吉野家やすき屋、そして松屋などの低価格フーズの中心価格帯が今や200円台に下がってきた。そしてビジネス街の街角で立ち売りしている弁当の主流は280円である。私は飲食業を営んでいるから分かるが、10年前の最低価格と思っていた物はもはや時代遅れで、貧者のジャンクフーズがビジネスマンの主食になってきたのである。それだけみんなの財布が軽くなってきたということだ。しかし、しかしである。日本の貧者は年間所得200万円であり、今の円高を考慮するなら、日本の貧困は序の口である。国家の運営を任されている大和朝廷の官僚たちにとって「まだまだ日本は国民に優しい」のであり、さらなる国民からの収奪が画策されるのである。
今朝の報道で、車の重量税・取得税等を軽減するなどと言う方針が出された。安くなれば何でもいいというわけではない。何かを安くすれば、どこかでその穴埋めが必要になることは当たり前で、車を買った人と車を売った人だけが潤い、その他の大勢の人に負担が転嫁されるのであれば、最初からやらないほうがいいではないか。それよりかはガソリンにかかっている暫定税率はどうなったのかとお聞きしたい。
民主党は野党のころはまともな政党であったが、与党になったら自民党と同じである。もっとも、自民党は野党になってもいまだに与党時代と同じで、どうして今野党になっているのかまったく自覚がないのは同情を禁じ得ない。

震災の傷跡が癒えぬままこの2011年という忌まわしい年が終わろうとしている。雅子さんは48歳を迎えた。そうなのだ、私と同じウサギ年だったんだ・・。
ここへきて、秋篠宮が「公務の定年制は・・・」とか、ハゲが「女性の宮家の創設を」とか、色々騒がしいことだ。
こんなことなら側室を置けばよかったと悔いる人が多いと思うが、なに心配はいらない。日本の皇室は表以外にいくらでもお種を保存させているから、軽々しく動くものではない。トヨタのカンバン方式のごとく、必要な時に必要なだけ手に入るようになっている。そんなことは国家の中枢の人は分かっているのだから、今、色々な雑音が入るのは別の意図があるからだろう。
一般論とお断りして、つまり、韓流ドラマ、特に李王朝を勉強してだが、世子(皇太子)と世妃(皇太子妃)は東宮にいて王宮と対立するのが常で、それはその取り巻きも同様である。したがって東宮の住人は「今に見ておれ、こちらが王宮に住むことになった暁には・・・」と思い、王宮の住人は「今のうちに芽を摘んでおかないと後が怖い・・・」と考えるのである。いじめが激しければ激しいほどその怨念は増すのである。デビさんが騒ぎ、「廃妃」を言うのも「その時」が怖いからである。
雅子さんが皇后になったら、自分を貶める記事を書いた報道陣、そして廃妃を画策した者どもをどう扱うか・・・・考えただけで私は恐ろしいのでごじゃいますぞ。

韓流的に読み解くなら、次の皇太子が即位すると、皇太子は秋篠宮となり、世孫は血筋的には愛子様で、男系に限るなら悠仁様なのかな・・・、われわれ庶民には関係ない話だが、韓流ドラマと考えるなら実に見ごたえのある舞台背景なのである。韓流ドラマではなくウキウキドキドキの日本国の大河ドラマであるぞ。
え?韓流のどれを見ればいいのかって?そうだな・・・、「女人天下」か「王と妃」あたりが一番参考になるのかな・・・・。でも、長いぞ・・・。






還暦です。

2011年12月07日 18時41分47秒 | ひとりごと
わたくし事で恐縮なのですが、本日マヨちゃんは無事に還暦を迎えました。いえいえ、格別めでたいわけではないのでお祝いは結構でございますよ。
結局、目標としていた本の出版は出来ず、あこがれの年金生活は不可能で、相変わらず昨日までの生活の延長線で今日を迎えました・・・とほほ。
でも還暦は来年の今日まで有効だから、それまでに出版はともかくとして、なんとか小冊子でもいいから出来るよう頑張るつもりです。

さて、今日の名古屋市議会で河村市長の悲願である「一律恒久減税案」が否決された。公明党の意見を尊重し、10%を7%に減らし、さらに低所得者に考慮するという苦肉の策も効果なく、あっさりと否決。
「まあ、二三日待ってちょ。少し考えてみるで・・・」と河村市長はがっくりしていた。
私は声を大にして言いたい。「もういっぺん市議会のリコールしよまい。いいじゃんか、減税案が通るまで、何度でもリコールしよまい。こうなったらけんかだわ。」
やっぱし、前回の選挙で減税日本が過半数を取れなかったのが今回の否決につながった。数は力である。ほっておけば消費税の大幅増税が待っている。名古屋発減税旋風を起こさなければなるまい。そしてその流れを全国へ広めなければならない。

と、元気を出そうとしたらカフェのアイスマシーンが故障した。オープン時に導入したマシーンなので、16年間さしたる故障もなく頑張ってくれたのだが、もはや型が古く修理が出来ないとのこと。がっくり。
なんせ買えば百万円はするので、現状では買い替えはちょっと無理だな。
仕方がない。金がない人は知恵を出さなくっちゃ。何か良い方法を考えよう。なんとかなるさ。

超短編時代劇小説 「豊臣への秘密指令」の二回目

2011年12月04日 12時02分31秒 | 小説
先日韓流ドラマ「王と妃」を見終わり、しばらくは休憩しゆっくりしようと思っている。そして久しぶりにゆったりとくつろいでいたら何故か創作意欲がわいてきて、あっという間に短編小説が出来てしまった。かといってこれで完成ではなく、大きな小説の一部分としてである。
秀吉のエピソードを思いつくまま順不同で書きつけ、後につなぎ合わせてそこそこの小説になればいいと思っている。

小説「豊臣への秘密指令」の二回目「出あい」

秀吉、と言っても当時は日吉丸と名乗っていたが、その正体は草である。
出身は尾張の中村郷。今は名古屋市中村区である。いまでは人口密集地だが、当時はまだまだのどかな農村地帯であった。

小さいころ百姓のせがれとして生きていたころのこと、八と名乗る武者が野良仕事をしていた日吉丸に声をかける。

「日吉丸どの、実は大事な話がございます。」
「なんだや、おいらに用事かや?」
「私、八と申します。お見知り置きを・・・」
「ふん、八さんきゃ?」
「実はあなた様はこれから広い世界へ出かけていただくことになります。それが運命なのです。」
「運命?なんで・・・」
「今は百姓のせがれと言う立場ですが、本当は重要な役目を背負って行かれる大事なお方なのですぞ。」
「おいらがか?」
「ご両親には先ほど伝えてあります。今から私と旅に出ます。そのままで結構ですからさあ、行きましょうぞ」
「えーっ?そんなぁー、近所のミヨちゃんにお別れを告げなきゃー」
「そんな小さなことを気にしていては大事はなせませんぞ。道中においおい説明してゆきますが、私たちはこれから全国を巡ります。高いところからのご命令です。」
「高い所って?」
「今は言えません。ただ、この国を実際に支配している方からの指令であるとだけ。」

八は今でいうところのサンカである。全国にネットワークを持つその組織は職業別に分かれており、その性格も単純なものではなかった。ある時は職能組織として既得権を守るための労働組合のような動きをするし、穴太のように専門職として各地の大名から依頼され石組みの仕事を請け負う組織まである。八は主に船頭等を仕切る川仕事の手配師である。
馬引き、下駄の歯入れ、行商、竹かご売り、あらゆる仕事を経験し、夜には軍略、兵法、そして文字まであらゆる知識をたたきこまれる毎日だった。この経験が将来のためであることは言うまでもない。

日吉丸16歳である。故郷をあとにして8年の月日がながれていた。
「日吉さま、今日からは今川氏の城下で商売を始めていただきます。ここで私どもが段取りをしますので今川の殿様から信用を得られるように頑張ってください。」
日吉丸はすでに立派な若者である。浜松城下で酒屋の若旦那という触れ込みである。八は今川家のご用達を得られるようわいろを用意し、着々と計画を進めていた。
そんな時、、浜松城下に傀儡子の一団が通りかかる。日吉丸は物珍しさからその一団を見守っていた。その一団の中に一人の若者がいた。においとでもいうのだろうか、日吉丸はその若者に興味を覚えた。
傀儡子達は民衆の前で宣伝を始めるが、その若者はそこから少々距離を置いたところで一人で立っていた。
「おい、おまえ」日吉丸は小さな声で声をかける。
「なんでしょうか」、若者は落ち着いて答える。
「お前はこの一団の一員なのか?」
「いやー、私は小さいころこの芸人集団に預けられ全国を旅しているだけです。」
「名前は?」、「二郎三郎です。」
「出は?」、「新田庄世良田と聞かされましたが…」
「世良田から来たのか・・・」
「全国を旅し、当分はこの浜松に身を置く所存です。」
「なるほどな、私は日吉丸。尾張は中村の出よ。今川の様子を探り、その後は今急成長している織田家に仕えようとおもっている。おぬしも一緒に尾張へ行く気はないか?」
「織田ですか・・・、私は武田家か松平家に注目してますが…。」
「なるほどな、それもいいかも。なにかおぬしには自分に似た匂いを感じるのだ。将来、仮に出あうことが会ったら、うまくやりたいものよな。」
運命の出会いとはあるものだ。まさかこの出会いが因縁の豊臣対徳川の始まりであったとは・・・・。

それは両者ともすっかり忘れていたが、その後、小牧長久手の戦いの最中、秀吉も家康も同時にそれを思い出したのである。つまり、両者の戦闘は不思議なものだった。いわゆる同じ軍略で戦われるのだ。それはサンカ独特の戦略である。
これでは絶対に決着がつかない。
秀吉は感じた。この戦いはまるで自分と戦っている気がすると。あまりにも互角であり、先を読み合えば必ず相打ちになるのである。つまり、天才同士の戦いだからお互いが全滅するまで戦わざるを得なくなるのだ。
片方が和平を求めた時、二人は浜松で会ったあの時の若者であることを知った。そうとも、お互い似たもの同士で、お互いとも草だったのだ。うまく協力すれば良いではないかと…。

さて、話を戻そう。浜松で十分な成果を上げ、彼は今川家に酒を買ってもらう御用商人となっていた。十分な年月が経過し、日吉丸は十分に軍師としての知識と実力をすでに身につけている。八からは織田に出仕するよう指示された。日吉丸は考え込む。さて、どうやって織田家に仕えたものか・・・・。

名古屋の北区に蛇池公園という小さな公園がある。そこにあるのは有名な池なのだ。うつけと呼ばれる信長は小さいころここを遊び場所にしていた。家臣の子供たちを引き連れ池に石を投げたり、筏を浮かべてはしゃいでいた。
それを見ていた家臣は驚きおびえた。
「若様、おやめくだされ、この池には龍が住むといわれています。あまり遊びが過ぎますと龍が目を覚まし、大変なことが起きます。」
「オー、面白い。龍神ってか。見てやろうじゃないか。もし本当に龍がいたなら私はおとなしくしよう。しかし、仮にいなかったらどうするつもりだ?腹を切るか?」
若は本気だった。池の水をくみ出し、本当に龍がいるのか確かめようとした。多くの家臣が集められ、「さあ、くみ出せ!」との若の命令を受けたものの、誰もくみ出そうとはしない。何度かくみ出そうとしたものの、実は池の底は庄内川とつながっており、汲めどもくめども水が尽きることはないのである。
「誰か潜ってみる者はおらんのか?」
神様が住む池である。誰も名乗り出る者はいない。
「私めにお任せくださらんか?」
「うーん、おまえはだれか?」
「はい、日吉丸と申すただの百姓でございます。」
「ふん、おぬし、怖くないのか?」
「何をですか?」
「いや、龍がいるかもしれんのだぞ」
「若様はいないとおっしゃる。私は殿を信じます。」
「ふん、若いのになかなかしっかりしておるな。よい。お前が潜ってみろ。」
「はい、承知しました。仮にですね龍がいたらたぶん私は生きては帰れますまい。でも、殿がおっしゃるよう龍がいなかったら私を草履取りとしてでもお雇いいただけますか?」
「オー承知した。誰もやらんことをしようとするんだ。誰よりも大事にしてやるわ。」

日吉丸はふんどし一つになり、多くの家臣が見守る中池に飛び込んだ。
何度も何度も潜ったものの龍は現れなかった。そのうちに信長はしびれを切らし、「もういい。いないに決まっている。みんな、わかったであろう。迷信なんじゃ。もはや龍の存在を論議するでないぞ。」
「若、私へのお約束は?」
「おー、そうじゃったのー、約束じゃ。わしの草履取りでよかったかな?」
「はい。もちろんで。」

「しめしめ、うまく潜り込んだぞ。」日吉丸はまんまと信長に近づくことに成功した。草履取りとは言え、若の身近にいれば情報はすべて手に入る。八からはとりあえず信長に近づく者をチェックするようにとの指令である。
特に監視するべきはイエズス会と堺の商人である。

その中で一人、日吉丸にとって非常に気になる存在が利休であった。というのも、茶人として有名になるはるか前から利休は清州に出入りしていたのだ。それは草履取りである日吉丸だからこそ知りえた情報である。なにより利休には共通するに匂いがあったのだ。つまり、彼の正体は秀吉、家康と同様のサンカだというのがわかったからである。将来日吉丸と敵になるのか味方になるのか、その時点では判断がつきかねるのであった。

なにはともあれ、日吉丸が大きくデビューするのは例の一夜城、墨俣城を築く時である。

つづく




超短編小説 「豊臣への秘密指令」

2011年12月03日 21時12分27秒 | 小説
還暦を前に、少々あせっている。つまりそれまでにいくつかの超短編小説を仕上げておきたいのだ。その中でどうしても書きたいのは秀吉である。

今回は一時間で書き上げた「豊臣への秘密指令」を発表する。これは秀吉に関しどうしても書き残さなければならないいくつかの内の一つです。分かる人にしかわからない歴史です。

小説 「豊臣への秘密指令」


「殿、お上から宮中へ参るよう連絡がきておりますが・・・」
「ん?お上からか?」
秀吉は天皇からの命に怪訝な顔をした。
「何の用事かな?」
急ぎ身支度をし、急ぎ宮中へ向かった。

「はは、秀吉まかりこしましたが・・・」
「ん、ちこうよれ、苦しゅうないぞ」
「ははっ」
柄にもなく秀吉は緊張していた。
「先般おぬしから要望の出ていた豊臣の姓の件、関白となった以上、それに見合った身分が必要であろう。今日からは豊臣を名乗るがよい。当然じゃ。おぬしは私の奉公衆として良く働いてくれたが、自分のお種の秘密を知らんじゃろ。蜂須賀には教えてあったが、じつはフン族の末裔なのじゃよ。」
「え?なんと・・・。フン族ですと?」
「日吉丸の名前の意味を考えたことがあるか?日本の吉、すなわち魏じゃよ。日本の天皇家と北魏という国とは大いに関わりがあっての、おぬしは北魏王家、鮮卑拓跋族の血統をひいているのよ。つまり、フン族の臣、豊臣の姓はまさにまんまなのじゃよ。」
「え?では私は北魏?」
「まあ、長い年月が過ぎ、知らない人は知らないだろうが、皇室のお庭番は常にお種の管理をしている。日吉丸という名前は皇室のデーターベースに登録されており、お種度は承知しておる。貴種として名古屋の豪農に預けられていたのじゃよ。」
「では、私も皇族の一員になるので?」
「いや、それは違う。ただ、私とご先祖様を共有するということだ。つまり、私はフン族を奉公衆として使っていたスキタイ王家の血をひいている、あくまでフン族とは主従関係なのだ。」
「では、共有する先祖様とは?」
「簡単な話だよ。おぬしは義経の血をひいている。彼はフン族の血を持つ常盤と天皇家の血を受け継いだ源氏の合作じゃ。したがってスキタイ本部さえ認めれば広大な大陸を支配する権利も持っているのじゃ。」
「では、私はジンギスカンみたいに大帝国を支配出来るので・・・」
「そうじゃぞ、もはや百姓の木下藤吉郎ではなく、天下の豊臣秀吉なのじゃ。で、今日ここへ呼んだ理由を言おう。心して聞くのじゃ。」
「へへ・・・・・」
「大陸からの、実はスキタイ本部からの情報じゃが、現在モンゴルを追放した明国は風前の灯になっている。モンゴル王家がちょっと内紛を起し油断しているすきに明の建国を許してしまったが、今遼東近辺では反撃の準備が整いつつある。女真族を中核とした大清が徐々に南下しつつあるのじゃ。ただ、問題は朝鮮半島で、あの小中華、李王朝がなにかと邪魔をしているのじゃな。」
「李王朝ですか・・・・」
「李王家は軟弱で、相変わらず元老と外戚に牛耳られていて明国の柵封体制を維持しようとしている。先日も王家の秘密の使者から朝廷をなんとかしてほしいと依頼が来ておる。そこでじゃ、秀吉、おぬしちょっと半島へ出兵してくれんか?なに、朝廷内もばらばらで、権力争いに明け暮れた軍部も大した力はないようじゃ。王家とは内々に話はつけておくから、要は朝廷の親明派を追放してくれればそれでよいのだ。」
「はて、我が日本軍で大丈夫でしょうか?」
「ははは・・、おぬしは日本軍の強さを知らぬのか、この戦国時代で切磋琢磨された兵隊は世界でも有数の強さなのだよ。しかも、朝鮮は最新の鉄砲の威力を侮っている。あっという間に占領できるはずじゃ。」
「そうですか、井の中の蛙と言いますが、我が軍はそれほど強いのですか?」
「ははは、なぜ皇室が足利幕府をつぶしたのか理由がわからんのか?」
「えっ?今なんと?」
「井の中にいてはわからんかもしれんが、世界は今大きく動いておる。強力な一神教のイエズス会がアジア諸国を席巻しつつあるのじゃ。足利は明国との貿易にうつつを抜かし、肝心の国防をおろそかにしておる。そうこうしているうちに国内の隠れ一神教徒はこっそりと鉄砲を手に入れているではないか。そこで私たちは足利をつぶすことにした。そして国内を甲子園の高校野球のように競わせることでイエズス会がおいそれと手を出せないようにしたんじゃぞ。それにしても信長は危険な男じゃったわ。下手をするなら皇室までつぶされるところじゃった。幸い秀吉と光秀がうまく立ち回って未然に防いでくれたからよかったが、本当に危ないとこじゃった。」
「では、光秀も手の内だったので・・・」
「あれは奉公衆じゃよ。今も生きておるぞ、おぬしは滅ぼしたと思っておるだろうが、今は仏僧として徳川に仕えておる。天海という名前でな。」
「はー、そうでしたか。私は指令のまま動いていた手前、細かなことは気づきませんでした。まことに恐れ入ります。」
「皇室には世界から情報が来ておるのじゃ。大きな流れには逆らえんて。明国は長くはもたん。今朝鮮に出兵し、その勢いで明まで攻めのぼり、女真の先を越すなら、おぬしが大モンゴル帝国を建国すれ権利がある。スキタイ本部にはそのように連絡しておく。」
「わかりました。私は命令のまま行動するのみでございます。李王朝を服従させ、あっという間に明国を平らげ、私はもう歳ですので明国は天皇に差し上げましょう。」

このような宮中での話があった後、秀吉は老体に鞭打ち、無謀とも思われる朝鮮出兵を決める。

秀吉が晩年正気ではなかったと書かれているが、大モンゴル帝国を滅ぼした明国と、モンゴルに降伏した属国高麗を滅ぼした李王朝はいずれにしてもフン族にとってはいずれ滅ぼさざるを得ない国だったのである。義経がジンギスカーンだった事を認めようとしない歴史学界が秀吉の朝鮮出兵を狂気とするのはまあ、当然であろう。

先日のNHKの大河ドラマ「江」?だっけ、やはり学会の望むとおり、秀吉は気がふれたかのごとく描かれていたが、なんとかの一つ覚えだろう。