今回の見せ場は何と言っても静御前による奉納の舞。
しかし義経への想いを託した詩、「しずやしず」
敵の真っ只中、たった一人で闘う静ちゃんが凛々しくも美しい一幕です。
今回の演出は久々に黛りんたろうさんなので、幻想的で美しい演出に期待しておりました。
そんな今週のあらすじはコチラ。
義経一行は、捕らえられた静ちゃんが鎌倉へ送還されるとの噂を聞きつけ、隙を突いての奪還計画を。
しかし母の磯の禅師は「娘の意思を無駄にして欲しくない」 ときっぱり。
娘を諦めるように説得。
仕方なく、それでも名残惜しい義経たちは山伏に身をやつして、鎌倉行きの籠を見守っていましたが、どうやら手薄な場所があるらしい、と算段をつけたその時。
にょっこりと乳母車……もとい手押し車(今で言うところの車椅子?)で現れた朱雀の翁。
神出鬼没ということにおいて、美輪明宏に負けてはいません。 (爆)
「輿の中は空」という意見に義経唖然。
自分を誘き出すための罠と知ったそんな折、余計とも言うべき出来事がっ。(苦笑)
やっぱり お約束通りに佐藤忠信さんご登場。
崖から転落し、山中を彷徨ったからなのかボロボロ状態だし、しかも傍目に見ても無謀とも言うべきお姿。
いかにも犬死の状態です。
なんか、佐藤兄弟って実直のあまり命を落とした典型に見えて仕方ありません。
故郷に帰ることも無く、兄弟揃って異郷の地で果てたんですね。
これも全ては義経ただ一人の為。という二人の思いに合掌。
さて、実は、すでに鎌倉入りになっていた静ちゃんは詮議に応じず一言も喋らないまんま。
ついには頼朝直々の詮議が。
そこで静ちゃん、ずっと抱いていた「何故、義経をこのような目に遭わせるのか」と疑問を頼朝にぶつけます。
思わずしんとなる一同。
口を開いた頼朝の、「弟故」という答えに悲哀を感じます。
兄弟故に、自分の目指す国造りを知って欲しかったし分って欲しかった。そしてその為に働いて欲しかったのは、頼朝だったに違いないからです。
でも、兄弟それぞれの目指す国造りはまったく違う方向を向いていたのなら、仕方の無いことなのかもしれません。
なんて哀しい兄弟の運命。
そんな静の様子にどこでどう悟ったのか、政子さん、「ご懐妊」ではないかと示唆。
そこで頼朝は政子に「もし、女だったらよし。男だったら………分っているな」
と、男子出産の折にはさっさと取り上げて処分しろ、とご命令。
そして運命の出産日。案の定、静ちゃんの産んだ子は男子だった為にあっけなく処分されてしまいます。
子供を取り上げられ、半狂乱になって政子に掴みかかる静ちゃん。
その後の表情も恐いです。
肝が据わっているというよりも、 目が据わっていますよ石原さん。
それなのに、今度は白拍子としての仕事が舞い込みます。
どうやら鶴岡八幡宮にて、都一の白拍子と噂の静の舞を是非にも見たいと御家人達が騒いでいるそうな。
しかも義経の思い人を一目この目で見てみたい、という野次馬根性丸出しのこの依頼。
800年前の日本人もいい加減、サプライズが大好きです。
たとえそれがどんな形だろうと、野次馬根性というか、お祭り騒ぎが大好きな民族です。
恐らく、今の小泉旋風(というか女性議員による刺客騒動)もそうだし、幕末、黒船が来て江戸の町が大フィーバーした時もそうだったろうし。
さて、一方。
愛する義経の子供を取り上げられ、自分の精神をぎりぎりにまで落とし込まれ、呆けた状態の静御前。
しかしこの依頼を受けることに。
しかもその際、舞の拍子を取る太鼓や笛の(京並みの)名手が果たして(田舎の)鎌倉で揃うのか、と挑戦状を叩きつけます。
政子、これに負けじと応じ、いよいよ本番。
鬼気迫る白拍子の舞いが始まります。
目が据わっているけど、
今日の石原ちゃんは綺麗だからいいや。(おい)
やっぱ、白拍子の衣装は配色的にも素敵です。
「吉野山を踏み分けて………」
と始まり、逃亡中の雪山にて別れた義経を慕う、恋の歌を歌い始める静。
その時義経一行は、今回始めての 義経の見せ所。(笑)
秋の深い、紅葉の舞う山中にて敵に囲まれ、応戦中。
静御前が秋の鎌倉で紅葉舞う中たった一人闘っている最中、義経もまた別の場所で、紅葉の舞う場所にて大勢の敵と戦っている、という二人の絆を表した演出。
真っ赤な色彩が花のように飛び交う美しい光景なのに、悲壮な決心と強い意志と、悲劇が見え隠れするという素晴らしい情景です。
いつぞやの、
金粉まみれのキンキラハレーション状態 よりはいいか。(おい)
さて、興味本位で静ちゃんの舞を見に来た鎌倉勢、詩の内容に唖然です。
ざわつく周囲を気にもせず、ひるまない静ちゃん。
堂々と頼朝の前で舞を終わります。
恐らく、静は激怒した頼朝に斬られるつもりだったのかもしれません。
恋に命を掛けた、まさにこれは頼朝への挑戦状。
しかも(頼朝の)祝いの席であるなら尚更。
鎌倉を恨むつもりでわざと義経の歌を歌い上げたに違いありません。
でも、その心意気に感動したのは政子。
命懸けで恋する者への想いを歌い上げた静ちゃんに、自分の頼朝への想いを見出したに違いないです。
他の御家人たちが静まり返る中、「見事じゃ!」と声を掛ける政子。
そして頼朝には、褒美を取らせ、京に帰すことを打診。
子供の命を奪ってしまった侘びも兼ねて、のようですが。
ちなみに、私、白拍子の歌やその独特な節を今回初めて知りました。
歌は状況応じて即興で作り、それに合わせ舞を舞うというのが白拍子だそうで。
つまり、白拍子とは、知識と教養がなければ勤まらないお仕事。
確かに白拍子は遊女の走りとは言われますが、単なる遊び女でなく、そういった教養がなければいけないという、当時の女性からしてみれば上流階級のお仕事だったんじゃないでしょうか。
平安時代でいうなら、清少納言や紫式部くらいの知能がなければ勤まらない職業なのかも。
即興で俳句や詩を作れない私はもうダメですね。
だから、静御前は相当頭がいい女性だったんだなあ、と思いますよ。
政子は政治的知略に長けているけど、教養では静が群を抜いていたと思います。
対照的でありながら、しかし惚れた男に命を掛けてとことん尽くす姿は、やはり同じ種類の女性だったのかも、と思う今週の大河ドラマ。
さて、来週は 歌舞伎ファン必見だ!!
「安宅の関」 でございます。
かの有名な弁慶の「勧進帳」ですよ~~~~~。
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