鈴蘭の詩と写真ブログ

~詩と写真に寄り添いながら~

今日読んだ詩一編

2019年04月14日 21時10分55秒 | 日本の詩

さくらの季節ももうすぐおわり

さくらに関する好きな詩人の詩一編

 

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さくらのはなびら   

 

      まど・みちお

 

えだを はなれて

ひとひら
 
さ く らの  はなびらが
じめんに  たどりついた
 
いま  おわったのだ
そして  はじまったのだ
 
ひとつの  ことが
さ く らに  とって
 
いや  ちきゅうに  とって
うちゅうに  とって
 
あたりまえすぎる
ひとつの  ことが
 
かけがえのない
ひとつの  ことが
 

今日読んだ詩一編

2019年01月14日 20時24分53秒 | 日本の詩

太陽と地球 

 

        まど・みちお


まだ 若かったころのこと
太陽は 気がつきました
わが子 地球について
ひとつだけ どうしても
知ることができないことが あるのを…

それは 地球の夜です
地球の夜に
どうぞ安らかな眠りがありますように
どうぞ幸せな夢があふれますように

祈りをこめて 太陽は
地球の そばに
月を つかわしました
地球の夜を 見まもらせるために
美しくやさしい 光をあたえて

今ではもう
若いとも いえませんが
太陽は 忘れたことがありません
地球の 寝顔が
どんなに 安らかであるかを
夜どおし 月に 聞くことを…

 

まど・みちお詩集

「せんねんまんねん」所収

 

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今日思い出した詩一編

2018年12月30日 19時36分04秒 | 日本の詩

仕事中、シヨンから誕生日おめでとうのメッセージが携帯に・・・

ありがとうの返信とともに思い出した詩一編

 

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きょうは いいひ   

 

          神沢 利子

 

 

おにわの チューリップ

ひとつ ふたつ みっつ よっつ

そろって さいた

きょうは いいひ

 

いつも まちがえる

ピアノの れんしゅう

すらすら ひけちゃった

きょうは いいひ

 

ゆうちゃんに もらった

けしごむと ぎんのすず

ポケットに はいってる

きょうは いいひ

 

うばぐるまの あかちゃん

わたしをみて わらったよ

スキップして かえろ

きょうは いいひ


今日読んだ詩一編

2018年11月24日 22時56分06秒 | 日本の詩

ききめ

 

     浅見桃花(埼玉・小4)

 

お父さんが私をおこしに来た

ふとんをはいで行ってしまった

私はふとんをかぶってまたねた

今度はお母さんが来た

いきなり 十・九・八・七・六

と言った 私はあと四でおきた

お母さんのほうがききめがある

 

川崎 洋編 にんげんぴかぴか所収

 

 


今日読んだ詩一編

2018年11月17日 23時22分28秒 | 日本の詩

好きな詩人の詩一編

いそがしくとも詩をそばに

 

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真昼の星

 

         吉野 弘 

 

ひかえめな 素朴な星は

真昼の空の 遥かな奥に

きらめいている

目立たぬように――。

 

はにかみがちな 綺麗な心が

ほのかな光を見せまいとして

明るい日向を

歩むように――。

 

かがやきを包もうとする星たちは

真昼の空の 遥かな奥に

きらめいている

ひそやかに 静かに――。


ひさしぶりに読んだ詩一編

2018年11月09日 21時09分20秒 | 日本の詩

雑草のうた 

 

          鶴岡 千代子

 

せっかく 花を さかせても
せっかく 葉っぱを ひろげても
ふりむいていく 人はない

それでも平気さ みんなして
むんむん草むら つくってく

どんなに のどが かわいても
どんなに ほこりを かぶっても
水など くれる 人はない

それでも平気さ 上むいて
のびたいほうだい のびていく

オオバコ ハコベ ヒメジョオン
ちゃんと 名前が ついてても
よびかけてくる 人はない

それでも平気さ いつだって
きらきらしながら 生きていく

 


今日読んだ詩2編

2018年07月10日 21時07分36秒 | 日本の詩

るすばん

 

あいちゃん(妹)とるすばん

「ピンポンもでんわも

でちゃだめ」

とお母さんに言われた

ピンポン一回・・・

電話五回・・・

出ないで

二人で

いっしょうけんめいがまんした

 

東川 慶(埼玉・小3)

 

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てすと

 

わたしは てすとで

60てんを

とったことがあります

おとうさんに みせたら

おとうさんは

おこりました

100てんを みせたら

こんどは

おにいちゃんを

おこりました

 

うえはら かよこ(新潟・小1)


今日読んだ詩2編

2018年07月08日 19時25分06秒 | 日本の詩

いくじ

 

おやすみのひ

ぱぱはいつもあそんでくれる

ままはいくじがたいへんって

いってたよ

ぱぱはこのはとあそんでばかりで

いいね

たまにはいくじでもしたら

 

宮部 香乃羽(千葉・年長)

 

『ことばのしっぽ』所収

 

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おとうちゃん

 

たんしんふにんのおとうちゃんの

ところにあそびにいった

れいぞうこのなかには

ビールしかなかった テレビは

ダンボールの上にのっかっていた

おとうちゃんのいえは

さびしかった

わたしと弟は平だい二小学校に

てんこうしてもいいとおもった

 

竹内 沙織(神奈川・小2)

 

『ことばのしっぽ』所収

 

 


昨日読んだお気に入りの詩2編

2018年07月06日 21時07分38秒 | 日本の詩

 

プリン

 

母は弟が生まれない時から

3こ入りのものを二つ買ってきた

姉と私でけんかにならないように

でも3人姉弟になってから

3こ入りのものは一つしか

買ってこなくなった

母の知恵おそるべし

 

大武 日文(山梨・小5)

 

『ことばのしっぽ』所収

 

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おとうさんの木

 

しごとからかえってくると

おとうさんは

わたしの木になってくれます。

わたしは おとうさんの木に

よじのぼります。

かたまでのぼると

おとうさんよりも

おかあさんよりも わたしが

一ばんたかいです。まもなく

イテッ イテッ 

まき子はおもいなあ といって

おとうさんの木は

おれてしまいます。そうすると

わたしのうちはゆうはんです。

 

山田まき子(群馬・小1)

 

『ことばのしっぽ』所収


【沖縄の願い】平和の詩 「生きる」慰霊の日 2018

2018年06月25日 03時06分08秒 | 日本の詩

今日出会った詩一編

 

【沖縄の願い】平和の詩 「生きる」慰霊の日 2018

 

生きる

浦添市立港川中学校3年 相良 倫子(さがら りんこ)


私は、生きている。

マントルの熱を伝える大地を踏みしめ、

心地よい湿気を孕(はら)んだ風を全身に受け、

草の匂いを鼻孔に感じ、

遠くから聞こえてくる潮騒に耳を傾けて。

 

私は今、生きている。

 

私の生きるこの島は、

何と美しい島だろう。

青く輝く海、

岩に打ち寄せしぶきを上げて光る波、

山羊の嘶(いなな)き、

小川のせせらぎ、

畑に続く小道、

萌え出づる山の緑、

優しい三線(さんしん)の響き、

照りつける太陽の光。

 

私はなんと美しい島に、

生まれ育ったのだろう。

 

ありったけの私の感覚器で、感受性で、

島を感じる。心がじわりと熱くなる。

 

私はこの瞬間を、生きている。

 

この瞬間の素晴らしさが

この瞬間の愛(いと)おしさが

今と言う安らぎとなり

私の中に広がりゆく。

 

たまらなく込み上げるこの気持ちを

どう表現しよう。

大切な今よ

かけがえのない今よ

 

私の生きる、この今よ。

 

七十三年前、

私の愛する島が、死の島と化したあの日。

小鳥のさえずりは、恐怖の悲鳴と変わった。

優しく響く三線は、爆撃の轟(とどろき)に消えた。

青く広がる大空は、鉄の雨に見えなくなった。

草の匂いは死臭で濁り、

光り輝いていた海の水面は、

戦艦で埋め尽くされた。

火炎放射器から吹き出す炎、幼子の泣き声、

燃えつくされた民家、火薬の匂い。

着弾に揺れる大地。血に染まった海。

魑魅魍魎(ちみもうりょう)の如く、姿を変えた人々。

阿鼻叫喚(あびきょうかん)の壮絶な戦の記憶。

 

みんな、生きていたのだ。

私と何も変わらない、

懸命に生きる命だったのだ。

彼らの人生を、それぞれの未来を。

疑うことなく、思い描いていたんだ。

家族がいて、仲間がいて、恋人がいた。

仕事があった。生きがいがあった。

日々の小さな幸せを喜んだ。手をとり合って生きてきた、私と同じ、人間だった。

それなのに。

壊されて、奪われた。

生きた時代が違う。ただ、それだけで。

無辜(むこ)の命を。あたり前に生きていた、あの日々を。

 

摩文仁(まぶに)の丘。眼下に広がる穏やかな海。

悲しくて、忘れることのできない、この島の全て。

私は手を強く握り、誓う。

奪われた命に想いを馳せて、

心から、誓う。

 

私が生きている限り、

こんなにもたくさんの命を犠牲にした戦争を、絶対に許さないことを。

もう二度と過去を未来にしないこと。

全ての人間が、国境を越え、人種を越え、

宗教を越え、あらゆる利害を越えて、平和である世界を目指すこと。

生きる事、命を大切にできることを、

誰からも侵されない世界を創ること。

平和を創造する努力を、厭(いと)わないことを。

 

あなたも、感じるだろう。

この島の美しさを。

あなたも、知っているだろう。

この島の悲しみを。

そして、あなたも、

 

私と同じこの瞬間(とき)を

一緒に生きているのだ。

 

今を一緒に、生きているのだ。

 

だから、きっとわかるはずなんだ。

戦争の無意味さを。本当の平和を。

頭じゃなくて、その心で。

戦力という愚かな力を持つことで、

得られる平和など、本当は無いことを。

平和とは、あたり前に生きること。

その命を精一杯輝かせて生きることだということを。

 

私は、今を生きている。

みんなと一緒に。

そして、これからも生きていく。

一日一日を大切に。

平和を想って。平和を祈って。

なぜなら、未来は、

この瞬間の延長線上にあるからだ。

つまり、未来は、今なんだ。

 

大好きな、私の島。

誇り高き、みんなの島。

そして、この島に生きる、すべての命。

私と共に今を生きる、私の友。私の家族。

 

これからも、共に生きてゆこう。

この青に囲まれた美しい故郷から。

真の平和を発進しよう。

一人一人が立ち上がって、

みんなで未来を歩んでいこう。

 

摩文仁の丘の風に吹かれ、

私の命が鳴っている。

過去と現在、未来の共鳴。

鎮魂歌よ届け。悲しみの過去に。

命よ響け。生きゆく未来に。

私は今を、生きていく。