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文学や史跡で登場するマチを旅しながら、折々、紹介することを心がけています。

日本的「中央銀行」、成立に言及 吉野俊彦著『日本銀行』.

2015年04月26日 06時33分42秒 | 書評


日本的「中央銀行」、成立に言及 吉野俊彦著『日本銀行』.
 のちに日銀理事を務めた著者が、調査局次長時代に執筆の岩波新書.
 『小説 日本銀行』という本もあるが、本邦の中央銀行を理解するうえでの啓発書として、古典的位置にもあるとようだ.
 初版は1963年.入行後、四半世紀の局面で公刊されている.

 五つの視点で示される.存在感、発足・制度、歴代総裁、機能と組織、改革の可能性.
 ポイントは、「国民のために貨幣価値をまもり、政権・官僚から中立生・独自性を取り戻して、西欧並みの中央銀行に」と、申したいのだと思う.

 後半からはこれからの読了ながら、「存在感」では「日本銀行は誰のための銀行か」と、説明する.
 日本の中央銀行.官立制にして官立性の高い点にある.
 英仏で民間銀行が中央銀行の機能を形成し、「銀行の銀行」「発見銀行」「金融政策を運営する銀行」を担当することになった.
 発生におけるおおきな相違点で在り、内閣と大蔵の影響下と監督下にありつづけてきた中央銀行の、ある意味、後進性を提起しているかに、読める.

 本書は、ながく日銀内部にあった著者の作である.その意味では、城山三郎著『小説 日本銀行』や.後年の作たる川北隆雄著『日本銀行』が外部者の<視点>で書かれたモノとは、趣が異なる.

 日銀の運営した金融政策については、<事後説明>的かも知れないが、発祥にいたる経過やデータの信ぴょう性という点では、<内部>ならではの<緻密>を、思うのである、が.(岩波書店 1963年).
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