凛太郎の徒然草

別に思い出だけに生きているわけじゃないですが

旅の所持品 2

2010年11月07日 | 旅のアングル
 前回の続き。
 昔、若い頃は自転車で旅行をした。体力のあった若い頃が懐かしい。
 以前にも書いたことがあるけれども、最初に自転車旅行を試みたときには、そりゃ大層な荷物を持っていた。着替えなどの通常の旅行に必要なものはもちろんのこと、テントまで積んでいた。それも、山用の三角テントである。これは重かった。
 なんせ、金ペグである。ペグって知らない人も多いだろう。 テントを地面に固定するための金具のこと。こんなのを何本も自転車に積んでいたら重くてしょうがない。そして支柱、ロープなど。まとめるとずしりとくる。
 さらには、コッフェルやバーナー。バーナーも、旧式のポンピングが必要なコンロである。だからガソリンも持っていた。こういうテントや器具は、親戚や知人の不用品をかき集めたものであり(新調するだけの金銭力が無かった)、みな相当に古い。古いものはたいてい、重い。
 これらを自転車にくくりつけ、えっちらおっちらと坂道を登る。若かったから出来たことだと思うが、大いに反省したことも事実。ムダな体力を消耗するだけだった。次からは止めよう。
 まずキャンプ道具を全て削った。ユースホステルなどの宿泊施設も併用するため、そんなに野営ばかりしているわけじゃない。僕は寝袋だけをキャリアにくくりつけた。屋根はどこにでもある。駅でもバス停でも公園でも寝られる。ポンピング式コンロなども放棄した。もう調理は止めた。前回の旅行だって、せいぜいお湯を沸かしてラーメン食べるくらいだったんだ。必要ない。適当に買い食いすればよかろう。食器はごく軽いシェラカップをひとつだけ。アーミーナイフなんてワイン買ってコルクを抜く時にしか使わなかったからこれもナシ。ワイン飲みたければコルク式ではないやつを買えばいい(結局、ワインはラッパ飲みしたのでシェラカップも必要なかった)。
 スリム化すれば、峠が楽になった。サイクリングの楽しさが増した。
 社会人になって、自転車だけで旅をすることが時間的に困難になり輪行(自転車を畳んで小荷物として列車その他に持ち込んで現地で組み立てて走ること)をやるようになり、チャリンコをランドナーからロードレーサーに替えた。さすれば、さらにスリム化した。もう野宿などはしないので、荷物は数日分の着替えと洗面具、雨合羽、カメラくらいで事足りるようになる。僕は全てそういうものを小さなデイパックに詰めて背負った。自転車には、サドルの後ろに輪行袋とタイヤチューブの替え数本、簡単な工具だけをぶら下げ、あとは水筒と空気入れをセットするだけ。日帰りツーリングふうの、自転車旅行とは思えない軽装になり、機動力が増した。坂道など屁の河童になった。

 そんなふうに、前回書いた汽車旅と同様に荷物を削ることばかりずっと考えていたのだが、自転車を引退し(原因はいろいろあるが太ったというのもある)、軟弱にも自家用車で旅行をするようになり、さらに所帯を持ってキャンプを中心とした旅行を始め、旅行の装備がガラリとかわった。
 まず、テントを新調。あんな旧式三角テントなど張るのに時間がかかってしょうがない。当然、ドーム型テント。10分で設営ができる。あとは断熱マットと寝袋。寒いと困るのでさらに毛布も。車だから何でも積める。さらに折り畳み椅子と簡易テーブル。
 昔は山用のコッフェルなどを持っていたが、あれはコンパクトだけれども使いにくいものである。なので、ヤカンと鍋とフライパンを持ち込んだ。食器も瀬戸物などはさすがに避けたが、最初はグラスを積んだ。ビールにはやっぱりタンブラー欲しいよね。
 さらに、七輪を持っていたときもある。キャンプと言えば焚き火が憧れだったのだが、なかなか焚き火可のキャンプ場が少なく、代替品として七輪を使おうと企んだのだ。
 もう何でも積めるので、ありとあらゆるものを積んだ。
 
 だが、そこに落とし穴があった。車で移動すると荷物は無制限に詰めるが、それを出し入れするのが大変なのである。
 僕らは、値が張るのでオートキャンプ場などは使わない。出来るだけ入場料の安いキャンプ場を探す(オートキャンプ場なんてビジネスホテル泊と同じくらいの料金をとられる場合もある)。さすれば、多くは駐車場とキャンプサイトが離れたところにある。
 なので、荷物をそこに運び込まねばならない。これは結構重労働なのだ。リアカーなどを貸してくれるところもあったが、多くはそんなもの無いので車とテントサイトを汗かきつつ何度も往復しなくてはいけない。なんだそりゃ。
 僕らは、鍋釜机椅子を持ったキャンプは見直さねばならなかった。

 最終的な僕らのキャンプでの所持品は以下の如くである。
 テントと断熱マット、寝袋は一応必需品である。さらにガスランタン。明かりは欲しい。テーブル椅子はやめた。養生シート一枚で足りる(遠足みたいだが)。火器は、カセットコンロである。ただ、普通の家庭用のやつではなく焼肉仕様。こういうやつですね。うちのは折り畳みの足がついている。ちゃぶ台みたいになる感じ。これはすぐれもので、もちろんBBQもできるが、魚も焼ける。アルミホイルを持っていれば様々に調理の幅が広がる。鍋釜ヤカンは止め、コッフェルに戻した。そのコッフェルを焼肉コンロにも置くと味噌汁も作れる。火器はこれひとつで十分だった。
 小さな包丁とまな板。まな板はベニヤ板の小切れで代用。シェラカップ適宜。食器は全てこれでまかなう。調味料箱(醤油、塩、胡椒などをコンパクトに詰める)。クーラーボックスはかさばるので保冷バッグ(生ものとビール用)。樹脂製の小さいバケツ(これ重宝する)。蚊取線香。
 これに衣類、洗面具などをプラス。断熱マットを除いては、大きなトートバッグふたつで全て入る。結局、車だもの何でも積めると思っても、コンパクトにしたほうが便利だった。準備と後片付けを伴うことなので。いざというときのために様々なものを積んでおくのは一応いいのだが、出し入れするものは限られたものとなる。
 そんなふうにして、僕らのキャンプ仕様は確立していった。

 さて、年齢を重ねると徐々にキャンプが億劫になった。面倒くさい。自家用車を買い換えたのをきっかけに、僕らはパーキングキャンプに移行していった。テントや寝袋は押入れにしまわれ、車に布団を積んで寝るようになった。
 こうなると、キャンプ場での荷物の出し入れなどはなくなるのだが、なにぶん軽自動車でありスペースも限られているため、さらに荷物は簡略化していった。だいたい、ものぐさになり料理などしなくなった。 
 寝るためには、後部座席を畳み断熱シートを敷いて、その上に布団を敷く。エアマットを使うと快適になるが、堅い寝床が好きな人はなくてもいい(僕も今は使っていない)。それから、枕と毛布。以上は、常に車に積んである(出し入れが面倒なので)。だから、旅に出るときにはシーツだけ持って入ればいい。布団は時々干すが、基本は入れっぱなし。照明も車内灯を蛍光灯にしたので必要なし。
 料理をしないので鍋釜は必要ない。ただ、湯は沸かすのでバーナーと小型のヤカンは積んである。バーナーも昔のようなポンピング式ではなくカートリッジ式のやつ。お手軽だ。
 料理はほぼしないが、テイクアウトはする。なので多少の食器。これはシェラカップとホーローのマグくらい。調味料も以前は箱に詰めて各種取り揃えていたが、今は醤油と塩と七味唐辛子くらいか。刺身買ったりするので醤油は必携。さらに、夜明けのコーヒーも飲みたいが凝った事はできないのでインスタントを持ち込む。重要なのは車内で飲み食いするので粗相をすると大変である。なので縁の高いトレイを使用する。こぼしても大丈夫。あとは、キャンプ場のように水場があるところでは泊まらないので、一応水は何リットルか積んでおく。ただ、迷惑なので食器を洗ったりはしない。ウエットティッシュとトイレットペーパーがあると便利。
 もちろん衣類や洗面具などは当然だが。また車で旅をすると必ずどこかで温泉に入るので、風呂用のキットはまとめて積む(銭湯に行くのと同じ用意)。
 これくらいかなあ。迷ったらなんでも積めばいいのだが、今はあまり迷わなくなった。あとは、書籍と音楽。
 そして、時間がとれればバタバタと荷物を積み込んで出かける。ああ旅行に行きたい。

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