サバンナ、象、うんこ、だるい、せつない、こわい、さみしい
これだけ聞いて、あきれる人もおられるかもしれない。
これが、
高名な歌人の代表作のひとつなのである。
サバンナの象のうんこよ聞いてくれ だるいせつないこわいさみしい
穂村弘・作
なんだこれは。
上の句は汚物。
下の句は甘ったれの子どもの泣き言。
おとなげない。
そう思われる方があるのは、しかたがないが、
今のわたしは、これを批判できない気がする。
発表されたときは、
評価が分かれ、
賛否両論がふきあれた。
美しい歌をつくるのは立派なことである。
愚痴は短歌で言うものではない。
しかし、
美しい歌の言葉の羅列を聴いても、
なんとなく物悲しいことはある。
人生の
今の
ありようを
もったいぶらずに表現する歌が
あってもいいではないか。
ぶつくさ、このような文句を並べつつ、
今日も過ごしている。