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「でにをは」別口入力・三属性の変換による日本語入力 - ペンタクラスタキーボードのコンセプト解説

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入力モードの切り替えとその時の文字セットの遷移の仕方

2018-07-15 | アルファベット液晶入力+テンキー部
まずはこの図をご覧ください。

<図1 入力モードの切り替え>

前回に引き続いて、今回は入力モードの切り替えとその時にデフォルトで提供されるタッチ液晶の文字セットがいかように遷移していくかの詳しい挙動について解説していきたいと思います。

タッチ液晶の英アルファベット・記号・数字などの配列は2種類あってこれはセットと呼んで英数主体の[セットA]と数字を省いて記号類を充実させた[セットB]とがあるのは前回解説した通りです。
セットは英数記号部分を入力するときの英数記号まわりに限った用途においてセット文字群が選択できるといった位置づけですが、入力モードの移行は従来的な"日本語入力""英語入力"といった言語による分け方ではなく
「日英混在文の入力1」と「日英混在文の入力2」との2つパターンを念頭に置いて入力モードを使い分けるものであります。
ちょっと根本に戻って説明させて頂きますと、かなクラスタキーを押せばそれはほぼ(記号以外で)かな文字でありますし、何かの間違えでアルファベットをクラスタキーから入力できるということは絶対にないというのはお分かりかと思いますが、
さらに他方タッチ液晶の面からかな文字が入力できてしまうということも原理上ありませんので打った字種分の揺るぎなき文字列がそのまま反映されるだけであるので日本語字種(かな)⇔英記号字種(液晶)のモードを意識する壁がそもそもないのです。
なので「日本語」/「英数」のモード分けという考え方はもとよりなく、常に日英混在文であることを前提にしているのであとは英語部分を含んで混在変換をさせるのか、あるいは英語部分をソリッドに解釈し混在変換のサポートを手つかずにして変換させる、との違いであります。
それでも英語部分はそれはそれとして日本語交じりの断片として混在的に処理するのであくまでも混在変換前提の中でのサポート関与度合いの違いとして「日英混在文の入力1」と「日英混在文の入力2」が存在するわけです。
詳しい説明にうつる前にまずは図でモード遷移について示したいと思いますので下図をご覧ください。

文字セットトグル遷移と入力モード切替
<図2 英直接入力/標準入力の切り替えと液晶文字セットのデフォルトと遷移>(クリックすると新しいタブが開き拡大します)

文字セットについては後で説明します。まずはモードは2つと先程申しましたが、例外的に入力フォームで受け付け字種が英数に指定されている場合があるのでこれを加えて想定するモードは3モードとなります。
まず一番の基底状態と言えるのが中段にある英数混在の[標準モード]です。
ペンタクラスタキーボードの日英混在入力(標準モード)では利便性向上のために、以下の機能の実現を提案しています。

・AdobeやiPadやIotのような語を特にShiftキーで大文字指定することなく
 [標準モード]においてadobe・ipad・iotのように入力して混在文の中で変換すると
 コンピュータが大文字・小文字部分を適宜変換して省入力してくれる「英文字イニシャライズのサポート」
・W杯・A応P・スポーツch・用賀ICのような日英混成語の小文字大文字の微妙な違いも酌んで変換してくれる「日英混成語の変換サポート」

の2つの課題を掲げてあるのですが、これらはもちろん辞書登録単語にもともとあるから、といってしまっては元も子もないのですが、ペンタクラスタキーボードの日英字種完全分離の設計を大いに生かして変換前文字列でも入力字種の部分部分が曖昧でなくハッキリしていることが力強い支えになります。
単語登録に際しても混成語として文字列字種そのままに入力して事足りるという面があります。これは大きな強みです。
イニシャライズにおきましても手動で大文字化したいというのであればShiftキーを使って意識的に表記づけをすることもできますしおまかせもできます。
たとえ登録単語に入っていない場合でも未知語は原則全大文字に変換する、あるいは変換候補リストの中で頭文字イニシャライズのものを次点以降にもってくるなどのルール作りを整備したうえでユーザーにとって定常のルーチンを乱さないように挙動を定めておけば英文字の扱いもずっと道理にかなったものになるでしょう。
以上のようなサポートに加えて英単語部分の予測入力も(どこまでできるのかはわかりませんが)積極的に機能させていきたいと考えております。
単に英単語つづりの予測提示だけではなく、「Back to the future」みたいにいくつかのスペースを挟んだ形のものも提示候補として出せたらなお良いとおもいますし、ペンタクラスタキーボードでは別口入力マーカーでなにがしかのチャンク区切りが認識できるようになっているので、
スペースが入ったからといって安易に終端要素と捉えるのではなく、別口入力や日本語かな文字列が新たに出てくるまでは英文の一節が続いているのだな、と適切に判断して文字列を解釈していくことができれば気の利くインターフェイスに一歩近づけるのではないでしょうか。
基本状態として混在入力の中でこのように常に盛りだくさんのフォローしてくれるのが[標準入力]になります。

次に補佐的・サブ的な用途として設定してあるモードが[英直接入力]です。
まず大前提としてログインフォームやパスワード入力などで英数単語つづりを学習させたくないオプションとしての用途がこのモードの一番の意義であります。大事な文字列が数文字打ち始めただけで全部補完されてしまってはたまったものではありませんのでこれはマストです。
標準入力での英文字は未確定状態のときはアンダーライン付きで表示して、英直接入力のときの英文字部分はアンダーライン修飾をさせないようにすればモードの違いも明示的に分かるかと思います。
現在入力中の文字列の画面表示に配慮すると同時にタッチ液晶面にもわかりやすい現在モードの表示が必要になってくるかもしれません。
あと補足的には「英文字イニシャライズサポート」で予期せぬ大文字小文字違いが起こるのを回避するためにあえて大文字化のShiftキー同時押しを必須化したものとして使いたいとき、またそのように使えば間違いないとの意図のもとでの入力としてハッキリさせたいときにこのモードが役に立つかと思います。
一応日英混在文として日本語部分の変換は従来通り行われますが受け取った英文字部分の文字列には一切手を加えず、モザイク的に変換していきます。構文解析的にも特段の影響はありません。
ただし冒頭でも申し上げた通り、英文字部分の予測変換は機能しない挙動となっております。日本語部分は解釈の限り予測変換は変わらず機能していくものとします。
この辺りどのような副作用が現れるかどうかは未知数ですが善処していければよいかと思います。

そして[英直接入力]とも重なってきますが、入力フォームなどで特に直接入力/英数(日本語入力OFF)がむこうから指定されているときは特別なケースとなってきます。
日本語入力OFF指定のときは直接入力ですので英数記号のみの受け付けとなり、この場合に限っては日本語かな文字の入力は遮断というか未認識であるとみなされて、入力があったとしても反映はされません。
これはこれで特殊なケースであるので[標準入力][英直接入力]に続く第三の入力モードと位置づけられます。
ただ直接入力とは言うものの文字セットがA、Bと切り替えられるのを想定していますがこれはキーアサインの関係からこのような使い分けが現実的に可能なのかどうかについては浅学なため理解が及ばないので、ダメならダメでそこは「理想の入力形態を追求する」との大義名分のもとコンセプトだけは先行させていきたいのでどうかご容赦頂きたいかと思います。

…これで3種のモードについて説明していきましたが主要2モード間の移行は[英直接入力]/[標準入力]の各キーを押すことで順次即切り替え対応となっておりますし、「テキストフォーム内において日本語入力Offが指定されている場合」についてはその場で直接入力受け付け状態となりカーソルが出ている場合は他の2モードへの切り替えも不可逆的に受け付けない仕様とすべきかと思います。
ここでようやく出てくるのがその時の文字セットはどうなるのか、という問題で標準モードとその他の入力モードのそれぞれに細かな違いがあります。
まず[英直接入力]と「テキストフォーム内において日本語入力Offが指定されている場合」のケースにいるときには最初の変わりっぱなの状態では英数中心の文字セット<文字セットA>がデフォルトにくることになります。
<文字セットB>への移行はそこからタッチ液晶内のセット切り替えボタンでトグル式に変更できるようになっております。
それとは対照的に、[標準入力]へモード変更した直後はこれとは異なり記号中心の<文字セットB>がデフォルトとして出てくるようになっており、こちらは各種記号へのアクセスを重視した構えとなっておりますのでデフォルトセットもあえて変えてある仕様です。
こちらの場合もそこからタッチ液晶内のセット切り替えボタンで<文字セットA>へ移行していきさらにはもう一度セット切り替えボタンで<文字セットB>へトグル循環していきます。


以上で入力モード移行とセットトグル切り替えについて整理していきましたが、あと一つだけ、各種モードの略称について触れておきたいかと思います。
図にもあります通り、ちょっと砕けた言い回しですが「素っ気ないモード[素]」「標準モード[混]」「頑ななモード[頑]」の略称がそれぞれのモードにつけられています。
機能に基づいたセオリー通りの名づけからすれば「英直接入力[直]」「標準入力[標]」「テキストフォーム指定[指]」などのようにすればいいかもしれませんがあまり字面から機能イメージを感じることができません。
[直]に関して言えば英直接入力のものでも日本語入力Off状態のものでもどちらも直接入力の色合いが濃いですし微妙に混同して勘違いの元にもなりますので何かうまい呼称を考えなくてはいけません。
そこで英直接入力=「混在入力を保持しつつ英数部分は直接入力・英単語予測入力はなし」…という予測サポートやイニシャライズのサポートがないというニュアンスを感覚的にあらわした「素っ気ないモード[素]」というのがもっともさらっと特徴を捉えていてベストな表現ではないかと思います。
そして標準というくくりよりも日英混在入力のベース状態としての存在感を強く打ち出した「標準モード[混]」という名称の[混]という部分により特質があらわれていてこちらの方が固有的で良いかと思います。
「標準」という言葉は他の機能の説明のくだりでもひょっとしたら出てくるかもしれませんし抽象的な言葉であるので明確に混在を意識させる[混]のほうが扱い的にも意味カブりを避けられるのでベターかと思います。
最後のテキストフォーム内において日本語入力Offが指定されている場合=「頑ななモード[頑]」は「かな部分は受け付けない」というところがどこか素っ気ないを超えてより限定入力的であるのでちょっと強い言葉にしていますがよりマッチしているかと自負しているのですがどうでしょうか。
どれも比喩的というかイメージ付随のまなざしからくるワードではありますが限られた字数で要点を捉えた言葉をチョイスするにはやはりこうしたヒネリも必要だとは思います。
画面下部のタスクバーに表示されているスペースも1文字分がやっとでありますので[素][混][頑]とやってしまうことも決して思いつきではなく数々の考慮をとりまわした上での合理的な解決策だともいえるのです。

たとえが適当であるかわかりませんが、近年テレビの災害報道などで初動対応が迫られている場面などで「決してあきらめないでください!」「助けは必ず来ます!」といった心情や励ましの心理に訴えかけた呼びかけるようなアナウンスを見かけるようになりました。
テレビ報道は事実だけを淡々と伝えればよい…といった方針を転換して、コミュニケーションに重きを置いたこの手法はさまざまな試行錯誤のうえ考えられたメッセージ機能をもっているかと思われます。心情的であるというよりは、むしろ合理的な手法なのです。
ちょっと後付けかもしれませんが、ペンタクラスタキーボードの入力モード名称についてもこういった心理的機能をユーザーへの認知向上に役立てていこうという意味で先述の報道手法の例にならっているものだと力説したいところです。
ネーミングにもいろいろな可能性を視野に入れてこのような方策をとるのもご納得いただけるのではないでしょうか。


以上で説明を終わりたいと思いますがごく端的に要点を述べると
・Macのように即押しで入力モードを変更する
・モードによってデフォルトの文字セットが異なる
ここだけは押さえてもらいたいところであります。
入力字種完全分離による日英混在文の入力スタイルの最適形に少しでも近づけるよう、有意義な提案になっていれば良いなと思います。

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