日本一“熱い街”熊谷の社長日記

組織論の立場から企業の“あるべき”と“やってはいけない”を考える企業アナリスト~大関暁夫の言いっぱなしダイアリー~

<音楽夜話>第44回スーパーボウル~感動のハーフタイム・ショー

2010-02-13 | 洋楽
いよいよバンクーバー冬季オリンピック開幕で、巷は大変盛り上がっています。オリンピックの開会式もそうですが、スポーツの祭典でその開会や閉会あるいは合間合間におこなわれる音楽等のイベントもまた、海外ならではの豪華さや素晴らしさがあるものです。今週実は、オリンピックを前にもう一つのスポーツのビックイベントがありました。アメリカ中が注目するアメリカン・フットボールのチャンピオンシップ・ゲーム「スーパー・ボウル」がそれです。「スーパー・ボウル」と言えば、そのゲームの面白さもさることながら、第2クォーターと第3クォーターの合間の休憩時間に行われる「ハーフタイム・ショー」の豪華さも、大きな見所のひとつになっています。

これまでもローリング・ストーンズ、マイケル・ジャクソン、エアロスミス、ブルース・スプリングスティーン等々錚々たるスーパー・スターたちが、ハーフタイムの限られた時間を使って他では見れない渾身のパフォーマンスを見せてくれています。「スーパー・ボウル」のチケットが「世界で最も入れにくいチケット」と言われる所以はそこにもあるのです。スポーツのゲームの合間にハンパないスーパースターがパフォーマンスをするって、エンターテイメントの本場アメリカならではの発想です。日本じゃとても考えられないですよね(日本でいうなら、大相撲の千秋楽「三役揃い踏み」のあたりで永ちゃんが出て土俵で歌うみなたいなもんです)。

そしてそして今年その「スーパー・ボウル」に登場したのは、なんと、我らがThe Whoでありました。史上最強のロック・バンドの登場に、会場のマイアミ・サンライフ・スタジアムは一瞬にしてロック・コンサート会場に変貌し興奮の坩堝(るつぼ)と化しました。毎度おなじみ、ギターのピート・タウンゼントとボーカルのロジャー・ダルトリー、共に70歳を目前に控えたロック・ヒーロー。ピートの腕をぐるぐる回す風車奏法は健在!ボーカルのロジャーは、ピートがこだわるオリジナル・キーでの歌唱にこのところやや辛そうではありますが、老体に鞭打ちがんばってくれました(日本公演では、「1日歌うと喉が戻るのに3日必要だ」と言っていました)。ドラムを叩くのはあのビートルズのリンゴ・スターのご子息ザック・スターキー。すっかり正式メンバーといった面構えで、今は亡きキース・ムーン譲りの(なぜか父譲りではない)素晴らしく魅せるドラミングを披露してくれました(最近奴は本当にうまい!)。

演奏曲目は、この日のために特別にプログラムした彼らの“ヒット・メドレー”。ロック・オペラ「トミー」の「ピンボールの魔術師」から「ババ・オライリィ」~「フー・アー・ユー」、そしてあの「ウッド・ストック」を彷彿させる「シー・ミー・フィール・ミー」から最後は彼らの超定番「無法の世界」へ。生放送で見られなかった私は後から、YouTubeで見たのですが、「ババ・オライリィ」途中のピートのボーカル部分や「無法の世界」のコーラスで観衆が大合唱するのを聞いて、武道館の感動を思い出し思わず涙しそうになってしまいました。それほどものすごいライブです。アメリカン・フットボールを見に来た連中が、The Whoの歌を大合唱するって彼らの国民的人気(といっても彼ら英国人ですが)には、ホント驚かされます。ストーンズ並、いやあちらではストーンズ以上のヒーローなのです。

実はテレビで見逃した理由ですが、NHK-BSの夜の再放送は、なんとハーフ・タイム・ショーをカットするという暴挙に出たのです。それでやむなくYouTubeのお世話になったのでした。いい時代になりました。昔だったら再放送で放映されずに見逃したらもうアウトでしたから。それにしてもNHKはどこまで分かっていないのか、選手入場の時にBGMは「無法の世界」だったでしょうに。ハーフ・タイム・ショーまですべて含めて「スーパー・ボウル」なんですから、ホントそういうコンセプトを無視したいい加減な番組作りをしないで欲しいと思います。アホッ!見逃した方、見ていない方、The Whoをよくご存じでない方、YouTubeのURLをアップしておきますので、ぜひ見てください。70歳近いジジィ・ロックの迫力に共感していただければ幸いです。

ちなみにゲームの方も面白かったです。最終クォーター逆転のタッチダウンで創立44年にして初「スーパー・ボウル」出場のニューオリンズ・セインツが、悲願の初チャンピオンとなりました。昔は“NFLのお荷物”と言われたチームですよね。ニューオリンズ復興のシンボルとして、エポックメイキングな素晴らしい優勝であったと思います。常勝ではないチームが頂点を極める姿には、見る側も元気づけられますね。


★第44回スーパー・ボウル ハーフタイム・ショー The Who(前半)
http://www.youtube.com/watch?v=c6Io05fTLSg

★第44回スーパー・ボウル ハーフタイム・ショー The Who(後半)
http://www.youtube.com/watch?v=c6Io05fTLSg

バンクーバー五輪開幕間近!~“五輪=GⅠレベル”の「壁」とは

2010-02-11 | その他あれこれ
いよいよ今週末からバンクーバー冬季オリンピックが開催されます。今日あたりは日本選手団の選手村開村式が行われたとの報道があり、五輪ムードが高まってきました。いつの時代も五輪前に話題になるのは日本選手団のメダル獲得予想です。前回のトリノでは戦前の期待を大きく裏切る荒川静香選手の金1個に終わっています。今回も女子モーグル、男女フィギュア、ジャンプ団体など複数の競技でメダルの期待が高まっていますが果たして…。

開幕早々の14日には、早くも日本期待の上村愛子選手が出場する女子モーグルが行われます。一昨年のワールド・カップ総合優勝の実績を買われてか、最低でも銅メダルというのが開催前の下馬評のように思いますが果たしてどうでしょう。私のスポーツ理論に競馬分析に由来する「GⅠ理論」というのがあります。馬と一緒にするなと言われそうですが、要はどんなに調子が上向いていようがどんなに技術的に進歩をしていようが、オリンピックでメダルをとることは競争馬で言ってみるとGⅠレースを勝つことに等しく、そもそも「GⅠレベル」にある選手でなければよほど回数を重ねるか好条件が重なるかしないと勝てないというものなのです。

ではそれはどこで見極めるかですが、初出場組はともかく、過去複数回出場の選手に関して言うならその過去の成績がすべてを物語っているケースがほとんどという理論です(理論と言うほど立派なものではありませんが…)。一番分かりやすい例は、現国会議員の橋本聖子さん。“オリンピックの申し子”と言われ冬夏7回のオリンピックに出場し、のべ22種目のレースに出たものの、メダルに届いたのはわずかに1回、しかも銅メダルでした。もちろんメダルを取れただけ立派ではありますが、これが「GⅡレベル」選手の限界値と見ていいと思います。「GⅠレベル」にあったなら、22種目出場すれば最低3~5個のメダルは取れていて良い訳です。あくまで、競走馬の「GⅠレベル」にあてはめて考えたものではありますが…。今回も出場するスピード・スケートのベテラン岡崎朋美さんは過去6レースで銅メダル1個。橋本さんよりはレベルが高いように思いますが、唯一のメダルは“地の利”がある長野でのものですから、やはり「GⅡレベル」と考えるのが妥当でしょう。

さて注目の上村愛子選手。これまで3回の五輪成績は7位、6位、5位。メダルに一歩及ばず。前回5位入賞の際に漏らした言葉が、「オリンピックの表彰台は果てしなく遠い。どうしたらあそこに立てるのか教えて欲しい」。まさしく「GⅡレベル」の一言なのです。う~ん、今回も難しいのか。「GⅠ理論」的に考えれば恐らく今回も入賞が精一杯という感じではありますが…。「GⅠ理論」での注目は里谷多英選手。長野で金、リレハンメルで銅。過去4回のオリンピックで2回のメダル獲得。4分の2は今回の日本選手団では最もレベルが高く文句なしの「GⅠレベル」と言えます。なんでも昨年末に腰を痛めたとかで、絶好調ではないようですが「GⅠレベル」の底力でがんばって欲しいものです。期待してます。上村選手ももちろんダメと言う訳ではありません。競走馬の世界でも昨年秋には、長年「GⅡレベル」と思って疑わなかった8歳のカンパニーという馬が13回目の挑戦で見事GⅠを制し、その勢いで続くGⅠレースも連勝。見事引退の花道を飾りましたから。「ウマと一緒にするな」って?すいません。14日女子モーグル応援しましょう。

UCCコーヒーのキャンペーン告知“大炎上”にみる、恐るべきTwitterの威力

2010-02-09 | マーケティング
UCC上島珈琲が5日、コーヒーにちなんだエッセイや画像などの作品を募集する販促企画のPRを今話題のTwitter(ツイッター)を使った形でキャンペーンを実施し、一時“大炎上”するという「事件」が発生しました。UCCのTwitterキャンペーンは、ユーザーが投稿したキーワードに反応しBOTアカウントが自動でメッセージを返信するというもの。作成したBOTアカウントは11個。「コーヒー」「懸賞」「UCC」「小説」など約30のキーワードを各アカウントに振り分け、それぞれのキーワードに反応してメッセージを返信する仕組にしたと言います。

同日午前10時キャンペーン・スタートと同時にユーザーがつぶやいたキーワードに反応し、「コーヒーにまつわるエッセイとアートを募集中!エッセイで賞金200万円!アートで賞金100万円!締切間近!!」というメッセージを自動で送信。全11のアカウントからを送ったところ、Twitterユーザーがフォローしていないアカウントからプロモーション的なメッセージが送られてくる上アカウントが複数同時稼働したため、「UCCを偽装したアカウントによるスパムBOTではないか」と不審がる「つぶやき」が多数投稿され、ユーザーの間で一時大騒ぎになる展開になってしまったのです。

これに同社のネット関連統括部門が気が付き、開始から2時間弱であわてて全アカウントを停止という事態に陥ったのでした。このまま放っておけば大変な企業イメージダウンにもなりかねない事態であり、なんとも怖い話でした。この「事件」が起きた最大の原因は、UCCがTwitterに対する正しい理解をしないままPRメディアとして利用したことにあります。すなわち、Twitterというユーザーの「つぶやき」を聞きながらコミュニケートする至極人間的なソーシャル・メディアのツールをマスマーケティングの手法で利用したことに、大きな過ちがあった訳です。機械的なBOTを使ったのは、ソーシャル・メディアに対しプッシュ型のマスマーケティング手法で臨むというご法度に他ならないのです。

さらにUCCは、キーワード設定でも致命的なミスを犯しています。「コーヒー」「懸賞」「UCC」「小説」などの用語はあまりに一般的な言葉であり、これらの言葉をつぶやいた人(メッセージが送られた人)の大半がUCCコーヒーの事を思い浮かべていなかったということに加えて、その送られたメッセージが人肌の体温を感じさる「つぶやき」ではなく、完全なPR文言であったことがそれです。これで完全に、「スパムBOT?」と誤解を受けることになってしまったのです。次々現れる新しいメディアは新たなPRのチャンスでもあるものの、しっかり理解をしていないと今回のような思わぬ落とし穴が待っているという恐ろしい結果とも背中合わせであることを、この「事件」は教訓として教えてくれました。

そんなわけで、小職も大変興味津津なTwitterなのですが、現在はまだまだ勉強中です。昨年初めてTwitterのことを聞いた時に「これは使える!ビジネスにも活用出来る」とピン来てその勢いで早速Twitterデビューをしてみたのですが、なんか良く分からないフォローの動きに「これはちゃんと理解してやらないと危ない」と直感的に察知しTwitterデビューを一度取り下げました。その時の直感が囁いたモノがこうしてUCCの失敗利用として現実のモノとなった訳で、我ながら危機管理能力(というより野生の勘?)は大したものであると思った次第です(笑)。

この件ではUCCは当日午後にネット上で謝罪文を掲載しただけでなく、今日9日には謝罪会見まで開いています。ちょっとした利用ミスで、ここまで1企業を動かすというTwitterの力たるや恐ろしくも大したものです。やはり改めてバカにできない新たなメディアであると再認識させられた次第です。Twitter侮るべからず、ですね。昨年は“Twitter元年”でしたが、2年度目の今年、Twitterはどんな展開を見せビジネスユースの可能性を広げてくれるのか、当分目が離せない存在であることは間違いのないところです。

キリン=サントリー“統合破談”の「やっぱり」

2010-02-08 | ニュース雑感
経営統合に向けて準備を進めていたキリンとサントリーが、統合交渉を打ち切ったと発表しました。いゃー思ったとおりの展開でしたね。昨年7月の統合報道時にも当ブログでこの問題を上げましたが、私は当時あまりに早い段階でのマスコミ報道に「これは“つぶし”に違いない」と書いています。いずれにしても、M&Aは超トップ・シークレットで進めるべき案件であり、詳細がある程度詰まる前に報道に情報が流れれば大抵は横ヤリが入ってダメになるのです。

財閥系で典型的官僚的組織管理のキリンと、同族経営で昔から山口瞳や開高健を輩出した自由な社風の“大いなる中小企業”サントリーでは、言ってみれば同じリカー産業でも“水と油”ですから。“破談”理由はキリン、サントリーそれぞれが異なる見解を述べており、真偽のほどは定かではありませんが、官僚体質のガチガチ管理のキリンから見れば破談理由は「新会社が上場企業として経営の独立性や透明性を保てるかどうか」(加藤社長)とのことで、簡単に言えば「中小企業体質のサントリーさんとは、ガバナンスの点で埋まらない溝がある」と言っているようなものです。

サントリー、髭の佐治社長はキリンの言い分をまんま認めるのは「プライドが許さん!」と思われたのか、キリン側が破談理由として明確に否定した「統合比率」の問題を徹頭徹尾破談理由であると力説する会見だったようです。中小企業応援団の私の個人的見解ですが、サントリーとすればガバナンスの違いは全く恥ずかしい事ではなくて、サントリーがコンプライアンス違反企業であると言われている訳ではないのですから、「うちは中小企業体質なんで、官僚的組織管理のキリンさんとは合いませんでしたわ。ワッハッハッハッー!」と笑い飛ばしてもらいたかったぐらいでした。サントリーと言えば、中小企業オーナー社長“憧れの星”ですからね。合う訳ないですよ。三菱財閥のエリートとナニワの“叩き上げ”では。

報道されずに水面下で統合交渉を続けていたなら、何事もなくお互いにイメージダウンもなく済んだところですが、あまりに早い段階での情報流失が両社によけいな“汚点”を残してしまった訳です。そうやって考えると、やはりなぜそんな早い段階に極秘NEWSが漏れたのか、いまだに不可解です。私の推理では、昨年7月に日経記者に情報リークしたのは恐らく統合交渉に反対のキリン・サイドのお偉いさんか、ご意見番的同社大物OBかではないかと思っています。官僚体質のエリート意識が、中小企業との統合を嫌がるのは当然。貴族の息子が商人の娘をいきなり「嫁にしたい」と連れてきた体ですから。昨年の統合検討初動のあの段階で情報が外に漏れるというのは、よほどの強い反対勢力があったと考えられる訳で、その時点で破談にすべき縁談だったのかもしれません。

いずれにしましても、合併、統合に一番大切なことは企業風土の一致、不一致に他ならないということです。グローバル戦略での規模の利益を追求するあまり、キリン、サントリーの両社トップは、統合検討時にもっとも重要でもっとも“足元”にあるハズのこのポイントを忘れていたことがすべての「誤算」の原因だったように思います。

昭和49年村田クンの教え 7~海賊盤のイケナイ世界への誘(いざな)い

2010-02-06 | その他あれこれ
ジョン・セバスチャンにはじまる私の“マニアック・アーティストの旅”とともに、もうひとつのマニアック趣味である海賊盤や海賊音源の楽しみを教えてくれたのも村田クンでした。きっかけはやはりビートルズだったと思います。アルバム「レット・イット・ビー」の話をしてた時でした。

私「アルバム「レット・イット・ビー」ってさ、有名な曲を除いてなんか音が悪いというかデキが悪いというか、他のアルバムよりもなんか雑な感じがするけど何でだろう?」
彼「お前知らないの?「レット・イット・ビー」っていうのは、もともとはアルバム「ゲット・バック」として制作されていたのがおクラ入りして出る予定がなかったんだけど、その後レコード会社主導で勝手に編集されて出されたものなんだぜ」
私「へぇ~。「ゲット・バック」?でもそれって結局「レット・イット・ビー」と大差ない同じようなアルバムなんでしょ?」
彼「甘いなぁ。それが全然違うんだよ。「ゲット・バック」はもともとスタジオ・ライブ収録を目的とした作りだったんだけど、「レット・イット・ビー」はプロデューサーのフィル・スペクターが分厚いアレンジを施して全く別物のアルバムに仕上げちゃったって訳。だからなんか似合わない厚化粧の娘みたいな冴えないアルバムになっちゃったのさ。「ロング・アンド・ワインディング・ロード」なんてもともとポールのシンプルな弾き語りに近かったのを、分厚いオーケストラアレンジで台無しにしちゃったからポールが激怒して解散の一因にもなったって言われてるんだぜ」

私「ポールの弾き語り「ロング・アンド・ワインディング・ロード」なんてどんなかな。おクラ入りじゃ二度と聞けないね?」
彼「いや聞けるさ。ブート(海賊盤)でけっこう出回ってるよ」
私「ブート?」
彼「ブートレッグ知らねーのか。海賊盤だよ、海賊盤。おクラ音源とか、未発表のライブ音源とかが闇でけっこう売買されてるんだよ。最近は中野レコードとかそういうのを大量に扱っているレコード屋もあるしね」
私「へぇ~、音はいいの?」
彼「いや、当たり外れはけっこうあるけど、まぁ店主とか店員のお兄ちゃんに教えてもらうとか、客同士で情報交換するとかである程度は分かるけどな。「ゲット・バック」のブートで、リリース予定と同じテイクが使われて一番本物に近いと言われているのが「カム・バック」というアルバムなんだぜ」
私「それには弾き語り「ロング・アンド・ワインディング・ロード」入ってるんだね。聞いてみてぇ~」
彼「どうしても聞きたいか?」
私「えっ、持ってんの?貸してくれよ~」

こうして、私は彼から「カム・バック」を借りて人生初海賊盤の世界に入って言ったのでした。弾き語り「ロング・アンド・ワインディング・ロード」にも大感激でしたが、音を楽しむと言うより正規には発売されていない音源を聞けると言うのは、どこかイケないことをしているような妙な快感と多くの人は耳にしていないものを聞いているという関係者になったかのような優越感が感じられて、正規のレコードで音楽を楽しむのとは違う何ともいえない魅力に満ちていたのです。彼はビートルズやジョン、ストーンズ、フーなどの海賊盤もけっこう持っていました。これをきっかけとして、村田クンから中野レコードをはじめ良質の海賊盤を多く扱っているレコード屋を教えてもらい、ビートルズやフーやストーンズやエルトンなど私の“海賊盤探索の旅”も始まったのでした。

世間一般にはここ10年ほどになって、“発掘音源”等の名目で各アーティストのおクラ音源や未発表ライブ音源が正式に公開され人気を呼んでいますが(その代表はビートルズの「アンソロジー」シリーズ)、このお話は昭和49年当時のもの。村田クンと私は30年は先を入っていた訳です(当時は音楽好きの同級生も「お前らの話にはついていけねーよ」と言っていたのですから、少なくとも中坊としてはかなりススんでいたと思いますよ)。
(つづく)


二人の“ヒール”と所属団体~「決断」の戦略的価値

2010-02-05 | ニュース雑感
昨日のNEWSは「朝青龍引退」「小沢不起訴」で持ちきりでした。相撲と政治と、全く別の世界のNEWSではありましたが、共に主役は似た境遇で稀代の“ヒール(悪役)”。その身の振り方に伴う組織のイメージへの影響度合いと言う観点で、各所属団体の決断の戦略的価値を比較できる出来事であったと、興味深く見させていただきました。

まず、横綱朝青龍。まぁ当然、現役№1の実力者で、歴史的に見ても優勝回数歴代3位と言う“大横綱”であります。しなしながらその素行の悪さから、これまで何度となく厳重注意を受け「横綱の品格」を問われ続けてきてもおり、一昨年には二場所謹慎処分など引退の危機もありながらそれをなんとか乗り越えてここまでやってきました。しかし今回は、一般人相手の暴力事件。被害者とは示談で済んではいるものの、“横綱としての品格と責任”はいかがなものかと、マスメディア、世論の論調は連日かなり批判的なものが多く見受けられました。

結果は「引退」。相撲協会横綱審議会も「引退勧告」を満場一致で決め、その強制執行がなされる前に“本人申し出”による引退を表明させた(表向きは自発的に引退表明した形にはなっていますが)ことで、最低限の横綱のステイタスと貴乃花親方理事選問題にも揺れた日本相撲協会の面目を保つことができたと思われます。本日のマスコミ各社の報道スタンスは、いつになく朝青龍および協会に対して好意的なものが目立ち、これまで、思慮不足もしくは後手後手による失策ばかりが目立ってきた相撲協会の「戦術」は見事にハマった形となりました。テレビ、新聞報道で見る限りの一般人の評価も上々で、「ケジメがついた」というイメージが強く打ち出され、「ケジメをつけた横綱および相撲協会」に対してこれまでの流れを水に流すぐらいのイメージ転換効果があったと思います。

一方、“政界一のヒール”小沢一郎氏。田中角栄直系の民主党“大幹事長”でありますが、ゼネコン相手をはじめとした“素行の悪さ”も天下一品。“壊し屋”の異名とともに「政治家としての品格」を問われることもたびたびあり、昨年は「西松献金疑惑」で民主党代表を辞任(本人はそれを理由としなかったですが…)という“ひん死の重傷”を負いながらも、民主党の政権奪取とともに幹事長として“実質№1”的地位に返り咲いていました。それが再びここにきて過去の不透明な資金操作から「政治とカネの問題」としてクローズアップされ、現職議員を含む元秘書ら3人が逮捕。自身も地検から被疑者として追及されるに至り、幹事長辞任、議員辞職を求める声が世論的に高まるという状況で、朝青龍同様の再び窮地に陥っていたわけです。

昨日、本人は「証拠不十分で不起訴」となったものの、秘書ら3人は「起訴」。これを受けて小沢氏自身の選んだ結論は、「本人不起訴につき続投」。民主党の結論も鳩山総理の会見によれば、「人事を見直す理由なし」との見解にあいなった訳です。「本人不起訴」ばかりが表に出ている現状ですが、秘書ら3人が小沢氏の不透明な資金管理を理由に「逮捕」→「起訴」という流れに至ったことは、小沢氏自身も大変重大な責任を負うべき状況な訳です。それをさも“無罪放免”であるかの如き対応の小沢氏と民主党な訳ですから、当然、マスメディア、世論の論調は、「これでいいのか小沢?」「これでいいのか民主党?」となっています(相変わらず小沢氏に相対する記者は弱腰ですが…)。

限りなくクロっぽい“実力者ヒール”朝青龍に引導を渡し、“ケジメ”をつけさせることで“潔さ”をイメージさせ、自らの最低限の信頼を守った日本相撲協会。対して、同じく限りなくクロっぽい“実力者ヒール”小沢一郎氏を“無罪放免”とし、“自浄作用”と“ケジメ”のなさを露呈した民主党。あまりにも対照的な結末でありました。今回の戦略的過ちによる民主党のイメージダウンはかなり大きく、このままでは夏の参院選にも影響を及ぼすことは必至でしょう。民主党は時同じくして起きた日本相撲協会の“ケジメある決断”を自身の選択と比較し、戦略的見地からの過ちを認識して、組織戦略におけるの長期的展望の観点から今一度小沢氏の処遇を考え直すべきなのではないかと思います。世論の声に耳を貸さない政党に政権を委ねていいのか、そんな疑問すら湧いてくる民主党の現状です。

米トヨタ車リコール問題~警戒すべき米国政府の“見えざる意図”

2010-02-03 | ニュース雑感
米国で大規模なリコール発生となったトヨタが、今度は主力車種である新型プリウスのブレーキ不具合に関して米国で100件を超える苦情が起きていると報道され、新たな対応を迫られそうな展開になってまいりました。情報の出所は米運輸省高速交通安全局のようですが、先月下旬以来の大規模リコール騒動がようやく収拾に向かい始めた折の“追い打ち”報道ですから、どうも意図的なモノを感じざるを得ないところです。転んだトヨタをさらに踏みつけて大打撃を与えて喜ぶのは、間違いなく米国自動車業界です。ビッグスリーの再建に代表される米国自動車産業の建て直しは米国景気浮上のカギを握っており、米オバマ政権下の国民的期待でもあるわけです。その米自動車業界の復活の行方ですが、再建活動中のビッグ・スリーを見ても前途はかなり多難な様相であり、何とか他力ででも活路を見だせないかと思った矢先のリコール騒動&クレーム報道でした。

今回のリコール問題を大きくした原因は、トヨタ側の米当局意図の読み違いがあったと言われています。米運輸省のトヨタ側へのリコール対応要請をトヨタ側が「忠告」と受け取ったということにあるというのです。この点に関して言えばトヨタ側の対応にも問題があったことは否定できませんが、米政府の「非難」にも近い必要以上に強硬なリコール要請とその問題が収束に向かったタイミングでの「プリウス苦情」のリーク。誰が見ても米政府の意図的な“トヨタ・バッシング”を感じさせる流れなわけです。車の安全性を確保することはメーカーにとって当然の責任ではありますが、今回の強硬なリコール要請、プリウス苦情問題のリークは一企業のトラブル・レベルで済ませるべきではなく、日本政府としてしっかりとした対応が望まれるところであります。

「プリウス苦情問題」では、国交省がトヨタに対して“徹底調査”を指示したそうですが、日本政府としては米国政府の“見えざる意図”に対する“徹底調査”はしなくていいのでしょうか。ビッグスリーをはじめとする米自動車産業の再建は米国経済建て直しの必要条件であり、そのためには米自動車業界を圧倒し続けてきた日本の自動車メーカーの駆逐なくして道は開けないのです。日本の自動車メーカートップのトヨタは、まさしく米国にとっての長年の“仇”であり、言ってみればこれを打ち砕くことこそ米国の“国益”に直結するわけです。一方日本にとってですが、国を代表する企業であるトヨタのダメージは景気回復を遅らせる大きな要因になるわけで、まさに日本の“国益”にとって大きな影響を及ぼしかねない重大な問題なのです。米国運輸省の一連のアピール活動とリークがもし、国益重視の意図的な“トヨタ・バッシング”であるとすれば、これは日本政府が外交問題として取り組むべき問題であると考える訳です。

政府の役割は、国の発展に向けて自国産業の発展を支援し“国益”を守ることにあります。他国の“国益追求”活動によって自国の国益を脅かすようなプレッシャーがかかっているならば、政府があるべき公正さを求めて他国政府にモノを言っていくことが必要であると思います。国交省はトヨタに対してプリウス問題の「徹底調査」を指示するだけではなく、外務省とも協力してアメリカ政府の「見えざる意図」の有無を徹底調査し、牽制を仕掛けることも必要な段階なのではないでしょうか。鳩山内閣は小沢問題にばかり気をとられることなく、冷静な判断の下、まずは実務ベースでの調査・牽制指示を官僚に対して出し国益を損なうような米国の行動を警戒すべきであると考えます。また同時に日本のマスメディアには、米国側リーク情報に躍らせられない冷静な報道を望みます。

<NEWS雑感>貴乃花親方・名古屋ひき逃げ事件・小沢発言

2010-02-01 | ニュース雑感
●貴乃花親方相撲協会理事当選に自民党も学ぶべし!
やはりやってくれました、貴乃花。と言うよりも、古い体質にNOをつきつける親方が他にも2人いてくれて、角界も捨てたもんじゃなかったという事です。相撲協会の古い体質に確実に風穴が空きました。この問題では、龍虎はじめ角界を抜けた者からですら「伝統と格式の相撲界で貴乃花の行動は許されない」との保守的意見が出てたのですが、「伝統のために改革は必要」という流れが確立された訳です。あとは、貴乃花が理事としてどうモノ申していくかです。その意味では本当の改革はここからです。「古い体質」と言えば…。古い体質のまま「政治とカネの問題」という絶好の“敵失”すらモノにできていない今の自民党。今回の相撲協会の“動き”を見て、マズイと思わなくてはいかんですよ。

●ひき逃げで3人死亡事件。警察の判断に疑問
名古屋市内で1日未明、歩道に乗用車が突っ込み3人が死亡したひき逃げ事件で、県警自動車警ら隊のパトカーの追跡中、急に100キロ以上のスピードを出し信号無視をしながら逃走したが、同隊からは「無理に追い掛ければ、事故を起こす危険性がある」と判断しそれ以上追跡しなかったという談話が発表されています。市民の安全を守る警察の判断として正しかったのでしょうか?他に方法はなかったのか?「街中で銃を乱射しながら走る奴がいても、危ないから捕まえません」と言っているようなもの。現実に、暴走車をミスミス逃がしたがために3人の何の罪もない犠牲者が出た訳で、何のための「警ら」なのでしょう。しかも、「乱暴な運転をすれば見逃してもらえる」という前例をつくってしまったことは、今後の防犯上大いに問題があると思われますがいかがでしょうか。

●遂に“ヤキ”が回った?小沢発言。逮捕近しか?
民主党の小沢一郎幹事長は1日の定例記者会見で、前日に東京地検から2度目の聴取があったことを認めた上で土地購入事件に関連した自らの進退について、「刑事責任を問われることになれば、非常に責任は重い」と述べたと言います。これは裏を返せば、「自分が刑事責任を問われなければ、自分の管理下にあった秘書が刑事責任を問われても責任はない」と明言したに等しい発言です。この感覚は理解しがたいですね。自分の部下が3人も逮捕されてですよ、しかも自分のカネをめぐって起きた疑惑です。これまで自民党議員の疑惑発生時に「秘書の事件は政治家の責任」と言い続けてきた民主党の大幹事長が、今回ハッキリそれを覆すようなこの発言は完全に自己矛盾なわけです。敏腕東京地検の度重なる聴取に、さしもの小沢氏も“ヤキ”が回ったのでしょうか?逮捕は近い?