日本一“熱い街”熊谷の社長日記

組織論の立場から企業の“あるべき”と“やってはいけない”を考える企業アナリスト~大関暁夫の言いっぱなしダイアリー~

経営のトリセツ42 ~4つの「シカク」→「四角」「視覚」「資格」「死角」①

2008-10-21 | 経営
少々シャレっぽいお話を一席。

会社組織にはいくつかの意識すべき重要な「シカク」があるという話です。タイトル欄に書いたように、思いつく4つの「シカク」をあげました。「四角」「視覚」「資格」「死角」。この中で特に重要な「シカク」はどれ?また、あまり重要でない「シカク」は?

まず今回は一見経営に関係が薄そうなところから。「四角」ですね。要するに4つの辺と4つの角を持つ図形ですね。重要じゃないでしょって?実はけっこう重要なんですね。「四角」とはすなわち、4人でテーブルを囲んで意見交換することを意味します。テーブルは普通「四角」なので、4人で一辺づつに座って議論する訳です。

4人は議論に適した人数です。多すぎず、少なすぎず。多すぎると意見を出す人間が限られたり無関心な人が出たり、形式的な打ち合わせになりやすくなります。大人数の会議で「こんなに人数集まっているのに、誰も意見がないのか!」と怒る経営者を見かけますが、大人数会議に活発な意見を求めること自体が無理なお話なのです。社長や役員が見るからに偉そうなポジションに座ることも、出席者から多くの意見を求めたい会議ではマイナスです。

逆に人数が少ないパターン。2人は意見がぶつかると際限なし、一方の立場が強ければそれに引っ張られ、必ずしも望ましい結論に至りません。では3人は?3人では1人が良くも悪くも仲裁役になりやすく、落とし所は見つけやすいですが、弊害も多く潜んでいます。力関係や仲裁役の計算で意図的な2対1が作られるケースなどは、場合によってはかえって問題を残しその後の組織運営に支障をきたす場面もあるのです。多数決と言っても、2対1の多数決ほどいい加減で信頼性を欠くものはありません。

4人のいい点は、議論の中心が2人になったり3人になったり、誰もが一時的に冷静な立場に立つことが可能で、中立的意見を発する人が出やすいのが4人の特徴です。しかもたった4人ですから、誰か一人が何も発言しなければ目立ってしまいます。無関心という訳にはいかない人数でもあるのです。結果、意見が3対1に分かれれば、多数決的に結論が導きやすくなります。2対2になることもありますが、全員が一斉に白熱することは考えにくく、適度に間に立つ人間が入れ替わり現れることで、感情論でなく実のある議論ができ納得性の高い“落とし所”へも導かれやすいのです。

それと打合せなどで議論が充実したものになるかどうかは、意外にテーブルの形や大きさにも影響があることをご存知ですか?大きく重厚なテーブルは話を遠くしがちで一体感を失わせます。テーブルが大きくて話す相手と距離があると、思考面でも相手の立場に立ちにくくし、議論が正面衝突して平行線になりやすいのです。4人の場合でも理想は皆が均等の立場に位置でき、離れず着かずの距離感を保てることです。

たいてい4人掛けの打ち合わせ卓は対面2対2で座る構造なのですが、本当は麻雀卓のような4人掛けが理想ですね。昔は「経営陣で麻雀をやりながら戦略を議論するといい案がよく出る」と話す経営者がいましたが、これはこの「四角理論」の裏付けと言えるかもしれません。参考までに丸テーブルは、見た目の序列がなくどこにでも座りやすいので「自由」な雰囲気をかもしだします。物事を決定する場面ではなく、上下の区分けなく意見聴取をするブレストのような会議では、丸テーブルが威力を発揮します。フロア内のちょっとした打合せ卓には、丸テーブルをおすすめします。

「四角理論」は、逆の利用法もあります。例えば、理由はともかく社長が反対意見が噴出しそうな自身の考えを自分勝手に通したい場合、まずキーマンを1対1で呼んで一方的に話をすることです。キーマンが3人いても、うち2人を同時に呼んだり全員を一同に集めたりするのはダメです。2人を呼んで3人議論になれば、反対されやすいテーマなら1対2になる可能性が高いですし、全員を一同に集めれば4人議論になり冷静な判断で結論に向かうことで、社長の独断見解は受け入れられにくくなるでしょう。

必ずしも上で話した通りに行かない場面もありますが、議論の行方には実は「人数」と「形」が影響しやすいことは、頭の片隅に置いていただけると役に立つことも多いのではないかと思います。実際組織をまとめることに秀でた経営者は、無意識のうちに「四角理論」を実践しているケースも多いように感じています。

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