日本一“熱い街”熊谷の社長日記

組織論の立場から企業の“あるべき”と“やってはいけない”を考える企業アナリスト~大関暁夫の言いっぱなしダイアリー~

<NEWS雑感>3/11号「企業資金繰支援、JR東日本水利権取消」

2009-03-11 | ニュース雑感

●企業の危機対応へ、郵貯資金など活用した基金設立へ●

昨日、景気浮揚に向けた公的金融の活用の話を書いたら、今朝の日経一面トップに「郵貯活用の企業融資増強スキーム」の記事が出ていてビックリ!私の話と完全に一致するものではないものの、公的金融を活用した民間企業向けの資金手当てという点では着眼点は同じこと。一日も早い実現に向けて動いてもらいたいものです。

この記事にあるものは、「郵貯→新基金→日本政策投資銀→大・中堅企業」という資金スキームであり、本当に実現できるなら昨日心配した中堅企業向け資金確保はある程度期待できるかもしれません。その点大いに評価できるスキームであると思います。そうなると問題は、日本の企業の大半を占める中小企業向け資金繰り対策です。

昨日も書いたように、保証協会の保証枠拡大は民間金融機関が窓口をしている限り、“貸し渋り姿勢”に大きな変化を与えるものではなく、保証枠拡大で対策ができていると思うのは大きな間違いです。金融庁もここにきて各銀行へ貸し渋り実態監査に入っているようですが、これとて官僚の常套手段であるイザという時に備えた“アリバイ工作”に過ぎませんから、大きな効果を期待するのは無理があります。

ではどうするのか?先の「郵貯→日本政策投資銀→大・中堅企業」のスキームと同様の中小企業向け資金供給スキーム「郵貯→新基金→日本政策金融公庫→中小企業」を、併せて創設することがよいと思います。国民の眠れる個人資産である莫大な郵貯資金を国家保証の元、国家経済を支える中小企業向けに有効活用する―。保証協会保証枠増枠政策よりも、直接融資に取り組むべきではないかと思うのです。


●信濃川から不正取水、JR東日本の役員処分と国交省の対応に「?」●

こちらは昨日のニュース。JR東日本が信濃川発電所で08年までの7年間に、新潟県十日町市の宮中ダムから決められた量より3.1億トン多く取水。発電所には、取水が決められた量を超えても許容範囲になるよう細工した観測機器を設置していた―、これは悪質なコンプライアンス違反です。この事件で同社が本日発表した関係者の処分は、清野社長は減給3カ月(5割)、大塚陸毅会長と小県方樹副社長ら4人は同(3割)など役員と現場の計10人の減給など…。 これってどうなんでしょう。

00、01年にダム取水口などに改ざんプログラムを組み込み、国交省から07年に改ざんプログラムの有無を尋ねられた際には「適切に行っている」と虚偽回答をしていたというこの事件。意図的な組織ぐるみの立派な犯罪ですよ。それがトップも含めて単なる減給処分でいいのでしょうか。長年にわたって、担当者が交代しようと脈々と引き継がれていた犯罪の“タスキリレー”を見るに、腐った企業体質以外の何モノでもありません。トップを含め経営陣は責任をとって総退陣し、大幅な外部人材の投入などで長期的展望に立った企業体質変革をおこなうべきであると強く訴えます。

この問題でもう一点気になるのが、監督官庁国交省の対応です。今回の処分としてJR東日本の水利権を取り消したのですが、問題は信濃川発電所がJR東で使う全電力の23%をまかなっていた点です。JR東日本は犯罪企業と言えども公共交通機関を運営しており、行政処分によって国民生活に影響が出たのでは大問題になります。

具体的には、首都圏などでの電車運行への影響と電力購入コスト増に伴う運賃値上げです。そこまでちゃんと考えてやっているのか、やっているなら国交省は処分発表とともに明確なコメントを出すべきであると思います。やっていないなら、同社の公共性に鑑みた他の厳罰処分を検討すべきであります。この夏、猛暑が襲わないとも限りません。国民生活保全の立場から責任ある対応をすべきであると考えます。

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