日本一“熱い街”熊谷の社長日記

組織論の立場から企業の“あるべき”と“やってはいけない”を考える企業アナリスト~大関暁夫の言いっぱなしダイアリー~

自民VS民主“バラマキ合戦”?

2009-07-27 | ニュース雑感
民主党が選挙に向けたマニフェストを公表したそうです。まだ内容を十分に読んでおりませんので、細かい話は別の機会に譲りますが関連で少々…

公表以前から同党の選挙向け施策の目玉とされているのが、「子ども手当」の支給。なんでも中学卒業までの子供1人当たりで、月額2万6千円をその家庭に支給するそうです。まぁ確かに小さなお子さんのいらっしゃるご家庭にはありがたいご配慮なのかもしれませんが、どうも“金で釣る”という意図が見え見えで感心しませんね。しかも、どうやらその財源の一部が「配偶者控除」や「扶養控除」の廃止によるものとのことで、政府として誰を中心として所得の再分配をしていくのかという“大きな政府”的考え方の下での施策であり、マスコミの取り上げ方もあるにはあるのですが、これがマニフェストの目玉というのはちと時代錯誤な感じがしております。

民主党に輪をかけてお粗末だったのは、昨日テレビに出てこの「子ども手当」戦略に焦った自民党石原伸晃代議士。「幼稚園と保育園の無償化を4年以内にしっかりと作らせていただきたい」と発言をなさったそうで、「月2万6千円よりこっちの方が得!」と民主党の「子育て世帯囲い込み戦略」への対抗意識見え見えの、“ボケ施策”披露だった訳です。これじゃまさに、“バラマキ合戦”。こちらの財源は消費税増税だそうで、あれっ?自民党の消費税増税目的は年金福祉財源じゃなかったっけか、とこれまたやや首をかしげたくもなる展開なのです。

このやりとりには、一時代前の銀行のボーナス・キャンペーンを思い出されられます。私が銀行の本部にいて、シーズン・キャンペーン等を企画立案していた10年ちょっと前、銀行各行は「ボーナス・シーズンに定期預金を○○円以上おつくり頂いた方には、もれなく××プレゼント!」とか言って、絵皿とかクール・ポットとかキャラクター・グッズとかを“餌”に、預金獲得運動をしていたものです。要は利ザヤの一部を「景品」でお客さまに返してた訳で、「こりゃ変だぞ」とその後自由化が一層進んでいく中では「景品」ではなく「商品性」で勝負をする時代に移り変わっていったのです。今時は、信用金庫でも「景品」でボーナス・キャンペーンをはるところは皆無でしょう。

ところが政治の世界はいまだに、「選挙」という名のキャンペーン・シーズンになると「金」という「景品」で、自社の顧客にしようという古臭い戦略を展開する訳です。銀行でいうところの「商品性」は、政党に置き換えればまさしく「政策」に他ならなりません。「政策」とはすなわち、「どんな日本をつくると言うのか」=「WHY」、「そのために何が必要なのか」=「WHAT」、「それをどうやって実現するのか」=「HOW」という、ロジカルな展開をもっともっと明快に提示して、国民の共感を得る必要があるのではないでしょうか。どうも、まず「カネ」で釣る戦略ありきで、その財源確保として「税財政改革」を掲げているように思えてならないのです。

以上勝手なことを申しあげましたが、今日の段階では、民主党のマニフェストをまだよく見ていない状況ですので、見当違いな指摘をしているかもしれません。その点は悪しからず。それにしても、うちもうちもと後追いで“バラマキ”対抗するディフェンディング・チャンピオンの自民党も情けない限りですね。しかも、マニフェスト公表は民主党に先を越されて、まだ党内で調整中。待たせる以上は「さすが王者の風格」と思わせる、日本政治の流れを変えるようなロジカルなマニフェストを出すぐらいの気概が欲しいところですが、果たしてどうでしょうか。

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