日本一“熱い街”熊谷の社長日記

組織論の立場から企業の“あるべき”と“やってはいけない”を考える企業アナリスト~大関暁夫の言いっぱなしダイアリー~

高橋リーダー発言から分かる理研という無法地帯

2014-07-03 | ニュース雑感
理化学研究所でIPS細胞の実用化に向けた臨床研究をおこなっている高橋政代プロジェクトリーダーが、小保方さんをSTAP細胞実証実験に参加させたことに関連して、「理研の倫理観にもう耐えられない」とツイッターを使って理研の対応を批判し話題になっています。

まずは「倫理観」ってなんだろうか、ですね。「倫理」の辞書的な意味は、「人として守り行うべき道。善悪・正邪の判断において普遍的な規準となるもの。道徳。モラル」。「倫理観」はその考え方。一部報道によれば、「小保方さんの処分を先送りし、かつ指摘されている数多くの疑義について説明させないまま検証実験に参加させるなどの対応」がおかしいとおっしゃっているようです。

確かにそうでしょうね。STAP細胞存在の有無の話と、実験データの改ざん、それによる論文取り下げと理研の信用失墜に対する処分の話は別建てで考えるべきものです。高橋リーダーがおっしゃるように、そのことに対する本人の説明とそれを受けた処分の決定をまず何を持っても優先すべきであり、それをせずに小保方さんを実験に立ち会わせるのは、組織管理放棄とも言える行為で組織の権威を著しく損なわせるものであると思います。理研はこの指摘に対して猛省し、すぐにでも対処すべきであると考えます。高橋リーダーのご意見は至極正論。

ただちょっと待って下さいよ。高橋リーダーの意見がいかに正論であろうとも、組織批判の類をそこに所属し生活の糧を得て働いている者が公の伝達手段を使って堂々としていいのか、という問題がそこには別に存在すると思います。研究者の世界はそれぞれが個々で研究の責任を負っているのだからいいのだ、とこの意見に反論される方もあるのかもしれません。百歩譲って、自分の担当外の自社研究そのものに対して科学者として公に批判を加えることはあってもいいのかもしれません。しかし、今回の高橋リーダーの批判は研究そのものに対するものではなく、自身が所属する組織の運営に対して堂々と批判したものであり、組織管理の観点から言えば、その批判がいかに正しいものであったとしても、そのやり方は組織管理上絶対にやってはいけないことであり、厳罰に処されるべきものであると考えます。

そもそも何を申し上げたいのかと言えば、こういう意見が内部から平気で出来てきてしまうような組織管理こそが大問題なのであり、理研はこういうザル管理をしているから改ざんも含めてやりたい放題の無法地帯状態になっているのではないか、と思われるのです。高橋リーダーに関して申し上げるなら、その行動は普通の組織なら絶対に許されません。これは内部告発ではなく、組織運営批判そのものですから。高橋リーダーが、ご自身の発言が自身が所属する組織、理研にとってさらなるマイナスを及ぼすということに気づかれていないとしたら、優秀な科学者であることとは裏腹に実に残念な方であると言わざるを得ないでしょう。