日本一“熱い街”熊谷の社長日記

組織論の立場から企業の“あるべき”と“やってはいけない”を考える企業アナリスト~大関暁夫の言いっぱなしダイアリー~

尖閣問題と“不当要求”対応のセオリー

2012-09-26 | ニュース雑感
尖閣問題が長引いて、公船だ漁船だが島の海域でアピール行動をしているだとか、中韓連合でに日本に立ち向かうだとか、いろいろ日本に圧力を感じさせるような動きがますます目立ってきました。

日中の次官級会合が開かれてその席で、中国の尖閣問題に対する要求が明確に出されました。主張および要求の概要はこうです。「反ファシズム戦争の成果を公然と否定するものだ。行動で誤りを正すべきだ」と。本日は両国の外相対談がおこなわれたようですが、全く同じ主張・要求が繰り返されたとか。まず大きなポイントはこの主張・要求が正当なのか、不当なのかです。日本は尖閣に対して明確な根拠を持って、「領土問題は存在しない」と言えるわけですから、この要求は「不当」であると判断してよいと考えます。

ならば、「不当要求」に対しては明確な対処の仕方があるはずです。コンプライアンスの一環として、警察当局の指導に基づいて作成された倫理基準準拠的な「不当要求対応マニュアル」という類のものが各市町村や大抵の大手企業には存在します。これは、役所や企業が出先機関を含め反社会的勢力から「不当要求」を受けた場合にどう対処するかについて記されたものです。中国が反社会的勢力にあたるとまでは申しませんが(暴動・略奪の容認等それに近いものはかなり感じますが)、「不当要求」には変わりないわけですから、ここはひとつ「不当要求対応マニュアル」に沿ったセオリー通りの対応をお願いしたいところです。

とある市町村の「不当要求対応マニュアル」には、不当要求の例として「市街化調整区域及び市街化区域の線引き変更の強要」というものが挙げられていますが、まさしく今回の中国のケースと同じものです。こういったケースでの対応の原則は、何よりもまず「毅然とした態度で断り、要求には一切応じないこと」。少しでも譲歩を見せたなら、「必ず次なる要求を出してくるようになり、要求は次第に大きくなる」ともあります。日本政府はとにかく、現時点での国有化の是非は置いておくとして、国有化した以上相手のいかなる要求も毅然とした態度ではねのけ、一切譲歩をにおわせる態度を見せないことです。

そして、理由を明確に述べること。例えば、「そもそも日本は1895年に、いずれの国にも属していないことを確認したうえで尖閣諸島を沖縄県に編入したものであります。1969年および70年に国連が行った海洋調査で、大量の石油埋蔵量の可能性が報告され、それを受けて71年から中国、台湾が領有権を主張し始めたものでありますが、それ以前には両国より一切の領有権に関する主張はなされておりません。従い歴史的に見て尖閣諸島に関する領有権問題は存在致しません故、本件に関する一切の要求にはお答えいたしません」と、ハッキリ具体的な表現で伝えるべきと考えます。要するに「お宝が眠っていると言われたから、急に欲しくなったんでしょ」と痛いところを突いて、国際世論に厳然たる歴史的事実を訴えかけるべきです。

さらに「不当要求対応マニュアル」に必ず記載があるものとして、「敵地での交渉は呼び出されても一切しないこと、あくまでこちらの陣地で交渉をすること」。そもそもが「不当要求」なのですから当たり前のことです。事務方ベースであろうとも、こちらがノコノコと北京くんだりまで出かけて行って相手の「不当要求」の内容など聞く必要はないのです。来るなら聞きましょうと言う態度を貫くことです。加えてマニュアルにある、「挑発に乗らない」。これも大切です。尖閣周辺海域の中国船に対しても粛々と対処するのみで、必要以上に相手を刺激するようことはしない。とにかく相手のペースでかき回されないことです。

先に記したような理由をより具体的に述べることは、先方が万が一武力行使を考えた際にも国際世論の批判は免れ得ないものになるので、相手への抑止力としての効果も期待できます。とにかく政府はしつこいぐらいに「領有権問題が存在しない」その根拠を具体的に述べ、「不当要求」であることを訴え続けるべきです。その上で「一切の要求はお受けできません」と毅然たる態度を貫くという、「不当要求」に対するセオリーを忠実に守って欲しい。中国がガタガタ騒がしくすればするほど、日本政府には一切動じることなく論理的かつ毅然とした対応をお願いしたいと思います。