日本一“熱い街”熊谷の社長日記

組織論の立場から企業の“あるべき”と“やってはいけない”を考える企業アナリスト~大関暁夫の言いっぱなしダイアリー~

メリサ・マンチェスター、ビルボード公演

2011-06-12 | 洋楽
70年代に活躍したアメリカの女性シンガー・ソングライター、メリサ・マンチェスターがビルボード・ライブで来日公演を開催してくれました。BBLオフィシャル・ページ記載のセットリストは以下の通り(「ミッドナイト・ブルー」がないので私が見たのはちょっと違うみたいです)。

Billboard Live TOKYO 2011.6.7

1.Better Days & Happy Ending
2.Through The Eyes Of Love
3.Just Too Many People
4.Angels Dancing
5.Be My Baby
6.I Know Who I am
7.Come In From The Rain
8.Let's Face The Music And Dance
9.From This Moment On
10.Whenever I Call You Friend
11.You Should Hear How She Talks About You
12.Son Of A Preacher Man
13.Something Wonderful
14.Don't Cry Out Loud
-Encore-
15.Someday We'll All Be Free

メリサ・マンチェスターと言えば、私などは75年のアルバム「麗しのメリサ」とヒット曲「ミッドナイト・ブルー」「哀しみにさようなら(上記の3。当時のタイトルは「ニューヨークの谷間で」でした)」がすぐに頭に浮かんできます。一般には78年の大ヒット「あなたしか見えない(これも当時のタイトルは「哀しみは心に秘めて」でした)」で有名。ただし、日本ではリタ・クーリッジと伊東ゆかりのバージョンで売れたために、メリサの名前は意外に知られていないのかもしれません。その後では、ケニー・ロギンスと共作しケニーがなぜかメリサではなくスティーヴィー・ニックスとデュエットして大ヒットした「二人誓い(上記の10)」、80年代に突如ユーロ・ビートに乗せてヒットさせグラミー賞に輝いた「気になるふたり(上記の11)」などが、彼女の代表作です。

彼女を語る場合にはとにかく歌唱力でしょう。ベッド・ミドラーと彼女のバック・アップをしていたバリー・マニロウに見出され、プロの世界に出たと言う経歴からも、並みではない歌唱力がうかがい知れるところです。そんな彼女も御年59歳。でもその歌声は衰えるどころか長年のキャリアで円熟味を増し、本当に素晴らしいものでした。今回、彼女以外のメンバーはキーボード&ギターの男性とパーカッション&ボーカルの女性の2人だけといういわばアンプラグドな構成であり、彼女のボーカルの力量がもっとも問われる形でしたが、聞いている我々にごまかしの効かない状況下でまっすぐにその歌声が届いてきました。スティーヴィー・ワンダーに憧れてこの世界に入ったと言うだけあって、ところどころに黒っぽさをにじませつつも、時にしっとりと時にパワフルに1曲の中でも緩急をつけた絶妙のボーカル・テクニックには本当に魅せられてしまいました。

今回は本人のトークによれば、代表曲と最近曲をとりまぜたセットリスト。私は過去の曲しか知らないのですが、未知の曲も含めて全く違和感のないステージ構成でした。逆に「今でも変わらずいい曲をいい形でやっているのだな」と思わされ、むしろ最近の作品の方に関心を持たされたほどです。自信の持ち歌以外にも、ロネッツの「ビー・マイ・ベイビー」なんてスペクター・サウンドの超有名曲を彼女なりの解釈で聞かせる場面もあり、長年この世界で生きてきたショーマンシップの一端にも触れた思いでした。毎度申しあげますが、アーティストのステージの善し悪しはやはり「現役感」に尽きると思います。ルックス的には、もちろん私が知る70年代のメリサとは随分と違ってはいましたが、その歌声やパフォーマンスにおいて「現役感」満載の素晴らしいステージであったと思います。
→今のルックスはこちら
http://www.billboard-live.com/pg/shop/show/index.php?mode=detail1&event=7648&shop=1

個人的には、「哀しみにさようなら」のアンプラ・バージョンに鳥肌でした。なにしろこの曲、遠い昔にテレビで初めてメリサを見た時に魅せられた曲ですから。こうして35年以上の時を経てまさか生で、しかもあのサイズのハコで聴くとことができようとは・・・。ホントいい時代になったものだと思います。今の時代と長く「現役」を続けてくれているアーティストに感謝です。ただ余談で、少しばかり残念な話を。震災の影響で中止となる外タレ公演も多いのですが、ショックだったのは同じビルボードで5月半ばに予定されていたカーラ・ボノフとJDサウザーの共演が、4月半ば震災騒ぎが一段落した時点で中止になったこと。JDはその後8月の単独来日をすぐに再ブッキングしたので、カーラ・サイドの意向であるのは明らかです。理由は原発でしょう。誠に残念。どんな風評が「六本木でも日本に行くのは危険」と彼女を躊躇させたのか。国内ですら正確な情報が流されていない現状の問題の一端を、こんな形でも垣間見た気がしました。