日本一“熱い街”熊谷の社長日記

組織論の立場から企業の“あるべき”と“やってはいけない”を考える企業アナリスト~大関暁夫の言いっぱなしダイアリー~

「ソニーとグーグル提携」で、ソニーは“一生アップルに勝てない”

2010-05-21 | ニュース雑感
今日は何かとニュースの多い一日でした。中でも「ソニーとグーグルの提携」は目を引きましたが・・・。

アップルに勝てないソニーが必死に提携を求めた先がグーグルだったと。そこまではいいとして、提携業務でやることが「グーグルTV」ってそれじゃダメでしょって感じです。今のソニーがアップルに対して最も欠けているのが“ソフト面”。私が思うにソフトと言ってもホントの意味での“ソフト”、つまり“やわらかアタマ”が欠けているのです。なのに50年以上の歴史を持つ既存メディアの代表格であるテレビの、しかもハードのメーカーとしての今回の提携には、アップルには遠く及ばないとつくづく感じされる訳で、結局はネット王者たるグーグルのメディア戦略に体よく利用されただけという気がするのです。グーグルにしてみれば、旧勢力のテレビはどこまでいっても付随的なメディアにすぎないでしょうから。PCとテレビの“垣根”を低くしていくことでその影響力をより大きくしていこうと言う訳でしょう。グーグルにとってはメディア戦略のひとつに過ぎないのです。

一方のソニーにとっては同社の今後を左右する主要戦略に違いありません。でありながらソニーの主体的展開を感じさせる絵が見えないのです。だからグーグルに利用されていると感じてしまう訳です。エレキにPCに音楽ソフトにハリウッド映画に携帯電話・・・、様々なハードやソフトを持っていながら有機的な新サービスを展開できない、今のソニーにはホント面白みがないのです。今回も全く同じ展開を感じさせられます。“やわらかアタマ企業”グーグルとの提携により、当面先進イメージは確保されるのかもしれませんが、ことが進むうちに結局は“ハードのソニー”の印象が強くなるばかりのような気がします。映画にしても音楽にしてもせっかく手にしているソフトやコンテンツをハード的にしか活用できていない訳で、結果今回の“グーグル頼みの提携”なのでしょう。今日の提携話に「アップルには一生勝てない」という印象を強くさせられました。ウォークマンを作った頃のソニーの文化はそうではなかったハズなのですが・・・。かつて後継指名の際に出井前CEOから「日本人以上に日本人らしい」と評されたソニーのストリンガーCEO(写真左)。どうも私には彼が日本の銀行員のように見えて、とてもつまらなさを感じさせられるのです。