日本一“熱い街”熊谷の社長日記

組織論の立場から企業の“あるべき”と“やってはいけない”を考える企業アナリスト~大関暁夫の言いっぱなしダイアリー~

〈70年代の100枚〉№99~一家に1枚!本当に偉大なベスト盤

2009-12-27 | 洋楽
さあ、№99です。最後の№100はこの企画を始めた時から決まっているのですが、№99に何を入れるべきか、№80を過ぎたあたりから入念に考えてきたつもりでしたがここにきてけっこう悩まされました。悩んだ末の落選組のアーティストは、スライ&ファミリー・ストーン、グレン・キャンベル、ケニー・ロジャーズ、オハイオ・プレイヤーズ、ブロンディ、シェール、デビー・ブーン、アンディ・ギブ、シック、レイナード・スキナード、アルバート・ハモンド、Tレックス…、落選理由はいろいろです。全米TOP40的には大ヒットしたものの日本では当時盛り上がりに欠けていた、逆に日本では売れていたものの全米TOP40的にはさほどでもなかった、70年代というより80年代的イメージが強かった、取り上げるべき適当なアルバムが見当たらなかった…等々です。そして最後に残ったのは70年代に最も売れたベスト盤でした。

№99   「グレイテスト・ヒッツ/エルトン・ジョン」

結局エルトンかい?と言われそうですが、70年代のアメリカにおける驚異的なセールスはもとより、ジョン・レノンの死が70年代の終わりを告げたとするのなら、そのジョンと最後のステージを共にしヨーコとのヨリを戻させハウス・ハズバンドへの道を進ませた彼こそ、やはり70年代を最も象徴するアーティストであると言えるとのではないでしょうか。既に本企画では、全米8週№1の2枚組超名作「グッバイ・イエロー・ブリックロード」と前人未到全米初登場1位の快挙を成し遂げた「キャプテン・ファンタスティック」の2枚を選出していますが、実はそんな彼にとって70年代に一番のセールスを記録したアルバムはこのベスト盤だった訳で、彼の70年代における足跡を今一度把握することの重要さは、他のどのアーティストのアルバムを取り上げることよりも重要であると考えました。

このアルバムは、74年のクリスマス・シーズン向けにリリースされ、実に10週にわたって№1を記録する大ヒットになっています。70~79年に数多くリリースされた各アーティストのベスト・アルバムで、№1を記録したのはわずか9アーティスト(ビートルズ、カーペンターズ、ビーチ・ボーイズ、ジョン・デンバー、シカゴ、イーグルス、CSN&Y、バーブラ・ストライザンド、とエルトンという錚々たるメンバー)で、その中で10週以上№1を続けたのは唯一エルトンだけなのです(これに続くのは5週連続のイーグルスとシカゴですから、ベスト盤での10週連続№1がいかにすごいことかよく分かると思います)。これは大変なことなのです。70年代に10週以上№1を記録したアルバムで見ても、単独アーティストでないサントラ盤を除くとわずか6枚。しかも新曲を1曲も含まずチャート上位を獲得するのが難しいベスト盤での快挙ですから、この時代におけるエルトンの人気のすさまじさが分かろうというものです。

中身は全10曲とCD時代の今では物足りないものですが、どれもこれも大ヒット曲ばかりの“ベスト・オブ・ベスト”となることで、その才能の素晴らしさを一層ひきたたせてもくれます。A1「ユア・ソング」にはじまって、A2「ダニエル」A4「グッバイ・イエロー・ブロックロード」A5「土曜の夜は僕の生きがい」B1「ロケット・マン」B2「ベニーとジェッツ」B3「僕の瞳に小さな太陽」B5「クロコダイル・ロック」…、珠玉のヒット・ナンバーが次々と登場する様は、70年代のヒットチャートそのものといった趣きであり、これほどに70年代を象徴するアルバムは他にないのではないかと思えるのです。

この後現在に至るまで、エルトンのベスト盤は数多くリリースされていますが、曲数は少ないもののこの密度に勝るアルバムはありません。70年代にアナログ盤でリリースされた他のアーティストのベスト盤と聞き比べてみても、これほどまでに「グレイテスト・ヒッツ=最も偉大なヒット曲集」の名にふさわしいアルバムは、他にないと思ってもいます。70年代を愛する音楽ファンなら、一家に1枚必ず持っておきたい作品であると断言できる素晴らしいアルバムです。