日本一“熱い街”熊谷の社長日記

組織論の立場から企業の“あるべき”と“やってはいけない”を考える企業アナリスト~大関暁夫の言いっぱなしダイアリー~

経営のトリセツ76~「一身独立して一国独立す」

2009-12-21 | 経営
今年から3年にわたるNHKの年末特別大河ドラマ「坂の上の雲」、登場人物たちの生きざまはリーダーシップの在り様と言う観点から、現代の企業経営にも役に立つなかなかの面白さです。

中でも主人公の秋山兄弟の兄好古が物語の主人公である弟真之に言って聞かせる座右の銘、「一身独立して一国独立す」。この言葉は、福沢諭吉が「学問ノススメ」の中で説いている言葉でありますが、「明治維新段階でのちっぽけな日本国を、世界中の誰もが認める立派な国に作り上げるためには、国民の一人ひとりが勉強し仲間たちと切磋琢磨し一人前になることが必要である」と、語っているのであります。

翻って組織における発展は、その構成員一人ひとりが「勉学」にいそしみ「切磋琢磨」しあうことが何よりも大切であると置きかえることができるでしょう。中でも人の上に立って物事を推し進める管理者がまず、率先して行動を起こし「一身独立」を実現することがひいては担当者一人ひとりの意識を変えるきっかけとなり、最終的に会社全体がレベルアップして、世間から認められる立派な存在になることを可能にすると思うのです。

では、管理者が身につけるべき「勉学」とは何でしょう。それは経営に関する基本的な「知識」と管理者としての「意識」に他なりません。少なくとも、自社の財務内容がどうなっているのか、という基本的「知識」を身につけた上で、企業を発展に導く上での課題点はどこにあってそれを乗り越えるためにどうするべきなのか、それらに当事者として取り組み自己の立場や管理スパンにおいて今何をなすべきかを常に見失うことなく行動することが求められるのです。

そしてもうひとつ福沢諭吉→「坂の上の雲」が教える「一身独立」に向けた重要なポイントは「切磋琢磨」し合うこと。企業における管理者同士が常に競い合い、「切磋琢磨」し合うことで、お互いがより一層磨かれ結果として企業のレベルが一段と高まっていく訳です。社内にまともな「議論」もない、フェアな「競争意識」もない、ただ傷をなめ合って愚痴を言い合うような管理者たちの集まりであったなら、そんな企業に発展は永久に望めないのです。

従い経営トップはそのトップとしての責任において、個々の管理者の「知識」と「意識」のレベルアップに腐心するとともに、管理者同士が互いに「切磋琢磨」できる風土づくりをしなくてはいけないということになるのです。