日本一“熱い街”熊谷の社長日記

組織論の立場から企業の“あるべき”と“やってはいけない”を考える企業アナリスト~大関暁夫の言いっぱなしダイアリー~

昨日の続き…です~マスメディアは論点を切り分け正しい議論を展開せよ

2009-12-15 | ニュース雑感
昨日の小沢発言もめてます…。

皇室大好きの産経新聞はまぁ当然宮内庁寄りの報道をする訳で、同紙の今日の新聞、ネットNEWSは自社の主張に近い識者の意見などを取り混ぜて、小沢つぶし記事を大々的に展開しています。毎度、産経の対応はやむなしでありますが、日本共産党志位書記長が与党つぶしの一環で「小沢さんこそ日本国憲法をよく読め」と小沢氏の「国事行為」の解釈が間違っていると会見で発言したものですから、朝日新聞までが反小沢的トーンに流れ出し、各メディア“小沢が悪い”報道の様相を呈してきております。

小沢氏の旗色はともかく、ここで気になるのは、マスメディアのトーンが「小沢VS宮内庁」で心情的に勝ち負けを決しようとしていることです。重要なことはどちらが正しいかではなく、今回の問題における論点を明確に整理して、内閣や宮内庁ひとつひとつの判断や言動に問題があったり誤っていた可能性を明らかにした上で検証していくことです。それこそがマスメディアの使命であるハズなのですが、どうしてすぐに心情的な勝ち負け評論に走るのでしょうか。

今回の問題、スタートから整理すれば重要な論点がいくつかあります。
①中国要人(次期首席候補)を“30日ルール”を破ってまで天皇との会見をすべきであったかどうか(または、内閣が要請すべきであったかどうか)
②宮内庁は内閣の判断を、憲法上は劣後する“30日ルール”を盾に断るという対応が正しいものであったかどうか
③宮内庁が内閣の再度の要請に押し切られた後、この内閣の要請を「政治利用」として長官が会見を開いて遺憾の意を表明した宮内庁の対応が正しかったどうか
→私の昨日の論点はここです
④内閣の要請は、宮内庁が言うとおり「政治利用」と理解されるのが正しいかどうか
⑤小沢氏が要請の正当性理由として会見で述べた、憲法上の天皇の「国事行為」の解釈が正しいのかどうか
→志位書記長の論点はここです
⑥その他、小沢氏の発言が天皇に対して不遜であるか否か
→今日のマスメディアは、この時とばかりこの点をかなりついていますが、これは議論の“枝葉”です

今のマスメディアの報道は、これらを全部ひっくるめつつひとつふたつの攻めやすい論点に立脚して小沢氏と宮内庁の勝負は判定で小沢氏の負け、というトーンに収れんされているようです。これでは小沢氏の善し悪しをメインに論じることで問題が錯綜・混同され、本来なされるべき議論がまったくされていないように思えるのです。まるで、計画提案の良いか悪いかを論点が定まらずに全体的な印象のみで否決して改善計画のひとつも見だせない、ダメ会社の会議を見ているかのような印象です。本当に頭が悪いこと極まりないと思います。

今議論すべきは小沢氏の善し悪しではありません。外交運営のあり方、天皇制の正しい理解とは、旧来型の官僚対応の是非等々について、しっかりと論点を分離して、ひとつひとつマスメディアは国民的議論の場を盛り上げていく役割があるハズです。それが今、大新聞ですら客観性を無視して自社の主張に寄りかかった論理の下、個人攻撃的な論調を展開しているとしか思えない報道に陥っています。別に私は小沢氏を擁護する気など毛頭ありませんが、国民にとって大変重要な問題を多くはらんでいるからこそ、きっちり論点を整理しあるべき議論を展開してほしいと望んでいる訳です。マスメディアには、自らの使命を忘れるなと声を大にして言いたい気分であります。